カテゴリー「今日のBGM」の記事

2009/11/11

ベートーヴェン/交響曲第9番

ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@ジョージ・セル/クリーヴランド管絃楽団(ソニー:SBK 46533)

 1961年8月21日・22日の録音.
 バリトン独唱はドナルド・ベル.これほど硬派な解釈も珍しい.そこかしこオーケストレーションに手が入っていて,実にマッチョで筋骨隆々逞しいベートーヴェンである(^^;).典型が第1楽章展開部のクライマックスで,ティンパニが延々と波状攻撃を仕掛ける中,金管が突進するという,凄まじい展開を聴かせる.終楽章の冒頭も金管吹きまくり.面白いのは終楽章のトルコ風行進曲が始まる直前のフェルマータで,合唱ばかりか全楽器がフォルティッシモで伸ばすところ.他にもあちこち金管で補強しすぎなんじゃあないかしら? と言いたくなるほど補強しているが,セルはストコフスキーのようにマジックを仕掛けようとしているのではなく,背骨をよりたくましく聴かせたい故の補強なので,演奏自体は清潔で無駄なく引き締まったものである.

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2009/11/10

ベートーヴェン/交響曲第9番

ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@オスカー・フリート/ベルリン国立歌劇場管絃楽団(パール:GEMM CD 9372)

 1928年の録音.ポリドール原盤.
 マーラー好きにはおなじみのオスカー・フリート(1871-1941)による「第9」である.バス独唱はヴィルヘルム・グートマン,合唱は戦前人気のあったブルーノ・キッテル合唱団.
 実にすいすいと流れる演奏で,アンサンブルの乱れなどおかまいなしに,どんどん前へ進む(^^;).なるほどあらえびすが「多少イージー」と評したことはあるな.そつなくまとめるどころか,あちこちに「そつ」がある演奏だが,それでも巧くまとめあげているように聴こえるところが,フリートのフリートたるところか.

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2009/11/09

ベートーヴェン/交響曲第9番

ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@エーリヒ・クライバー/ヴィーン・フィル(デッカ:425 955-2)

 1952年6月の録音.
 バス独唱はルートヴィヒ・ヴェーバー.威風堂々と見せかけて,実は小技が効いている(^^;)演奏のような気がする.終楽章の冒頭以外では,オーケストレーションもあまり手を入れてないようだし.
 前3楽章は素晴らしい演奏なのだが,終楽章が少々せせこましく,スケール感が足りないのが,とにもかくにも惜しい.それこそ押し出し満点でやればよかったのに,考えすぎたのか,あちこちテンポやバランスを動かしすぎて,いたづらにスケールが小さくなってしまったのが何とも残念.

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2009/11/08

ベートーヴェン/交響曲第9番

ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@カール・ベーム/ヴィーン・フィル(DG:POCG-2693)

 1980年11月の録音.
 バス独唱はヴァルター・ベリー.発売当時,「ベーム最後の録音」ということで売り出されたのだが(このCDのジャケット写真ではない,別の写真がジャケットを飾っていたが,何とも好々爺な表情のベームが写っていたのが印象に残っている),残念ながらここにはベームの残骸しか聴けないのが悲しい.テンポもアンサンブルも弛緩していて,往年のきびきびとしたベームの演奏からは程遠い.ベームの真髄を聴くなら,別の録音を探した方がいいだろう.

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2009/11/07

ベートーヴェン/交響曲第9番

ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@デイヴィッド・ジンマン/チューリヒ・トーンハレ管絃楽団(アルテ・ノヴァ:BVCE-38013)

 1998年12月12日-14日の録音.ベーレンライター新原典版を使用.
 バス独唱はデトルフ・レート.だいたいアルテ・ノヴァに録音されたジンマンのベートーヴェンは,ピアノ協奏曲はまだしも,交響曲の録音はいささか勇み足なところがあって理解の外(^^;).ところがこの第9はそれもなく,軽快に脱・楽聖な演奏だなあ,と思っていると,こともあろうに第4楽章のキモのひとつ,最初のバス独唱でやってくれるのだから,ジンマンはあなどれない(>_<).偶像破壊もいいけど,そんなお手軽に「即興」などやってもいいものか,こともあろうにベートーヴェンで.

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2009/11/05

ベートーヴェン/交響曲第9番

ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@フィリップ・ヘレヴェッヘ/エリゼー宮管絃楽団(ハルモニア・ムンディ・フランス:HMC 901687)

 1998年10月の録音.
 バス独唱はディートリヒ・ヘンシェル.ベーレンライター社の新原典版による演奏で,第3楽章が12分26秒というのは,古楽派にはありがちなこと(^^;).とにかく明晰で,にごりのないアンサンブルはすがすがしい.歌詞が聞き取りやすいのも特徴かと.
 その代わり,明晰すぎる故に陰影,あるいは間が乏しいのは止むを得ないところだろう.ほとんど見得も切らないし,タメもないし,そのあたり好みの分かれるところかもしれない.

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2009/11/04

ベートーヴェン/交響曲第9番

ベートーヴェン/交響曲第9番ニ長調作品125@イゴール・マルケヴィチ/ラムルー管絃楽団(フィリップス:PHCP-20411)

 1961年の録音.
 バス独唱はハインツ・レーフュス(Heinz Rehfuss).何でもマルケヴィチはこの録音を含むベートーヴェン全集を製作している最中にオケと決裂してしまい,この全集録音は途中で打ち切られてしまったとか.この演奏でも,テンポは中庸を保っているが音響はエッジが効いており,ビシッと打たれるアクセントが効果的.曖昧なところのない,引き締まったアンサンブルを聴かせる.ところどころマルケヴィチがオーケストレーションに手を入れているようで,一般的な解釈では聴くことの出来ない響きが聴けるのも興味ぶかい.

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2009/11/03

ベートーヴェン/交響曲第9番

ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@ギュンター・ヴァント/ケルン・ギュルツェニヒ管絃楽団(テスタメント:SBT1287)

 1955年10月10日の録音.モノラル末期の明瞭な音で,結構細かいリズムまで拾っている.
 バス独唱はルドルフ・ヴァッケ.ヴァントの40代前半の仕事だが,既に「ベートーヴェンは素晴らしい音楽だから斯様に演奏する」という確信がヴァントにはあったのか,毅然とした芯が通っている.颯爽とケレン味なく進行するザッハリヒな演奏である.しかし,音楽や聴き手を突き放したところはまるでない.第3楽章も美しく17分以上かけているが,地獄の釜の蓋を開けたような演奏ではない(^^;),天上や地獄の音楽ではなく,実に人間的な地上の演奏である.

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2009/11/02

ベートーヴェン/交響曲第9番

ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@セルジュ・チェリビダッケ/ミュンヘン・フィル(EMI:TOCE-55045)

 1989年3月の録音.
 バス独唱はペーター・リカ(Peter Lika).テノールが妙に苦しいなあ,と思ったらジークフリート・イェルザレムでさもありなんと.チェリビダッケは1970年代のあるインタビューで「ベートーヴェンのエロイカや第9は終楽章が失敗作なので振らない」と豪語していたはずなのだが,何故かEMIから出たミュンヘン・フィルとのライヴ録音ではベートーヴェンの交響曲全曲が揃うという不思議(^^;).もちろん,チェリビダッケは周囲の雑音など気にも留めない,いつものチェリビダッケで,柔らかめのアクセントを利かせながらの,晩年の様式である遅いテンポ.第1楽章の停めの音が柔らかく「フッ」という感じで終わるのも,如何にもである.しかし,何もかもを包み込むような柔らかさを醸し出しながら,実はすべてを拒絶して独歩の世界を築いているのが,この指揮者の流儀か.

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2009/11/01

ベートーヴェン/交響曲第9番

ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管絃楽団(EMI:7 63359 2)

 1957年10月と11月の録音.
 バス独唱はヴァーグナー歌手として鳴らしたハンス・ホッター(1909-2003).遅いテンポでゆっくりとかみしめるように進行するが,決して弛緩することなく高い緊張感が貫かれている.オーケストレーションはいじってないようなので,例えば第2楽章では第2主題をホルンが吹かない(^^;).また,繰り返しが励行されていて,第2楽章主部Bの繰り返しも行われているが,いちいち説得力のある解釈である.圧巻はやはり終楽章.不撓不屈のテンポでがっちりと固められた頑固な造型が,やがて巨大な大伽藍になって眼の前にそびえ立つ.何度聴いても圧倒される.素晴らしい.

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2009/10/31

マーラー/大地の歌

マーラー/交響曲「大地の歌」(ピアノ伴奏版)@ブリギッテ・ファスベンダー,トマス・モーザー&シプリアン・カツァリス(テルデック:WPCS-10389)

 1989年9月の録音.
 オケ版と並行して作られたらしい,ピアノ伴奏による「大地の歌」である.マゼールなどはこの作品を「歌曲集」と切り捨てているようだが,なかなか一筋縄ではいかない成立過程を経て,作曲者自身が「交響曲」と銘打っているのだから,何はともあれ,そのことは尊重しなければなりますまいて(^^;).
 それはさておき,それほどピアノの書式に精通しているわけでもない僕でも,ピアノで弾かれる際の効果を狙ったと思われる箇所を聴くことのできるこのピアノ版,技巧に余裕のあるカツァリスのピアノが,交響曲としてのスケール感を醸し出していると思う.

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2009/10/30

マーラー/交響曲第2番

マーラー/交響曲第2番ハ短調@ラファエル・クーベリック/バイエルン放送交響楽団(DG:463 740-2)

 1969年2月と3月の録音.
 いま聴くと,思ったほど振幅の激しい演奏ではなく,むしろ古典的とも言えそうなかっちりした造型で堂々と打ち立てられた伽藍,という印象.あざとい演出とかないから,最近の録音でマーラーを知った聴き手には物足りないかもしれないが,マーラーの原風景の一端をクーベリックの録音に聴けるだけの耳があるひとには,充分な感激が得られるでしょう.

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2009/10/28

ベートーヴェン/ラズモフスキー第1番

ベートーヴェン/絃楽四重奏曲第7番ヘ長調作品59の1@カペー絃楽四重奏団(EMI:TOCE-6169/6174)

 1927年の録音.
 春風駘蕩,実にゆったりした時間が流れる演奏.もちろん,ベートーヴェンに必要な緊張感は確保されているが,それにも増しておおらかな雰囲気が全体を包んでいる.両大戦間のある一時の空気を今に伝える,貴重な遺産のひとつということになるだろうか.カペー四重奏団の演奏には,何となく「会議は踊る」のような映画を連想させるところがある.

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2009/10/27

チャイコフスキー/胡桃割り人形

チャイコフスキー/バレエ音楽「胡桃割り人形」作品71@ヴァレリー・ゲルギエフ/キーロフ管絃楽団(フィリップス:462 114-2)

 1998年8月の録音.81分強をCD1枚に収めたお得盤.
 クリスマスでもないのに「胡桃割り人形」なのは,たまたまバレエを見る機会があったから(^^;).ただその音楽は生オケではなくスピーカーから聴こえる録音で代用されていたため,音が悪くて高音部や木管が聴きづらく立ち往生したというorz そこで口直しも兼ねてこれを聴いているのだが,しかし「胡桃割り人形」にせよ「眠れぬ森の美女」にせよ,音楽だけではどうにもつまらないな.踊りを伴った視覚効果があっての音楽である(「眠れる森の美女」は特にそう.2枚組や3枚組のCDを聴きとおすのは骨だ).チャイコフスキー自身が編んだ組曲作品71aは,そこを作曲者自身が弁えていたのか,聴き応えのある曲を上手にピックアップし,並べ替えているのがさすがである.

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2009/10/26

シューベルト/交響曲第1番

シューベルト/交響曲ニ長調D82(第1番)@ホルスト・シュタイン/バンベルク交響楽団(BMG:BVCC-38192/38195)

 1986年6月30日-7月2日の録音.
 スター性にかけていたため,録音にあまり恵まれなかった名指揮者ホルスト・シュタイン(1928-2008)の残した,誠実そのもののシューベルト全集から.シュタインの指揮がどちらかと言うとベートーヴェンに相応しいタイプで,剛毅な音楽が現実的と言うのか,いささか浪漫に欠けるのが惜しいところ.

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2009/10/25

チャイコフスキー/悲愴

チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」@ジョン・バルビローリ/ハレ管絃楽団(HMV:5 73077 2)

 1958年頃の録音.パイ(Pye)原盤.
 意外に速めのテンポで,それでも歌い上げるところは情感たっぷり,というチャイコフスキー.アンサンブルに若干ゆるみはあるが,音楽を聴くのに気になるほどではない(同時期のドヴォルジャークの第8番などひどいものである).絃の音がバルビローリは実にいい.

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2009/10/24

ブルックナー/交響曲第9番

ブルックナー/交響曲第9番ニ短調@ジュゼッペ・シノーポリ/シュターツカペレ・ドレスデン(DG:POCG-10169)

 1997年3月の録音.
 ブルックナーは好きな作曲家だし,第9番は最初に聴いたブルックナーの交響曲だし,シノーポリは好きな指揮者なのだが・・・・・・.この組み合わせが,これほど気持ち悪いとは(^^;).ドレスデンなのに,どういうわけだかブルックナーの音が聴こえてこないし,聴こえてくる音に厚みがさっぱり感じられないし.作曲家と指揮者の相性と言うよりも,どうもシノーポリは深遠なる大作曲家に御用はなかったようで,ひたすら美しい音を奏でるための筐体か何かだとしか思ってないんじゃないのか,と思わざるを得ない.第1楽章の第2主題が本当に気持ち悪いほど美しく奏でられているのが,何ともねえ(sigh).

 そういえば,アバドのブルックナー(DG)も輝かしいけど対位法なんか糞食らえと思ってるんじゃないかと思えるくらい,音が寝ているブルックナーだったなあ,などと.

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2009/10/22

ブラームス/交響曲第4番

ブラームス/交響曲第4番ホ短調作品98@ギュンター・ヴァント/北ドイツ放送交響楽団(BMG:B18D-30071/30073)

 1985年の録音.
 ベルリン・フィルとの全集が出たおかげで影が薄くなっているような,北ドイツ放送響とのブラームスだが,大股で剛直に歩む峻厳な演奏である.この4番も,速めのテンポでキリリと締まったアンサンブルを聴かせる.音色もブラームスに相応しい派手さの無い音.

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2009/10/21

マーラー/交響曲第6番

マーラー/交響曲第6番イ短調@若杉弘/東京都交響楽団(フォンテック:FOCD9022/9023)

 1989年1月26日,サントリーホールでのライヴ録音.
 えーと,決して悪い演奏ではないのだが,正直,都響が非力で指揮者の目指していることの3分の1程度しか実現していないような演奏に聴こえる.若杉は一流の合奏力に欠けるオケを引っ張り上げようと奮闘しているし,オケも精一杯こたえているのだが.残念だ.

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2009/10/20

シューベルト/交響曲第9番

シューベルト/交響曲ハ長調D944(第9番)@ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィル(DG:447 439-2)

 1951年11月と12月の録音.
 LP(MG6007)からの付き合いだから,最初に聴いたのはかれこれ30年ほど前のことか.何しろ豪壮雄大,雄弁なシューベルトである.第1楽章の途中に出て来るトロンボーンのパッセージが実に印象的で(最後の音を楽譜に書いてある音符よりも伸ばして吹いている),そこから音楽がアッチェレランドして燃え上がっていく様が,何ともいえない高揚感を漂わせる.第2楽章は当時の指揮者には珍しく(?)17分余りもかけ,厳しい表情づけながらも情感たっぷりに盛り上げていく.説得力十分のスケルツォのあとに,快速で豪快に天翔る終楽章.月並みな感想だが「さすが!」と呻るしかない,稀代の名演である.

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2009/10/19

ブルックナー/交響曲第5番

ブルックナー/交響曲第5番変ロ長調@ルドルフ・ケンペ/ミュンヘン・フィル(アカンタ・ピルツ:44 2188-2)

 1975年5月25日-27日の録音.
 世評に高い録音.20代の頃に一度,徳間(?)が出した2枚組のCDを入手して聴いていたが,あまりよくわからず.30過ぎてからこのCD(4番との2枚組)を手に入れて時々聴いていたが,やっぱりわからず.このところまったく聴いていなかったものを,今日は久し振りに聴いているが,ようやくわかりかけてきたかもしれぬ(^^;).そうなると,これまで何がわからなかったのかが,わからなくなるのが不思議といえば不思議.

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2009/10/18

ラフマニノフ/前奏曲作品3の2

ラフマニノフ/前奏曲嬰ハ短調作品3の2@ヴラディミール・アシュケナージ(デッカ:443 841-2)

 1974年-75年の録音.
 ラフマニノフの「鐘」と言うから,最初は合唱交響曲作品35(エドガー・アラン・ポーのテキストのロシア語訳による)のことかと思った僕は,やっぱりクラヲタですかそうですか(^^;).

 ラフマニノフも前奏曲を24曲作曲したが,ショパンのように24曲をひと組にしたわけではなく,作品3の2,作品23の10曲,作品32の13曲で計24曲という按配.最初に書いたこの曲が最も知られているようで,ラフマニノフの作品中でも1,2を争う有名作品であるらしい.いかにもラフマニノフらしい,狭い音階の中でメロディラインが成立し,分厚い和声がわんわん鳴らされる,という音楽である.
 ともすると蒸留水のような音楽をやりがちなアシュケナージが,この録音ではここぞとばかりゴンゴン弾き鳴らしている(^^;).

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2009/10/16

ベートーヴェン/交響曲第3番

ベートーヴェン/交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」@ハンス・クナッパーツブッシュ/ベルリン・フィル(プライザー:90976)

 1943年の録音.エレクトローラ原盤.
 50代半ばの精力的なクナによる,威風堂々あたりを睥睨しながら大股で進む「エロイカ」である.一貫して厳しい表情で進行するが,第2楽章が圧巻.

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2009/10/15

W.A.モーツァルト/ジュピター

W.A.モーツァルト/交響曲ハ長調K.551(第41番)@リヒャルト・シュトラウス/ベルリン国立歌劇場管絃楽団(DG:431 874-2)

 1926年の録音.最初期の電気録音(マイクロフォン)である.
 リヒャルト・シュトラウス(1864-1949)は作曲家としてのみならず,指揮者としても一家を成しベルリンやヴィーンの歌劇場で活動している.残されている録音では,感情の動きを抑制した飾り気のない新古典主義風な,言いたいことは音楽が自分で語ってくれるよ,と言わんばかりの芸風である.何しろ,ある演奏会ではベートーヴェンの「第9」をきっかり45分で振り切ってしまったという逸話があるらしい.ただし,テンポのギアは割と頻繁に切り替えられており,「ジュピター」の第1楽章でも第2主題が出るとテンポが目に見えて落ちる.終楽章でもテンポの切り替えが無造作なくらい飾り気なく行われているのが,却って今の耳には可笑しく聴こえる(^^;).

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2009/10/14

ベートーヴェン/交響曲第5番

ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調作品67@アルトゥール・ニキシュ/ベルリン・フィル(DG:POCG-2126)

 1913年の録音.マイクロフォンでの録音(電気録音)ではない,アコースティック録音(いわゆる「ラッパ吹き込み」)での,最初の名指揮者とオーケストラによる交響曲全曲録音である.特殊な楽器を用いたり,オケの配置を考えたりして臨んだ録音だったそうだが,今ではとてもフツーの聴取に耐えるものではない(^^;).とにかく,情けない音しか聴こえてこない.音色とニュアンスについては想像するしかないが,テンポと解釈は取り敢えずわかる,という程度.
 全体はスタイリッシュだったというニキシュに相応しい引き締まった,速いテンポで進行する.特に第1楽章では自在なアゴーギクが聴かれるが,これは同時代のピアニストによるベートーヴェンの録音からも聴こえてくる,時代の様式のようなものであるか.

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2009/10/13

ニールセン/交響曲第1番

ニールセン/交響曲第1番ト短調作品7@エサ・ペッカ・サロネン/スウェーデン放送交響楽団(ソニークラシカル:88697 58423 2)

 1987年の録音.
 6枚組,紙ジャケットのボックス仕様で出たCDだけど,ジャケットに使われているサロネンの写真が6枚とも,何とも美青年で(^^;),なるほど当初はこーゆう売りだったのねと感心する.ニールセンの交響曲という硬派な音楽を売るにはこうするしかなかった,というわけでもあるまいが.
 第1番は初期の作品だが,なかなか個性的.既に音はニールセンの響きが横溢している.また,伝統的な4楽章制なのに何度聴いてもテンポ感が不思議な音楽で,第1楽章にしても第3楽章にしても速度指示が「アレグロ」とは思えないゆったりした音楽が聴こえてくるのは,まるでブルックナーのような.普通に急速調に聴こえるのは終楽章だけである.
 サロネンの指揮は,取り立てて何がどうこう,と評するほどの目新しさは無いが,音楽へのあたたかな共感が感じられ,丁寧な音楽づくりが光る.

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2009/10/12

ショパン/ピアノ協奏曲第1番

ショパン/ピアノ協奏曲第1番ホ短調作品11@ラン・ラン&ズビン・メータ/ヴィーン・フィル(DG:477 7449)

 2008年6月21日のライヴ録音.
 ラン・ラン(1982-)は中国生まれのピアニストで,ゲイリー・グラフマンやダニエル・バレンボイムに師事した由.2008年の北京オリンピックの開会式でピアノを弾いていたのがラン・ランである,と紹介した方が通りがいいかもしれない.正確無比のテクニックと繊細な表現力を持つ,と評される.
 この第1番は,第1楽章が素晴らしい.既に大家となったメータ(1935-)と互角に渡り合い,情熱的なパッセージでは圧倒しかねない勢いである.静謐な箇所では,停まりそうなテンポでじっくりと美しく弾きこんでいる.が,それが終楽章まで保たない(^^;).どういうわけだか,終楽章は指揮者もピアノもごく平凡な演奏に終始する.惜しいことである.

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2009/10/11

ベートーヴェン/交響曲第9番

ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィル(ソニーBMG:88697576062)

 2008年8月22-26日(第1楽章~第3楽章),12月20-22日(第4楽章)の録音.パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィルのコンビによる交響曲全集の掉尾を飾る録音.最近の例に漏れず,ベーレンライター社の新原典版による.
 で,これまた最近の例に漏れず(^^;),「楽聖ベートーヴェン」などクスリにもしたくない,軽快かつ快速な「第9」である.流行りと言われればそれまでだし,またこれまでのパーヴォのベートーヴェンが同様であったのだから,今更重厚で量感たっぷりなベートーヴェンが期待できるはずもないわけだが.昔の古楽系に聴かれた,頭でっかちの「偶像破壊」風ではない,歌詞も聴き取れるくらい透明で軽快な21世紀のベートーヴェンなんだろうなあ,とは理解するものの,納得するものではないな.

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2009/10/10

チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番

チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23@ホルヘ・ボレット&シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団(ロンドン:POCL-9818)

 1987年5月の録音.
 録音当時,ボレット(1914-1990)は既に70歳を越えていたはずなのだが,年齢を感じさせないピアノである(^^;).安定したテクニックでじっくり弾き込んだ演奏.オケも付かず離れず,渡り合うというよりは寄り添っている,という風情のサポートが協奏曲を振るときのデュトワらしい.

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2009/10/09

チャイコフスキー/交響曲第5番

チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調作品64@レオポルド・ストコフスキー/フィラデルフィア管絃楽団(TIM:203293-303)

 1934年12月11日の録音.
 映画「オーケストラの少女(One Hundred Men and a Girl)」(1937年)の冒頭を飾るのが,この交響曲の終楽章を振るストコフスキー(1882-1977).第二次大戦前は絶大な人気を誇った指揮者で,晩年に至るまで旺盛な実験精神と派手な私生活(^^;)で鳴らした.基本的には中庸を得たテンポ感覚と抜群の統率力で,どんな新作でも振ってのけた(あのアイヴズの交響曲第4番の初演者だ)が,古典に対してはいろいろと実験的なことをするひとで,アクセントの付け方や,声部の浮かび上がらせ方に,独特の嗅覚を持っていた.来日公演で振ったチャイコフスキーの交響曲第4番では,オケの配置を総とっかえしていて,コントラバスが全員山台の一番後ろにズラッと並んで演奏していたのを映像で見た記憶がある.

 さて,この第5番は白い炎が揺らめくような演奏で,一種独特の高揚感があるのだが,なんといっても終楽章の大胆なカットが凄まじい(^^;).第5番を何度か聴いたことのあるひとがこの録音を初めて聴いたら,終楽章のあちらこちらで迷ってしまうに違いない.ケンペンやロジンスキのカットとも箇所が違う.コーダの大フェルマータがバッサリ切られてしまっているのは,映画でもそうだったが,いったい何でまた(^^;)と,いつも思う.

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2009/10/07

ラフマニノフ/交響曲第2番

ラフマニノフ/交響曲第2番ホ短調作品27@パウル・クレツキ/スイス・ロマンド管絃楽団(デッカ:470 6752)

 1967年8月の録音.
 どちらかと言うと玄人好みの名指揮者クレツキの名演.以前にも一度,取り上げた記憶があるけど,この録音は掘り出し物です.この録音を聴いた後では,ゲルギエフの録音(フィリップス)など投げ捨てても惜しくないと思いますよ(^^;).表情付けのくっきりした,エネルギッシュで振幅の激しいドラマティックな演奏なので,「斜陽貴族の白昼夢」みたいなのを期待すると裏切られるかもしれませんが,これほど激しく畳み掛けるようなこの作品の演奏もあまりないのではないかしらん?

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2009/10/06

ベートーヴェン/交響曲第7番

ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調作品92@ポール・パレー/デトロイト交響楽団(マーキュリー/タワーレコード:PROA-287/288)

 1953年2月13日-20日の録音.
 これは何ともへんてこりんな印象を与える演奏で(^^;).音符を短めに切っていくためか,電子ピアノかエレクトーンで演奏したんじゃあるまいな,という疑いを覚えるほど.残響も余韻も乏しいベートーヴェンで,なるほどあのシューマンの演奏はこれだから成功したのか,とは思うが,ベートーヴェンにはちと向いてない.

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マーラー/交響曲第6番

マーラー/交響曲第6番イ短調@ハンス・ツェンダー/ザールブリュッケン放送交響楽団(cpo:999 477-2)

 1973年4月4日-7日の録音.
 ツェンダー(1936-)の還暦記念でcpoからドッと出たCDの1枚だったんじゃなかったかしらん? ツェンダーは,1980年代にNHK-FMを聴いていたひとには現代音楽の解釈に秀でた指揮者としておなじみだった.僕はFMにて尹伊桑の作品をツェンダーの指揮で聞いた記憶がある.また自ら現代音楽の作曲家でもあるが,何でも仏教や日本文化に傾倒しているそうで,作品にはフルートと絃楽のための「5つの俳句」なんてのもある(聴いたことはない).

 で,この演奏はテンポが速めのあっさり系.第1楽章の繰り返しが省略されているのもあって,全体で70分弱という演奏時間でかけぬける.ドラマティックな雰囲気に欠けているわけでも無いが,「なんとなく悲劇的」な雰囲気の演奏じゃないかしらん?

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2009/10/04

シューベルト/交響曲D944

シューベルト/交響曲ハ長調(第9番)D944@オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管絃楽団(EMI:7 63854 2)

 1960年11月の録音.
 不思議なことにこの演奏,どうにも居心地が悪い.全曲を聴き終わった後で,何やら巨大な謎を放り出されたような聴後感が残るのだ.全体はすこぶる充実した演奏で,第2楽章など超弩級の説得力を以って迫ってくるのに,何故か終楽章が聴き終わったあと「ああ,よかった」という感じにならない.終わったようで実は終わってない,そんな思いにかられる.それがどこから来るものなのか,この交響曲の奥は深い(sigh).

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2009/10/03

ブルックナー/交響曲第5番

ブルックナー/交響曲第5番変ロ長調@スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン放送交響楽団(アルテ・ノヴァ:BVCC-6052)

 1996年5月31日-6月3日の録音.
 いったいスクロヴァチェフスキのブルックナーはある種の軽みが身上ではあるのだけど,さすがに第5番ではその軽みが裏目に出る.何しろ第5番はあるひと曰く「対位法の大伽藍」であるので,ミスターSのように,すべての声部に均等に意味を振り分けていくと,この曲はさっぱり面白くなくなってしまう(^^;).そこが大バッハとブルックナーの違うところで,バッハならすべての声部を均等に扱ったほうが効果があるわけだけど,ブルックナーはそうではないように聴こえる.

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2009/10/02

ブラームス/交響曲第3番

ブラームス/交響曲第3番ヘ長調作品90@ディミトリ・ミトロプーロス/アムステルダム・コンセルトヘボウ管絃楽団(オルフェオ:C 458 971 B)

 1958年8月10日,ザルツブルク音楽祭でのライヴ録音.音はまあまあ.
 なんつーか,得も言えぬ妙味のある演奏である(^^;).第1楽章の小気味よいアゴーギグにはじまって,かなり細かい表情付けを指揮者が指示し,オケが何とかそれについていっているという雰囲気.ところどころでテンポが揺れ動き,一気呵成というわけに行かぬアンサンブルが軋む場面が少なくないが,とにもかくにもミトロプーロスの棒にオケが食らいついている(^^;).名演とは言えないまでも,一聴以上の価値はある.

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2009/10/01

マーラー/交響曲第7番

マーラー/交響曲第7番ホ短調@ヘルマン・シェルヘン/ヴィーン国立歌劇場管絃楽団(MCA:MCD80082)

 1953年7月の録音.ウェストミンスター原盤.
 ライヴでは大胆なカットや通勤快速もびっくりなテンポも辞さないシェルヘンだが,スタジオ録音は楽器間のバランスに独特の味を利かせるものの,マーラーにおいては入念にオケをしごいたとみえて,アンサンブルの練り合わせも至極真っ当.あとはオケがシェルヘンの要求を満たせずに自損事故を起こす(^^;)のだが,マーラーでは事故もほとんど聴かれない.終楽章のテンポがオケの技量を考えたのか,安全第一に聴こえるのが,ちょっと可笑しい(^^;).

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2009/09/30

チャイコフスキー/交響曲第6番

チャイコフスキー/交響曲第4番ヘ短調作品36@アルトゥール・ロジンスキー/ロイヤル・フィル(ウェストミンスター:MVCW-14010/14011)

 1956年9月20,23,25日の録音.最初期のステレオ録音で,残響なしだが,普段あまり意識したことの無い音が聴こえることがある.
 ロジンスキー(1892-1958)はオーケストラ・トレーナーとして峻厳な腕前を知られた指揮者.音楽の傾向は豪快な新即物主義で,カール・ベームやジョージ・セルとひと括りに出来る性向だが,ベームやセルにに比べてもさらに戦闘的というか(^^;).この録音でも,音楽が盛り上がるところではオケに鞭を入れてゴリゴリ突っ走るが,色気とか科とかにはおおよそ無縁であるように聴こえる.センチメンタルどころか,リリシズムにも背を向けているんじゃなかろうか.

 そういえばロジンスキーは映画「カーネギーホール」でベートーヴェンを指揮していたと記憶するが,確かにベートーヴェンにこそ相応しい芸風ではある.チャイコフスキーは何だかヒンデミットのように聴こえる.

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2009/09/29

ブルックナー/交響曲第9番

ブルックナー/交響曲第9番ニ短調@カール・シューリヒト/ベルリン市立管絃楽団(DG:POCG-6068)

 1943年の録音.音は思った以上にいい感じだが,ブルックナーにしては軽いのは仕方が無い.
 何故か1回こっきりで後が続かなかったDGの「SP名盤コレクション」から.細かいところでテンポを動かしているが,特に目立つような見得を切るわけでもないので,全体としてはあっさり目でサクサク進むような印象を受ける.音響のバランスがブルックナーにしては少し軽いので,余計にあっさり感が強く感じられるのかもしれない.荘重なブルックナーが苦手,というひとは聴いてみるのも一興.

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2009/09/28

ブラームス/交響曲第3番

ブラームス/交響曲第3番ヘ長調作品90@ジョン・バルビローリ/ヴィーン・フィル(EMI:TOCE-3085)

 1967年12月の録音.
 「さびしい」という言葉を音楽にしたら,斯様な演奏になるんでしょうか? と思ってしまうほど,何だか物悲しくなる好演奏.特に終楽章の説得力は素晴らしい.

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2009/09/27

グラナドス/ゴイェスカス

グラナドス/ピアノ組曲「ゴイェスカス」@アリシア・デ・ラローチャ(BMG:82876 60863 2)

 1989年12月4日-6日の録音.
 昨日訃報が伝えられたスペインの名ピアニスト,アリシア・デ・ラローチャの残したスペインの作曲家グラナドスの録音である.実は「ゴイェスカス」そのものは何度聴いてもあまりよくわからないのだが(>_<),この曲を演奏するピアニストは誰も彼もが,実に「音楽すること」を喜んでいる風情なのがたまらなくいい(^^;).このラローチャの録音には,その上に風格さえ感じられる.グラナドスの音楽が手の内に入っているが故の余裕が,演奏にいい意味での安定感と充足感をもたらしているのだろう.見事な演奏である.

追記:調べてみたらラローチャはグラナドスの孫弟子だったんですね.

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2009/09/25

シューマン/チェロ協奏曲

シューマン/チェロ協奏曲イ短調作品129@クリストフ・コワン&フィリップ・ヘレヴェッヘ/エリゼー宮管絃楽団(ハルモニアムンディ・フランス:HMC901598)

 1996年12月の録音.
 僕がシューマンの最高傑作だと思ってる作品は,このチェロ協奏曲.シューマンの作品によくよく聴き取れた青春の青臭さが削ぎ落とされ,凄絶なロマンティシズムが青白い炎を爆発させている.それは,ほとんど狂気の手前までいってしまっているひとの音楽じゃないかと思わせる,暗い暗い情熱.
 演奏は実に丁寧.一音一音をソロもオケも,新鮮な感覚で大切に弾いていく.こわれものを大事に包んでいるこどもの手のぬくもりのように.

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2009/09/24

ベートーヴェン/交響曲第8番

ベートーヴェン/交響曲第8番ヘ長調作品93@ペーター・マーク/パドヴァ・エ・デル・ヴェネト管絃楽団(アーツ:447245-2)

 1994年6月の録音.
 大向こうを呻らすような演奏ではなく,普段着の作曲家を慈しむかのような等身大の録音を残した職人指揮者マーク(1919-2001)晩年の好演である.同じ頃に亡くなった(日本の新聞では訃報が同日に掲載されたと記憶する)ジュゼッペ・シノーポリのような,派手な力演タイプではなかったので地味な存在だったが,玄人好みというか,堅実で整理の行き届いた,滋味溢れる好演を聴かせる指揮者だったと思う.
 この録音,マークのベートーヴェン全集では1,2を争う名演だろう.ちょっぴり漂うほのぼの感が,何とも言えない,いい味である.

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2009/09/23

マルカントワーヌ・シャルパンティエ/死者のためのミサ曲H.7

マルカントワーヌ・シャルパンティエ/死者のための4声のミサ曲H.7@エルヴェ・ニケ/コンセール・スピリテュエル(ナクソス:8.553173)

 1994年7月の録音.
 以前,ミシェル・コルボが録音したシャルパンティエの「死者のためのミサ曲H.2」を取り上げたことがあったかと記憶しているが,こちらはH.2より小規模な作品.全曲通しで25分弱かかる.「アニュス・デイ」のあとに「深い淵より(デ・プロフンディス)」が付け加えられているのが珍しい由.それが全曲中,もっとも長い楽章になっている.

 しかし,どうしたら人間が斯様な音楽を生み出せるのか,信じ難いほどに神々しい音楽である.これを聴いていると,つくづく世俗の泥沼にまみれて生きているのがバカバカしくなる.・・・・・・このまま出家遁世してしまいたいわ(sigh).

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2009/09/19

マーラー/大地の歌

マーラー/交響曲「大地の歌」@ケント・ナガノ/モントリオール交響楽団(ソニークラシカル:88967508122)

 2009年1月13-15日,2月15日の録音.えらく正直な録音データで,1月13日と14日がライヴ,1月15日はスタジオ,2月15日はテノールの多重録音との由.
 しかし,のっけからテノールがオケに埋没しておる(>_<).やわらかすぎる,というのか,なかなかの美声だとは思うのだが,オケがフォルテになると歌がほとんど聴こえてこないのである.これはナガノの解釈なのか,とか勘繰ってしまう.そして偶数楽章はアルトではなくバリトンが歌うが,これがやはり地味(^^;).フィッシャー・ディースカウくらい存在感のある歌手が歌わないと,どうしても華やかさに欠けてしまうのは止むを得ないが(ラトル盤もそうだった),それにしても陰陰滅滅として聴くのが辛くなる.オケが色彩的で華やかなので,余計に声楽陣の非力さというか,オケに対峙して自らを押し出すところが無いというのは,この作品の演奏としては厳しい.

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ベートーヴェン/田園

ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」@パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィル(ソニーBMG:88697542542)

 2007年12月15-17日の録音.
 これまで聴いたパーヴォ・ヤルヴィのベートーヴェンはどれも感心しなかったが,今回,何故かこの「田園」は悪くない(^^;).恐らく,ベートーヴェンの音楽がここでは,パーヴォの過剰な演出を許容できる性質のものだからだろう.テンポは速いが無味乾燥だったり攻撃的だったりする表情付けではなく,颯爽とした新鮮な雰囲気を感じさせるベートーヴェンである.
 ただし,カップリングの第2番は相変わらず僕には合わない(-_-;).編成が小規模だからって,これほどティンパニが角々しく,うるさくなくてもいいじゃないかと思う.

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ベートーヴェン/交響曲第7番

ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調作品92@カール・ベーム/ヴィーン・フィル(アルトゥス:ALT065)

 1980年10月6日,昭和女子大学人見記念講堂の杮落としでのライヴ録音.
 日本でのカール・ベーム(1894-1981)の,最後の交響曲演奏の記録である.僕は1980年当時,テレビでこの演奏を見た記憶があって,ベームの今にも崩れ落ちそうな指揮姿を目の当たりにして「ベームもいよいよ衰えたか(sigh)」とがっかりしたのを覚えている,実際,ベームは既に86歳だったのだし,翌1981年の8月に亡くなったのだった.

 しかし,今こうして音だけ聴いていると,意外にも(失礼)音楽の骨組みはしっかりしているのである.よぼよぼの指揮姿が目に焼きついているためか,このときの演奏までもオケが(コンサートマスターはゲルハルト・ヘッツェルだったのではなかったか)自発的に音楽を支えて乗り切ったかのような記憶が残っていたのだが,それはとんでもない話であった.テンポは確かに遅くなっていてリズムやアンサンブルの縦の線はあちこち緩み,終楽章には明らかに疲れが感じられるけど,それでも「最後の録音」になったベートーヴェンの第9ほども弛緩していない.ギュンター・ヴァントのように最後までテンポがほとんど弛緩しなかった高齢の指揮者の方が珍しいのであって,この第7番は本当に立派な演奏である.この演奏を当日,人見記念講堂で聴くことの出来た方がうらやましい(sigh).

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2009/09/17

ブルックナー/交響曲第7番

ブルックナー/交響曲第7番ホ長調@クルト・ザンデルリンク/シュトゥットガルト放送交響楽団(ヘンスラー:CD93.027)

 1999年12月の録音.
 渋すぎるぐらい渋い,ザンデルリンク(1912-)晩年のブルックナーである.オケから自分好みの音を引き出す術に長けているから,放送オケからでも見事なまでにザンデルリンクの世界を組み上げる.ハース版を使っているのか,第2楽章のクライマックスでも打楽器が鳴らないので,ますます渋く地味な演奏になる.まあ壮大な迫力,ということもないが,終わってみると充実した演奏を聴いたという満足感が残る演奏である.

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2009/09/14

ベートーヴェン/英雄

ベートーヴェン/交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」@ピエール・モントゥ/ヴィーン・フィル(デッカ:440 627-2)

 1957年の録音.
 いわゆる「デッカのハイ・ファイ」ってのはこーゆう音でやしたかい,という(^^;).低絃の音がやたらと生々しい.ピアノの中にマイクを突っ込んだような,オケの音が鳴る.
 モントゥの指揮は相変わらず「何も足さない,何も引かない」やり方に見せながら,実に大きな音楽を引き出してくる.どこをどういじくりまわしているようにも聴こえないのに,聴こえてくるのは力強く決然と,なおかつキビキビとリズムを刻む,溌剌とした音楽であり,とても80歳を越えた指揮者の奏でる音楽とは思えない.

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2009/09/13

ベートーヴェン/運命

ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調作品67@フェレンツ・フリッチャイ/ベルリン・フィル(DG:POCG-3074)

 1961年9月の録音.
 フリッチャイが病に倒れたため完成しなかったベートーヴェン全集の1枚.全体的にテンポが重くて38分余りもかかっている.特に第2楽章は13分以上かけており,何でもLP時代の最長を記録しているとか.しかし,その重く遅いテンポがこれだけ必然を持って鳴り響いている演奏もないのではないかと.大変に充実し,情報量の多い音符が凄然と並べられている音楽である.晩年,フリッチャイが「フルトヴェングラーの再来」と称されたことを偲ばせるに足る,貴重な遺産.

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2009/09/09

ショスタコーヴィチ/交響曲第14番

ショスタコーヴィチ/交響曲第14番「死者の歌」作品135@ゲンナディ・ロジェストヴェンスキー/ソヴィエト文化省交響楽団(オイロディスク:258 492)

 1985年の録音.
 ロジェストヴェンスキー(1931-)がノッていた頃の録音で,他の指揮者からは聴けない,アクの強い演奏に仕上がっている.ただ,オケが如何せん弱い(^^;).合ってるんだか合ってないんだかよくわからないくらい,時々不思議な音を出す.

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2009/09/08

モーツァルト/クラリネット協奏曲

モーツァルト/クラリネット協奏曲イ長調K.622@ベニー・グッドマン&シャルル・ミュンシュ/ボストン交響楽団(BMG:BVCC-37316)

 1956年7月9日の録音.
 グッドマン(1909-1986)は僕が説明するまでも無い,スウィング・ジャズの王様.このCDは少なからず残しているクラシックの録音のひとつ.なのだが,録音のせいなのか,クラもオケも妙に現実的で(^^;)この作品の夢幻の味わいに少々乏しい.音楽の向こう側にある世界へのパースペクティヴがちと感じられないところが残念.

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2009/09/07

サリエリ/セレナーデ変ロ長調

サリエリ/セレナーデ変ロ長調@イル・グルッポ・ディ・ローマ(アーツ:47319-2)

 1991年4月の録音.
 アントニオ・サリエリ(1750-1825)はご存知「アマデウス」におけるモーツァルトの敵役として脚光を浴びてしまった,イタリア生まれの作曲家.1788年からはヴィーンの宮廷楽長も務めた,当時成功した歌劇の作曲家(43曲も書いたとか)のひとりであり,ベートーヴェンの師匠のひとりでもあるのだが,死後200年近く経った今ではモーツァルトやベートーヴェンの影に隠れっぱなしで,その作品が顧みられる機会は,生前の名声に比していささか少ない.
 この作品は1778年ごろ,当時流行していた管楽合奏「ハルモニームジーク」のために作曲されたらしいもの.オーボエ,クラリネット,ファゴット,ホルン各2本に絃バスという編成による.明るく肩の凝らない,なかなかユーモアに富んだ佳品である.同時代人の同種作品と比較して過小評価する向きもあるようだが,これは「セレナード」なのであって,当時において「やり過ぎ」なのは明らかにアマデウスの方(^^;).サリエリが当代の受容には適っていたであろうことを忘れてはならないだろう.

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2009/09/06

チャイコフスキー/悲愴

チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調作品74「悲愴」@イゴール・マルケヴィチ/ロンドン交響楽団(フィリップス:438 335-2)

 1962年1月の録音.
 ご存知,鬼才マルケヴィチのチャイコフスキー.いつもながら正確無比のアンサンブル,生真面目で一本気な演奏である.だから,壮烈だけどあまりロマンティックな感じがしない(^^;),メソメソしていると叱られそう.どこまでも雄々しく立ち続けて敗れ去って,立ち往生してしまう,「倒れて後已む」そんな感じ.

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2009/09/05

ヴィヴァルディ/フルート協奏曲作品10の4

ヴィヴァルディ/フルート協奏曲ト長調作品10の4@セヴェリーノ・ガッツェローニ&ドナート・レンツェッティ/RTSI管絃楽団(エルミタージュ:ERM 130-2)

 1983年1月13日の録音.
 ガッツェローニ(1919-1992)はイタリアのフルート奏者.確か柴田南雄がその著書で音の大きさと華やかな演奏について触れていたことがあったかと記憶する.30年にわたってRAIのオケの主席フルート奏者を務め,またイタリアをはじめとする現代音楽の作曲家から数々の作品を献呈されている.教え子にはジャズ・プレイヤーのエリック・ドルフィーがいるとか.現代音楽の果敢な紹介者のひとりで,このCDにも収録されているエドガー・ヴァレーズの「密度21.5」や福島和夫の「エカーグラ」などを盛んに演奏している.一方でこのCDで過半を占める古典の作品もよく取り上げている.
 この演奏,どこからどこまでも明るい華やかな演奏.モダーン楽器のオケはまったく鈍重だが(ベートーヴェンでも演奏しているんじゃないかという,引きずるようなレガートだ(^^;)),ガッツェローニのフルートはどこまでも明るく華やかで,陰影なんざくそくらえという,ヴィヴァルディに相応しい(?)カラッとした演奏に仕上がっている.

 ・・・・・・それにしても,何でガッツェローニの輸入盤CDが近所のブックオフに250円で棚に並んでいたんだ? 恐らくは既に忘れられて久しい演奏家だと思うのに.CDコレクターとしては,ちといたたまれない気持ちにもなるのだが・・・・・・.

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2009/09/04

ラヴェル/クープランの墓

ラヴェル/クープランの墓@アン・ケフェレック(ヴァージン:5 61489 2)

 1990年10月の録音.
 まあしかし,ラヴェルという作曲家は,つくづく通人だと.「粋」のひとだと.特にピアノ曲では,何というか,非常に人工的な,技巧的な細工物のような響きを,自然な響きに聴かせてしまうのだよねえ.何しろ,ピアノ曲をオーケストレーションしたら,それが最初からオケ曲として作曲されたかのように聴こえてしまうのは,ラヴェルの自作編曲くらい.それほど,元のピアノ曲は人工的に細工を施しているに違いないのに,これがまた随分と自然に美しい響きが奏でられていくのだから,これはもうたまったものではないわけで(^^;).
 ちなみに,ラヴェルは音楽で「何か」を表現している作曲家じゃないですよ.音楽で「音楽」を表現しているんです.

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2009/09/02

リヒャルト・シュトラウス/アルプス交響曲

リヒャルト・シュトラウス/アルプス交響曲作品64@デイヴィッド・ジンマン/チューリヒ・トーンハレ管絃楽団(アルテ・ノヴァ:74321 98495 2-4)

 2002年2月11日-13日の録音.
 オーケストラに加えて,風の音を模すウィンド・マシーンなる機械まで動員しての,音によるアルプス登山一大絵巻である.案外,何処かで聴いたような動機がそこここに散りばめられていて,夜明けの描写がチャイコフスキーの「悲愴」だったり,ウルトラセブンの動機(違います)が景気よく吹き鳴らされたり,と描かれている内容と関係ないところでも楽しめるように出来ているところが,シュトラウスの職人芸というヤツです.
 演奏は,正直僕はカラヤン盤(DG)以外の演奏は誰のものを聴いても物足りないので,このあまり過剰に演出しない,あっさり目の演奏も悪くは無いのだが,という程度.

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2009/09/01

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61@ブロニスラフ・フーベルマン&ジョージ・セル/ヴィーン・フィル(ナクソス:8.110903)

 1934年6月20日の録音.
 フーベルマン(1882-1947)は20世紀前半を代表するヴァイオリニストのひとり.神童上がりで,13歳のときにブラームスを感動させて,新作を書かせる気にさせた逸話がある(ブラームスはほどなく病没し,新作は書かれずに終わる).他のヴァイオリニストからは隔絶した,独自の世界を築いた個性の強い演奏家で,とにかく鋭角的な音と奏法のヴァイオリニスト,という印象である.この録音でも,清潔で端正なセル(当時の発音?なら「スツェル」か)の指揮と切り結び,冷え冷えとした凄みを聴かせる.青白い炎であるか.

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2009/08/31

シューマン/ピアノ協奏曲

シューマン/ピアノ協奏曲イ短調作品54@ゲザ・アンダ&ラファエル・クーベリック/ベルリン・フィル(DG:415 850-2)

 1963年ごろの録音.
 シューマンには似合わないんじゃあないか,という威風堂々たる演奏なのだが,どこかシューマンの青臭い哀愁を漂わせることを忘れていない(^^;),という好演.取り立ててどこをどういじっているわけでもないのだが,厚みのある音楽と隙の無いアンサンブルが見事である.

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2009/08/30

ヴェーベルン/カンタータ第2番

ヴェーベルン/カンタータ第2番作品31@ピエール・ブーレーズ/ロンドン交響楽団(ソニー:SM3K 45845)

 1969年5月28日の録音.
 ヴェーベルン(1883-1945)の最後の番号付き作品.15分ほどの作品だが,これでもヴェーベルンの作品としては演奏時間が長いほうである.ひとつの音にマーラーの交響曲の1楽章ほどの意味を込めている,と言われたほど極端に身振りの少ない音楽がヴェーベルンの身上だが,晩年の作品は単純化と規模の拡大がすすんでいたらしい.もっとも「単純化」というのは技法上の話で,作品を聴いても単純とは思えないのが,まるでレーガーと同じ(^^;).最後まで感情を排した音楽以外の何者でもない「音楽」である.

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2009/08/27

J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第1番(バリトン・サックスによる)

J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲第1番ト長調BWV1007(バリトン・サックスによる演奏)@ヘンク・ヴァン・トウィレルト(ブリリアント:93637)

 2000年8月の録音.
 バッハの作品を指定以外の楽器で演奏した録音を聴くのは結構好きで,無伴奏チェロ組曲では他にテナー・サックス,ギター,テオルボによる録音が手元にある.何時だったか,ある友人が言っていたように,バッハの音楽は何でどう演奏してもバッハはバッハで,音楽の本質が演奏する楽器では変わらないところが凄い.この録音でも,バリトン・サックスが演奏しても無伴奏チェロ組曲の音楽は変わらないのであった.絃楽器用の作品を管楽器で演奏するのは骨だと思いますけど(^^;).

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2009/08/26

ブラームス/ヴァイオリン協奏曲

ブラームス/ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77@ヨゼフ・シゲティ&ヘルベルト・メンゲス@ロンドン交響楽団(フィリップス:PHCP-9600)

 1959年3月の録音.
 太宰治が「孤高狷介」と評したという大ヴァイオリニスト,シゲティ(1892-1973)の残した,鬼気迫るステレオ録音.ハイフェッツのように技巧を売りにしていたわけではないにせよ,既に技巧が衰えていたと思しきシゲティのヴァイオリンは痛々しいほど.普通のヴァイオリニストが弾いていたのであれば,斯様に音がかすれ,リズムも音程も怪しい演奏を商品にできるわけがない(^^;)と言わざるを得ない.この演奏を必要以上に崇め奉り,神格化することもないが,そこで奏でられている音楽をどう捉えるか,聴き手が試されるような録音ではある.
 指揮者のメンゲス(1902-1972)はいろいろな協奏曲の録音で伴奏を務めることの多かったひと.ここでもシゲティを支えて,少々没個性ではあるが,立派な音楽をつむぎ出している.

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2009/08/25

ドヴォルジャーク/アメリカ組曲

ドヴォルジャーク/アメリカ組曲作品98b@リボル・ペシェク/ロイヤル・リヴァプール・フィル(ヴァージン:5 61853 2)

 録音年よくわからない(^^;).
 「ピアノのための組曲」作品98を作曲家自身が管絃楽に編曲したもの.如何なる理由か,作曲家の生前には演奏されずじまい.題名の通り,交響曲第9番や絃楽四重奏曲第12番,チェロ協奏曲などとともにUSAで音楽院長を務めていたときの所産である.この曲も「アメリカ」と名付けられてはいるものの,僕の耳には同じ作曲家のスラヴ舞曲集と「どこが違うんだ(^^;)?」としか聴こえなかった(^^;).とはいえ,天賦のメロディメーカー,ドヴォルジャークの親しみやすさに溢れる旋律はここでも健在.

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2009/08/24

バルトーク/ピアノ協奏曲第3番

バルトーク/ピアノ協奏曲第3番Sz119@モニク・アース&フェレンツ・フリッチャイ/RIAS交響楽団(DG:UCCG-3432)

 1954年4月の録音.
 ゲザ・アンダと組んだステレオ録音より以前に録音したモノラルのもの.録音のためか,この作品に特有の透明感はあまり感じられず,両端楽章ではむしろピアノ協奏曲第2番にも聴かれるハードボイルドなリズムの運動が前面に出てきているような演奏.第2楽章はしっとり演奏されているようであるが,少々録音がドライで残響に乏しいのが興を殺いでいるような.もったいない.

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2009/08/23

ブラームス/チェロ・ソナタ第2番

ブラームス/チェロ・ソナタ第2番ヘ長調作品99@ペーター・ブルンズ&オルガ・トラヴェスカヤ(Opus111:OPS 30-114)

 1996年6月の録音.
 先刻,プライヴェートで手痛い一撃(ふたつの主題があったからニ撃か?)を食ってしまい,エラク落ち込んだのでブラームス,それもひとりごちるような演奏のチェロ・ソナタを聴きながら,自らを慰める.どうにかなるような話と,どうにもならないような話と.いや,「察してくれ」という話では困るんだよ.具体的な数字を出してくれれば,それを何とかする,という話でしょうに.ところが,それをやらずに搦め手ばかり攻められても,正直対処の仕様がない.それで不満ばかり溜められても,ねえ.

 ・・・・・・侘しいよ.

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2009/08/21

尾高尚忠/チェロ協奏曲

尾高尚忠/チェロ協奏曲作品20@岩崎洸&若杉弘/日本フィル(EMI/タワーレコード:QIAG-50031/50032)

 1971年7月23日の録音.
 1944年の作品で,チェリストの倉田高(1913-1945)のために書かれたもの.尾高尚忠(1911-1951)と倉田は妻が姉妹で義兄弟になる(ちなみにふたりの妻である尾高節子,倉田陽子の姉が女優の長岡輝子である).戦後の混乱の中で倉田も尾高も早世してしまい,この作品をふたりは録音はおろか演奏もほとんどできなかったのではあるまいか.
 作品は,尾高の絶筆になったフルート協奏曲と似た,(貴志康一のヴァイオリン協奏曲とは異なり)日本的な音階を前面に押し出して使っているわけでもないのに何となく日本の音楽のような趣きを醸し出す音楽.しかし,フルート協奏曲に比べると長大で(この録音で演奏時間が38分ほど)より劇的である.日本育ちのチェリストは是非レパートリーにして欲しい.
 演奏はこの大作の魅力を伝えて過不足無い.岩崎のチェロ,若杉の指揮ともどもエネルギッシュで清新さに溢れている.

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2009/08/20

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品61@ヤッシャ・ハイフェッツ&アルトゥール・ロジンスキ/フィルハーモニック・シンフォニー・オーケストラ(ミュージック&アーツ:CD-1101(2))

 1945年1月14日の録音.オケはNYPですかね?
 しかし,ハイフェッツ(1901-1987)も音楽の内面というものを峻拒し続けた演奏家で,そのあたりの方法論というか解釈の在り様というのはカラヤンやヴラディミール・ホロヴィッツと同様だったんじゃないかなあ,と,このあまりにも屹立したテクニックの凄絶さを聴く度に思う.ハイフェッツやホロヴィッツは,そのあまりなテクニックのおかげで他を寄せ付けぬ存在になりえたわけだけど,指揮者カラヤンの場合は如何にテクニックが隔絶していようとも,他者が天衣無縫にカラヤンと同じ音楽上の効果を達成してしまう(しかも得てして他者は音楽の内面の表現に優れている!)が故に,政治力まで動員して(若くして死んだカンテルリやフリッチャイの録音はカラヤンが死ぬまで限られたものだけが流通していたし,ヨッフムやマルケヴィチはDGを放逐されたし)自らの芸術を誇示し続けなければならなかったのであろうか.

 それはさておきハイフェッツのベートーヴェン.スタジオ録音ではトスカニーニと録音したものがあったけど,ほとんど変わらないように聴こえる.「完璧」という以外に形容する言葉が無いほど完璧なヴァイオリン.オケにトスカニーニの強すぎるアクは無いが,それはトスカニーニのアクが強すぎるのであって(^^;),いまの耳にはロジンスキだって充分,アクが強かろう.とにかく,剛直な棒である.

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2009/08/19

シューベルト/交響曲D944

シューベルト/交響曲ハ長調D944(第9番)@カール・ベーム/ベルリン・フィル(DG:471 311-2)

 1963年6月の録音.
 評価を言葉にするのが難しい.どこをどう動かしているわけでもないのだけど,剛毅で滋味のあるいい演奏.オケが既にカラヤン時代に入っているにもかかわらず,重厚な渋い音を響かせているのもいい.第1楽章の第2主題で若干,テンポを落としているのが,実は伝統を守る新即物主義者(^^;)ベームの面目躍如たるところではないか.

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2009/08/18

ショパン/ピアノ三重奏曲

ショパン/ピアノ三重奏曲ト短調作品8@ダヴィッド・オイストラフ,レフ・オボーリン&スヴャトスラフ・クヌシェヴィツキー(DG:477 8537)

 1950年の録音.ウェストミンスター原盤である.
 オイストラフ(1908-1974),オボーリン(1907-1974),クヌシェヴィツキー(1908-1963)という旧ソ連を代表するトリオによるショパン.トリオは名手同士の激突が醍醐味とは言え,この録音チェロがロストロポーヴィチ(1927-2007)ではないので(^^;),さすがにあの重戦車のような轟音よりはバランスのいい,ショパンらしい響きを奏でているように聴こえるが,如何だろうか?

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2009/08/17

ケルビーニ/ミサ曲「ディ・シメイ」

ケルビーニ/ミサ曲ヘ長調「ディ・シメイ」@リッカルド・ムーティ/バイエルン放送交響楽団(EMI:5 57589 2)

 2003年3月5日-8日の録音.
 ルイジ・ケルビーニ(1760-1842)はベートーヴェンがはるかに敬意を表したと言う話がある,特に歌劇においてフランスで成功したイタリア生まれの作曲家.このミサ曲は,劇場を去って一時期隠遁を決め込んでいたケルビーニが,隠遁先のシメイ(Chimay)という街で,教会の献堂式のために依頼を受けて書いた作品を改訂したもの.演奏時間70分を越える大作(特にグロリアとクレドで40分)だが,明るさと格調の高さと動的な迫力の見事な同居がある.この作品以降,ケルビーニは教会音楽の作曲家として活動を再開し,パリ音楽院院長に昇りつめることになる.
 ムーティの演奏は,この作品の理想的な再現と評して差し支えなさそう.

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2009/08/11

オネゲル/交響曲第2番

オネゲル/交響曲第2番@エルネスト・アンセルメ/スイス・ロマンド管絃楽団(デッカ:UCCD-3015)

 1961年6月の録音.
 今日に至るまでミュンシュの録音を聴く機会に恵まれないので,やはりこのアンセルメの録音が僕にとっては規範になっているかと.高校生の頃から,25年くらいつきあっているし.それだけではなく,この録音ではオネゲルの音楽も,アンセルメの演奏も,何というか切迫感が他の指揮者の録音とは比較にならないほど,異様な雰囲気でこちらに迫ってくるのだよね.終楽章など,居住まいを正さずには,いられなくなる緊張感が漂っている.だから最後のトランペットの高らかな吹奏が,痛ましくも実感を伴って感じられるのだろう.
 希望は,今でもどこかにあるのだろうか?

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2009/08/10

リヒャルト・シュトラウス/英雄の生涯

リヒャルト・シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」作品40@カール・ベーム/シュターツカペレ・ドレスデン/(DG:POCG-2961/2962)

 1957年2月の録音.
 残念ながらモノラル録音だが,絶好調時のベームをよく伝える好演.いったいベームのシュトラウスは例の「ツァラトゥストラ」でもそうなのだが,かなり辛口の色気もそっけもない豪気な解釈で,あるところでは「アンチ・シュトラウスのための演奏」とまで褒められている(?)ものだが,ここでも多聞に漏れない(^^;).曲が曲なので,それなりのシナとかうねりとか無いわけじゃないけど,やっぱりどこか醒めている.ここは,色気無しの解釈にも充分耐えてしまうシュトラウスの音楽の骨格の強さの方を聴くべきか.

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2009/08/09

グノー/聖チェチーリア荘厳ミサ曲

グノー/聖チェチーリア荘厳ミサ曲@イゴール・マルケヴィチ/チェコ・フィル(DG:00289 477 7114)

 1965年6月の録音.
 意外に録音の無いグノー(1818-1893)の宗教音楽(日本語版Wikipediaにも作品名が無い)では,比較的録音されている作品なんじゃないかしら.もっとも,自分で買ったのはこれが初めてで聴くのも初めてだが,なかなかに美しい.邪気が無い.アマチュアの合唱で採り上げられることが多いというのはわかる.
 どうもグノーとマルケヴィチ(さらにチェコ・フィル),という組み合わせがよくわからないのだが(^^;),これがなかなか面白い.ところどころマルケヴィチの指揮は力が入りすぎているような気はするものの,音楽の美しさを損ねるほどには至っておらず,恐らくもっと美しい録音はあるのだろうけど(録音が古びてきているのは止むを得ないだろう),生き生きとした音楽を聴かせてくれるのはこの録音じゃないかな? と思わせる.
 それにしても最後の盛り上がりは,何だか気恥ずかしくなるな(^^;).

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2009/08/07

ハイドン/四季

F・J・ハイドン/オラトリオ「四季」Hob.XXI-3@ヘルベルト・ケーゲル/ライプツィヒ放送交響楽団(デンオン:COCQ-84532/84533)

 1971年1月20日-2月5日の録音.
 ハイドン最後のオラトリオにして,最後の大作となった作品.ハイドンは「四季」のあと「ハーモニー・ミサ」を書き上げて力尽きてしまい,絃楽四重奏曲作品103は未完で放置されることになる.「四季」も作曲はかなり難渋したらしい.
 しかし残された音楽は,相変わらず本質的に伸びやかで明るいハイドンの特質を存分に発揮している.ケーゲルの演奏は,伸びやかなハイドンの音楽の美点を,余すところなく十全に表現しつくしている.

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2009/08/06

レーガー/クラリネット五重奏曲

レーガー/クラリネット五重奏曲イ長調作品146@ザビーネ・マイヤー&ヴィーン絃楽六重奏団(EMI:5 55602 2)

 1995年1月8日-9日の録音.
 レーガー(1873-1916)最後の作品番号が付いた作品である.演奏家が演奏する曲に困ったらレーガーかヒンデミットの作品表を見れば何かある,と言われるくらい(?)レーガーは実に多作家で,ひとつの作品番号に何十曲もの小品が束ねられている例もあり,作品番号の付いてない大作もあり,で数百曲の作品を残しているらしい(もっと多いのか?).その中で,作品100を越えたあたりから音楽に透明感が増してくる,と言うのだが,しかしこの作品も晦渋な音楽に聴こえる.音響として部分部分は透明なのかもしれないが,通して聴くと「わたしは何処へ連れて行かれるの?」という(^^;).初心者にはおススメできない.

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2009/08/05

バルトーク/ピアノ協奏曲第3番

バルトーク/ピアノ協奏曲第3番@エレーヌ・グリモー&ピエール・ブーレーズ/ロンドン交響楽団(DG:00289 477 5330)

 2004年10月の録音.
 3人のピアニストと3つのオケを起用した,ブーレーズの指揮によるバルトークのピアノ協奏曲全集から.

 バルトークは好きな作曲家の割には,好んで録音を揃えようという気にならないので,実はそれほどCDを持っていない.第3番は,他にゲザ・アンダとフリッチャイの録音(DG)くらいしか手元に無いはず.アンダとフリッチャイの全集は,とにかく第2番が素晴らしい出来で,思い入れの無い鋼のようなバルトークの硬質な手触りをよく再現している.
 さて,この第3番は,何だか生気に乏しく聴こえる.ブーレーズの指揮は1970年代には透明な,鋭角的で熱量の少ないものだったが,ここではDG移籍以後に丸くなってしまったブーレーズの,ほとんど静謐の域に達した感のある新古典主義が露わになっているようである.

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2009/08/04

シュポーア/ヴァイオリン協奏曲第8番

シュポーア/ヴァイオリン協奏曲第8番イ短調作品47「劇唱の形式で」@ヒラリー・ハーン&大植英次/スウェーデン放送交響楽団(DG:00289 477 6232)

 2006年2月の録音.
 最初はカップリングのパガニーニの第1番を取り上げようと思ったのだが,作品があまりにあっけらかんと能天気な音楽だったものだから書く気が失せてしまい,シュポーアに切り替える(^^;).こちらもヴァイオリニストとして鳴らした作曲家だが,音楽の趣きは随分と違う.歌劇の歌唱の形式を用いて書かれた作品であり,ふんだんに歌が盛り込まれているのだが,パガニーニに比べてどこか渋い内省的な雰囲気が漂うように聴こえるのは気のせいかどうか.
 ヒラリー・ハーンのヴァイオリンは意外にしっかりした,線の太いもの.美音ということでは,昨日のフェラスの方がよほど美音だが,ガラス細工のように繊細で壊れてしまったフェラスにはないたくましさもまた,ハーンの魅力かと.

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2009/08/03

チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35@クリスチャン・フェラス&ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル(DG:978-84-96832-83-1)

 1965年11月6日-8日の録音.
 昨日取り上げたベルマンのピアノ協奏曲第1番とのカップリング.ベルマンはオケにズブズブと沈んでしまったが,こちらのフェラス(1933-1982)は実に堂々たるもので,すこぶる付きの美音をこれでもかこれでもかと巻き散らかして飽くところを知らないかのよう.テンポの伸縮が指揮者とヴァイオリニストと,多分にカラヤンに主導権があるのだろうが,それにしても揺れるテンポにオケがぴったりと付いて間然とするところが無い.まず見事な録音である.

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2009/08/02

チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番

チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23@ラザール・ベルマン&ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル(DG:978-84-96832-83-1)

 1975年11月17日-18日の録音.
 これも「Le Monde」の大安売り(^^;).ベルマン(1930-2005)は「リストの再来」と言われた旧ソ連のピアニスト.強靭なテクニックと轟音のピアニストだったと記憶しているが,ここではどうしたことか,オケがベルマンのソロにかぶさるようにゴーゴー鳴りまくっていて,ピアノは目立たない(^^;).というよりも,ピアノがカラヤンの統率に組み入れられてしまい,ピアノとオケが五分に渡り合うのではなく,ピアノがオケの1パートになっている,と表現したほうがよさそう.壮麗なカラヤンとベルリン・フィルを聴く録音であろう.

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2009/08/01

ニールセン/交響曲第4番

ニールセン/交響曲第4番作品29「消しがたきもの」@ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル(DG:UCCG-4512)

 1981年2月の録音.
 この録音は確か,発売当時通っていた某市の市立図書館で借り出して聴いた記憶がある.カラヤンらしい,ディテールに凝りまくった演奏で,それが優先したためかテンポが遅かったことを覚えていた.久し振りにCDを見かけたので入手したが,やっぱり記憶の通りで,音響のディテールには随分と意を払っているが,その分音楽がぶつ切りになってしまい,音楽から生気というか,躍動感が失われているような気がする.終楽章のコーダの盛り上がりも何だか唐突.音響的にはさすがの伽藍だが,音楽的にはあまり面白くない(^^;).

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ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番

ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番ニ短調作品30@タマーシュ・ヴァーシャリ&ユーリ・アーロノヴィチ/ロンドン交響楽団(DG:978-84-96832-83-1)

 1976年4月14日と16日の録音.
 ブックレットタイプのケースに「Le Monde」と大書してあり,何故かフランス語しか書いてないので,どういう性格のCDなのかはよくわからないが,とにかく店頭で実に安かった(^^;).しかし,演奏は一部で大変高い評価を得ているもの.確かに評価にたがわぬ好演で,ヴァーシャリのピアノが力強く深い打鍵(録音でこれほどわかる深い打鍵というのはあまり聴いたことがない)と粒立ちのよいテクニックを駆使して見事な演奏を展開している.それをアーロノヴィチ(僕がクラシック聴き始めた頃にチャイコフスキーの「マンフレッド交響曲」が話題になった指揮者だが,既に故人となっていたとは知らなんだ)の雄渾な伴奏が受けて立つ,といった按配.オケがズブズブのロシア風ならなおよかったのだろうが,達者なアンサンブルのロンドン響も充分指揮者の芸風を引き立てている.

 久し振りに満足できるラフマニノフの3番を聴いたよ.

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2009/07/30

プロコフィエフ/チェロ・ソナタ

プロコフィエフ/チェロ・ソナタ ハ長調作品119@トルルス・メルク&ラルス・フォクト(ヴァージン:4 82067 2)

 1996年5月6日から10日の録音.
 1949年,序破急の3楽章をとる作曲家晩年の作品だが,相変わらず辛辣で皮肉が効いている.演奏は,楽章を追うごとに調子が上がっていく感じ.第1楽章ではロストロポーヴィチを意識したであろう音楽の野太さが充分に描き出しきれていないが,快速調の楽章ではそれなりに歯切れのよさを聴かせる.

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2009/07/29

The Quintet: Jazz at Massey Hall

The Quintet: Jazz at Massey Hall(デビュー:UCCO-5117)

 1953年5月15日,トロントのマッセイ・ホールでのライヴ(ただし,いろいろと曰くつきらしい).
 チャーリー・パーカー,ディジー・ガレスビー,バド・パウエル,チャールズ・ミンガス,マックス・ローチと,バップの神様が5人集まってのライヴである.僕はジャズの真っ当な聴き手ではないので,この録音の歴史的価値についてあれこれ述べることはできないが,とにかくここで「カッコいい」音楽が奏でられていることは間違いない.音は悪いし,曰くもいろいろあるらしいのに,これだけスゴイ音楽が聴こえてくるというのは,もう言葉では形容できない「音楽の力」を感じる.

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2009/07/28

ショスタコーヴィチ/森の歌

ショスタコーヴィチ/オラトリオ「森の歌」作品81@ウラジーミル・フェドセーエフ/モスクワ放送交響楽団(ビクター:VICC-83)

 1991年8月16日,17日の録音.
 録音日が,あの「8月政変」クーデター(1991年8月19日)の発生直前で,録音場所がモスクワで,しかも曲がこともあろうに(^^;)「森の歌」だったので,発売当初は色物扱いだったような記憶のある録音.とはいえ,演奏は指揮者がこのときが「最後のチャンス」と意気込んでのものだけに,透明感を漂わせた好演に仕上がっている.
 この作品は毀誉褒貶がかまびすしいわけだが,やっぱり一聴以上の価値はある名曲だと信じて疑わない.お祭りムードといい,緩急の駆け引きといい,旋律といい,20世紀にこれ以上わかりやすいクラシック作品が,あと何曲あるというのだ(^^;)?

 ところで,演奏者を見て改めて驚いたのだが,この録音でもバス独唱はヴェデルニコフが歌っているのだな.確か,スヴェトラーノフ盤でもそうだったが,さすがの迫力である.

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2009/07/27

ヘンデル/メサイア

ヘンデル/オラトリオ「メサイア」HWV56@カール・リヒター/ミュンヘン・バッハ管絃楽団(DG:480 1889)

 1964年6月の録音.
 カール・リヒターにはロンドン・フィルを振った「メサイア」のスタジオ録音(1972,1973年録音)もあるが,こちらはリヒターの手兵だったミュンヘン・バッハ管絃楽団との,ドイツ語歌詞による録音(故に,英語版に慣れきっている当方など違和感があるのは止むを得ない).例の「マタイ受難曲」などをはじめとする,バッハの引き締まった快演を連発していた時代の演奏であり,引き締まったアンサンブルながらも,豊穣としか言い様のない音楽の力をキラキラと振り撒いている.男声の独唱者がエルンスト・ヘフリガーとフランツ・クラスであることも,この演奏の魅力を大いに高めている.

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2009/07/26

ベートーヴェン/田園

ベートーヴェン/交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」@カール・ベーム/ヴィーン・フィル(アルトゥス:ALT-026/027)

 1977年3月2日,NHKホールでのライヴ録音.
 正直,新即物主義の指揮者ベームの手の内はとっくの昔にわかっているような気がしていたので,DGの全集は未だ買う気が起きず.このCDもそういえば「実演の人」ベームだと思ったのと,投売り同然の安値だったので買って来たようなもの.

 ところがどっこい,ベームはやはり只者ではなかったのであった(sigh).伊達に吉田秀和や岩井宏之のようなウルサ方から実演で賞賛されていたわけではないことが,この録音を聴いてよくわかった.何というか,漲っている「音楽の力」が明らかに桁違いなのである.とても80過ぎた指揮者の演奏とは思えない.この録音をまだ聴いたことのないひとが羨ましいくらいだ.これだから昔の人を追いかけるのが止められなくなってしまうのだよなあ.

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2009/07/24

ベートーヴェン/交響曲第8番

ベートーヴェン/交響曲第8番ヘ長調作品93@ハンス・プフィッツナー/ベルリン・フィル(グラモフォン/プライザー:90221)

 1933年の録音.
 プフィッツナーが指揮した録音では,宮沢賢治も高村智恵子も聴いていた「田園」がのんびりしたテンポでじっくりと音楽を作っていたが,8番では音楽に合わせたか,ところどころで粘りながらも,なかなか軽妙な指揮を聴かせる.ただし,プフィッツナーの味らしいところは,その粘るところだったりもする(^^;).なかなか手の込んだところを聴かせる,いい演奏.

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2009/07/23

ブラームス/ホルン三重奏曲

ブラームス/ホルン三重奏曲変ホ長調作品40@ナッシュ・アンサンブル(crd:CRD3489)

 1991年11月25日-27日の録音.
 たまには内圧の低い音楽を,と言ってブラームスを持ってくる辺りが問題っちゃ問題か(^^;).この作品はホルンとヴァイオリンとピアノの三重奏で,ブラームスらしい哀愁も漂うけれども,ホルンをフューチャアしているだけあって伸びやかでそれほど「影」は感じられないかと.ナッシュ・アンサンブルは室内楽らしく,琴瑟相和す好演を聴かせます.

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2009/07/22

マーラー/交響曲第9番

マーラー/交響曲第9番ニ長調@若杉弘/ケルン放送交響楽団

 1982年6月25日,ケルン放送大ホールでのライヴ録音.NHK-FMで1983年4月26日に放送されたもののエアチェックである.今どき「エアチェック」という言葉も死語だろうか.

asahi.com(朝日新聞社):指揮者・若杉弘さん死去 新国立劇場芸術監督 - おくやみ・訃報
http://www.asahi.com/obituaries/update/0721/TKY200907210298.html

訃報:若杉弘さん 74歳=新国立劇場オペラ芸術監督 - 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/person/news/20090722ddm041060183000c.html

 1980年前後にNHK-FMで海外オケのライヴを聴いていた人間には,小澤征爾より若杉の方がなじみの指揮者だったのではないか.ケルン放送響のライヴ演奏は時々番組でかかったけど,小澤/ボストン響のライヴは「著作権の関係」とかで,NHKではザルツブルク音楽祭のライヴ録音すらかからなかった.番組の司会者(誰だったか.あのときは渡辺学而だったか)がいかにも残念そうな口ぶりで小澤のことを釈明していたものである.

 話が逸れた.若杉は後期ロマン派から新しい時代の音楽を盛んに当時は取り上げていた.マーラーは若杉のレパートリーとしては古い時代の音楽だったような覚えがある.一度,例外のようにブラームスの第3番がかかったときは,番組の司会者が「先日も古典を楽譜を見っぱなしで指揮しててちょっと暗譜が怪しかった」などと皮肉っていたものである.
 時にマーラーは僕にとっても当時(今でも,か)のめりこんでいた音楽で,この若杉の演奏が堂々たる押し出しの立派な演奏であることに感激したものである.確か1番はシュターツカペレ・ドレスデンとの録音がメジャーレーベルに残されたはずだが,他の交響曲を含む全集は東京都響との録音で(フォンテック),指揮者の意図を十全に体現できないオケの非力さばかりが目について,1番などはハンブルク稿の録音として歴史的価値があるものの,あとはすれっからしのマニアでもなければおススメできない代物だったのが,何とも残念である.おまけに,N響と録音を始めたブルックナーはオケと決裂し結果中絶してしまったのは,かえすがえすも勿体無かった.

 ちょっと早かったんじゃないか,という思いは消えない.

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2009/07/21

マーラー/交響曲第6番

マーラー/交響曲第6番イ短調@ジョージ・セル/クリーヴランド管絃楽団(ソニークラシカル:SBK 47654)

 1967年10月の録音.
 ライヴ録音であまり音は良くないが,さすがにセルのアンサンブルのコントロールは完璧.ただそれが却ってあだになり,一点もゆるがせにしないセルのフレージングのおかげで,音楽は随分と息苦しくせせこましくなっていて,マーラーの(特にこの作品では顕著に聴かれる)破天荒さが充分に表現されているとは言い難い.セルは恐らくこの作品が古典派の外見をしているから,内容も古典派の枠組で収まるものなのだろうと解釈したのかもしれないが,ところがシェーンベルク以来,この作品がところどころで古典派の枠を超えた破調の美を体現していることを分析した評論は片手に余るのではなかったかしらん? 

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2009/07/20

シマノフスキ/交響曲第2番

シマノフスキ/交響曲第2番変ロ長調作品19@アントニ・ヴィット/ワルシャワ・フィル(ナクソス:8.570721)

 2007年4月16日と19日の録音.
 2楽章からなり,第2楽章が6つの変奏曲とフーガという構成.響きはこれはまた,かなりリヒャルト・シュトラウス+スクリャービン(^^;)な雰囲気.なかなか派手な音楽で聴き手を飽きさせない.

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2009/07/18

J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番

J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第1番ト短調BWV1001@アルテュール・グリュミオー(フィリップス:PHCP-9637/9638)

 1960年11月の録音.
 とにかく美音.四の五の理屈を並べ立てる必要が無い美音.それだけでアドヴァンテージが高い.

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2009/07/17

シューベルト/交響曲D944

シューベルト/交響曲ハ長調D944(第9番)@ジョン・バルビローリ/ハレ管絃楽団(EMI/新星堂:SAN-2)

 1966年の録音.にしては,音がいまひとつ.リマスタリングが上手くいってないのか? このCDは1990年のリマスタリングだが,その後リマスターがやり直されたという話も聞かない.
 演奏は遅めのテンポで諄々と進む晩年のバルビローリ節のはずだが,絃の音が何やらキンキンしていて聴きづらいのが難.独特のバランス感覚など,面白い箇所があちらこちらに聴けるだけに残念である.

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2009/07/16

ブルックナー/交響曲第9番

ブルックナー/交響曲第9番ニ短調@ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル(DG:429 648-2)

 1975年9月の録音.
 まあ,全然神秘的でも夢幻的でもないブルックナーで,割と現実的というか実務をバリバリこなすブルックナー,という感じ.彼岸ではなく此岸の音楽ですね.それがつまらないかと言われれば,そんなことはないのが不思議(^^;).アンサンブルは完璧だし,鳴るべき音楽は鳴っているし,ブルックナーのツボというツボはすべて抑えてあるから.そのあたりが徹頭徹尾ダメなメータとは,さすがに違う.

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2009/07/15

マーラー/大地の歌

マーラー/交響曲「大地の歌」@フリッツ・ライナー/シカゴ交響楽団(BMG:60178-2-RG)

 1959年11月7日と9日の録音.
 季節外れとは思うが「大地の歌」.ライナーの剛直な指揮は当然,ここでも健在である.「秋霜烈日」という形容がぴったり当てはまるような,おおよそ感傷からは遠い,涼やかで激しい演奏を展開する.「大地の歌」はロマンティックな音楽だが,意外に(?)新即物主義的なかっちりした解釈と相性がいい.

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2009/07/14

ニールセン/交響曲第2番

ニールセン/交響曲第2番ロ短調「4つの気質」作品16@ダグラス・ボストック/ロイヤル・リヴァプール・フィル(クラシコ:CLASSCD 296)

 1999年8月2日と3日の録音.
 4つの楽章でそれぞれ「胆汁質」「粘液質」「憂鬱質」「多血質」という4つの気質を表現した作品.物語のある標題音楽というよりは,音楽によって一定の雰囲気を表現しようとしたものであろう.ボストックの演奏は,派手にスペクタクルにやろうと思えばいくらでもできそうなこの作品を,渋めの鈍色な音色で,安全運転だが出るところは出る,という感じでまとめている.

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2009/07/13

マーラー/交響曲第10番

マーラー/交響曲第10番嬰ヘ長調@エリアフ・インバル/フランクフルト放送交響楽団(デンオン:COCO-75129)

 1992年1月15日-17日の録音.
 インバルのマーラーというのはよくわからないな.マニアックなほどに,瞬間瞬間の美に拘泥しているような感じはするが・・・・・・.

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2009/07/12

ドヴォルジャーク/交響曲第4番

ドヴォルジャーク/交響曲第4番ニ短調作品13@リボル・ペシェク/チェコ・フィル(ヴァージン:5 61853 2)

 1987-1989年ごろの録音.手元のCDが交響曲全集で不親切な表記なのであったorz
 叙情的な旋律に溢れたドヴォルジャーク初期の佳作.個人的にも,30年来の付き合いで8,9番以外ではもっとも馴染んでいる作品であり,9番より聴く機会が多いかもしれない.ペシェクの演奏は地味で堅実で取り立てた特徴は無いけど,アンサンブルを手堅く練り合わせた好演.ドヴォルジャークの録音では,案外アンサンブルが軽視されているというか,音楽の勢いをとった演奏の方が多いような気がするので,アンサンブルが押さえられている録音はそれだけで得点が高い(^^;).

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2009/07/10

マーラー/交響曲第10番

マーラー/交響曲第10番嬰ヘ長調(クック版第2版)@クルト・ザンデルリンク/ベルリン交響楽団(ドイツ・シャルプラッテン:32TC-72)

 1979年11月29日-30日の録音.
 デリック・クックの補作による,未完成の交響曲第10番の演奏用ヴァージョン第2版に,ザンデルリンクが大幅に手を入れた(特に打楽器)もの.ひんやりした渋いオケの音色とザッハリヒなザンデルリンクの解釈に,補筆された打楽器が厳しく,涼やかに響き渡る様は,マーラーの暖色系のオーケストレーションとは若干齟齬を来たすものの,これはこれでなかなかの説得力を有している,と言えようか.

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2009/07/09

マーラー/交響曲第9番

マーラー/交響曲第9番ニ長調@レナード・バーンスタイン/アムステルダム・コンセルトヘボウ管絃楽団(DG:476 7134)

 1985年5月29日-6月3日の録音.
 マーラーの他の交響曲はともかく,こと第9番に関しては,バーンスタインの演奏というものは凄まじいまでのオーラを放っている.あのベルリン・フィルとの一期一会な名演(DG)ばかりが高名だが,このコンセルトヘボウとの録音もおさおさひけを取るものではない.両端楽章に延々30分前後の時間をかけ,音楽は爛熟して今にも崩落せんとしているが,オケの素晴らしいアンサンブルと古風な響きがそれを押しとどめて,雄大な大河の奔流のような演奏を繰り広げている.

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2009/07/08

マーラー/交響曲第8番

マーラー/交響曲第8番変ホ長調@山田一雄/東京都交響楽団(ソニー:SICC 957/958)

 1979年2月12日,藤沢市民会館でのライヴ録音.
 山田一雄(192-1991)はこの作品の日本初演(1949年12月8日,日比谷公会堂)を振った指揮者.残された初演時の映像(第1部のコーダ)を見たことがあるが,山田は髪を振り乱し大きなゼスチュアで指示を出し,まさに「獅子奮迅」といった表現がピッタリくる指揮ぶりであった.
 このCDのジャケット(LP初出時と同じ)でも,オケと反対側にいる合唱に向かって指示を出している山田の姿が映し出されているが,とにかく特徴的な指揮姿であったらしい.このCDに収められているライヴも,ライヴ故のゆるさは聴かれるものの,ひたむきに前へ進む,壮烈で豪快な演奏である.

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2009/07/07

マーラー/交響曲第7番

マーラー/交響曲第6番ホ短調@オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管絃楽団(EMI:7 64147 2)

 1968年9月の録音.
 超弩級戦艦の如く,超微速漸進で進む壮大なスケールの演奏.第1楽章が27分超,第5楽章が24分超,全体を合わせて100分少々という凄絶さである.クレンペラーはプラハにおけるこの曲の,作曲家自身による初演に立会い手伝いもしたはずなのだが,そのときマーラーがこのテンポで演奏したとは思えないし,何を考えて指揮していたのやら.しかし,聴き進めていくうちに何時しかクレンペラーの演奏に取り込まれて,終楽章が終わるとその圧倒的な存在感に,もうテンポなんかどうでもいい,と思わせてしまうところがクレンペラーの端倪すべからざるところ.

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2009/07/06

マーラー/交響曲第6番

マーラー/交響曲第6番イ短調@クリストフ・フォン・ドホナーニ/クリーヴランド管絃楽団(デッカ:436 240-2)

 1991年5月20日の録音.
 いったい,ドホナーニのマーラーは全集録音が中絶してしまったこともあってか,あまり評判にならないが,この6番は高性能のオケを,モダーンな芸風の指揮者がその性能を最大限まで引き出して,マーラーの乱反射する音楽を高度な次元で整頓した,実に見事な演奏.

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2009/07/05

マーラー/交響曲第5番

マーラー/交響曲第5番嬰ハ短調@ガリー・ベルティーニ/ケルン放送交響楽団(EMI:3 40243 2)

 1990年1月29日-2月3日の録音.
 ベルティーニの5番は,1度生で聴いた.1985年の3月に簡易保険ホールであった東京都響の演奏会で,曲目は5番のみ.さすがにこの録音で聴けるような金管の鮮烈さには,当時の都響の金管は比較すべくもなかったが,それでもベルティーニの閃光きらめくがごとき俊敏な棒捌きに反応していた.
 この録音はさすがに手兵との録音で,ケルン放送響はベルティーニの解釈によく反応して優れた演奏を聴かせる.ベルティーニのマーラーは過度にロマンティックに陥ることの無い,現実主義的なもので,終楽章の冒頭でも夢幻のような雰囲気は出さない.平凡な日常の朝の目覚めのような感じで,そこが面白いところ.

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2009/07/04

マーラー/交響曲第4番

マーラー/交響曲第4番ト長調@キリル・コンドラシン/モスクワ・フィル(BMGメロディア:BVCX-37008/37011)

 1972年の録音.
 コンドラシン(1914-1981)のマーラーは,リュッケルト交響曲(5,6,7番)や9番がいいので4番ではどうかな? と思って聴いてみると,どっこいちゃんと4番している(^^;).さすがにツボを外していない.
 ちなみにこの演奏,最初は終楽章の独唱をロシア語で録音したのだが,1973年に同じ独唱者を起用してドイツ語で録音しなおしているのが面白い.ここでは両方の録音が収録されているので聴き比べが可能.なお第3番の録音でもコンドラシンは,同様にロシア語,ドイツ語の両方で録音している.

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2009/07/03

マーラー/交響曲第3番

マーラー/交響曲第3番ニ短調@ジェームズ・レヴァイン/シカゴ交響楽団(BMG:BVCC-38132/38133)

 1975年6月21日-23日の録音.
 レヴァインが,シカゴ交響楽団の美点をフルに引き出し,一糸乱れぬアンサンブルでカラフルにマーラーの音楽をケレンミなく振り切った,という印象.3番に相応しく,実にすがすがしい好演である.
 このCD,第1楽章が1枚目で第2楽章以下が2枚目に収録されている.この交響曲は第1楽章が第1部,第2楽章以下が第2部と分けられているので,このような収録方法は必然性があるのだが,同じように収録されているCDは意外に少ないのではないかしら.

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2009/07/02

マーラー/交響曲第2番

マーラー/交響曲第2番ハ短調@オスカー・フリート/ベルリン国立歌劇場管絃楽団(ポリドール/パール:GEMM CDS 9929)

 1923年の録音.年代からして当然,ラッパ吹き込み(機械録音)なので音は実に貧しい.
 オスカー・フリート(1871-1941)が,マーラーから「復活」の解釈をみっちり仕込まれたことは,つとにクレンペラーが伝えるところであるが,それにしてもこの演奏は何なんだか(^^;).時々ハッとするようなポルタメントがあったり,テンポの揺れが激しく,特に追い込むようなアッチェレランドが聴かれるのはわかるのだが,とにかくアンサンブルがガサツで整えられてないことも,この貧しい音を越えて聴こえてくる.もう少し条件のよい録音とオケだったら,シェルヘンもビックリの奇矯な演奏が残されたのかもしれないが(この録音でも充分奇矯なのかもしれないが),惜しいことである.

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2009/07/01

マーラー/交響曲第1番

マーラー/交響曲第1番ニ長調@ヘルマン・シェルヘン/ロイヤル・フィル(ウェストミンスター:471 246-2)

 1954年9月の録音.モノラルだけど音はさすがに録音で売ったウェストミンスター原盤,厚みには乏しいがクリアな音がする.
 ご存知,数々のライヴ録音ではアンサンブル無視で走り出し,マーラーをズタズタにカットしてしまうことで悪名高い(?)シェルヘンであるが,このスタジオ録音ではテンポやオケのバランスに独特の解釈が聴けるものの,カットも無く,アンサンブルも至極普通に整えられている.この録音より15年ほど前のミトロプーロスの録音(CBS)に比べれば,そのアンサンブルの整然さは一目瞭然.シェルヘンがマーラー演奏のためにオケをしごいたのだろうか(^^;).

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2009/06/29

シマノフスキ/交響曲第1番

シマノフスキ/交響曲第1番ヘ短調作品15@アントニ・ヴィット/ワルシャワ・フィル(ナクソス:8.570722)

 2008年1月2日と3日の録音.
 ナクソスで進行中(?)の,新しいシマノフスキ作品集から.1906年,シマノフスキ(1882-1937)最初期の作品であり,2楽章で18分ほどの,規模の小さな交響曲.作曲家自身はこの作品を「和声の怪物」と呼んだそうだが,劇的で華やかな音楽である.前の年に書かれた「演奏会用序曲」作品12がコルンゴルトのような響きを聴かせているのに対し,こちらはリヒャルト・シュトラウスの交響詩を思わせる.
 演奏は堅実だが,派手目の色彩は押さえている好演.

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2009/06/28

マーラー/交響曲第6番

マーラー/交響曲第6番イ短調@ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル(DG:457 716-2)

 1975年と1977年の録音.
 既に別のCD(POCG-2256/2257)を持っていたのだが,たまたまTHE ORIGINALSが安売りで出ていたのを購入.一聴,音の違いに呆然とする.これは確かに,LP時代に聴いていた音だわ.高校時代,誰かに譲ってしまったのでもう手元に無いが,この録音のLPは何度聴いたかわからない.いま聴いても,「音楽の内面? ふん,そんな甘いこと言ってんじゃないよ」と言わんばかりの,凄まじいまでの恐ろしく完璧なアンサンブルのコントロールである.

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2009/06/27

ニールセン/交響曲第3番

ニールセン/交響曲第3番作品27@ダグラス・ボストック/ロイヤル・リヴァプール・フィル(TIM:220563-205)

 クラシコ・レーベルのボストック/ニールセン交響曲集からのライセンス生産盤.
 ボストックは崩壊寸前だった古豪,ロイヤル・リヴァプール・フィルを立て直したということで名を上げた指揮者.ここで聴くロイヤル・リヴァプール・フィルも,ニールセンを演奏するには少々薄手かな,と思わなくも無いが健闘はしている.むしろ薄手なところを逆手にとってオーケストレーションをクリヤーに聴かせようという,ボストックの解釈やよし(^^;).
 なおこの録音では「alternative version」として第2楽章の異稿が録音されている.

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2009/06/26

グレインジャー/リンカーンシャーの花束

グレインジャー/「リンカーンシャーの花束」@ティモシー・レイニッシュ/ロイヤル・ノーザン音楽学校吹奏楽団(シャンドス:CHAN 9549)

 1996年12月14日-16日の録音.シャンドスのグレインジャー作品集第4巻,吹奏楽作品篇である.
 このCDを通して言えることだが,シャンドスに各国の吹奏楽作品を録音しているこの吹奏楽団,このCDが一番音楽する歓びに満ち溢れて吹いているように聴こえる(^^;).やっぱり,オーストラリア生まれのグレインジャーは感覚が近しいのか.表現も音楽にぴったりはまっているところが,何とも言えず楽しい聴き物.

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2009/06/25

ブラームス/クラリネット三重奏曲

ブラームス/クラリネット三重奏曲イ短調作品114@ペーター・シュミードル,乾まどか&テオドラ・ミテヴァ(ナクソス:8.557232)

 2002年11月17日-19日の録音.
 こじんまりとした演奏が,ブラームス晩年のモゴモゴ何か言ってますよ,という作風によく似合っている.雄弁に何かを語るのではなく,疲れて窓の外を眺めているひとに向かって,「はいどうぞ」とカモミールティー(ただし砂糖なし)がそっと出される,そんな風情.
 聴いてるほうも,若干疲れているかも.

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2009/06/24

ヤナーチェク/グラゴル・ミサ

ヤナーチェク/グラゴル・ミサ@ラファエル・クーベリック/バイエルン放送交響楽団(DG:463 672-2)

 1964年11月の録音.
 ヤナーチェク(1854-1928)は晩成のひとで,代表作のほとんどが晩年の作品.「シンフォニエッタ」もこの「グラゴル・ミサ」も1926年の作曲である.初期の作品は本人が捨ててしまったらしいし,また「運命の人」に出会ったのが63歳のとき,という話もあるのだが(^^;).
 この録音は重厚さに焦点を当てた演奏で,若干重く聴こえる向きもあるが,宗教音楽らしからぬ情熱の荒れ狂う音楽を,よくよく押さえつけてよどみなく,なかなかしっとりと聴かせる.
 
 なお,作品の成立と内容については日本ヤナーチェク協会のサイトに,関根日出男氏による「グラゴル・ミサ」についてという懇切な解説があるので,そちらを参照してほしい.

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2009/06/23

ヤナーチェク/シンフォニエッタ

ヤナーチェク/シンフォニエッタ@ロヴロ・フォン・マタチッチ/ザグレブ・フィル(ザグレブ・フィル:CD 37596)

 1979年12月19日の録音.
 なんつーか,録音もおぼつかなければ,アンサンブルもタガが外れたような調子っぱずれで,音もあちこちで外しまくっているし,何の参考にもならないんじゃないかという迷演奏(^^;).それがとにもかくにも聴けてしまうのは,何と言っても指揮者マタチッチの腹芸と,途中から何とか立ち直ってマタチッチの棒に忠誠を誓うザグレブ・フィルの献身あってのものかと.こうなってくるとヤナーチェクさえ関係なくなる(^^;).いや,もちろんヤナーチェクの野趣は充分に表現されているのだが,それすら超えてしまう指揮者の芸を聴くべき録音だろうな,これは.

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2009/06/22

ヤナーチェク/シンフォニエッタ

ヤナーチェク/シンフォニエッタ@フランティシェク・イーレク@ブルノ・国立フィル(スプラフォン:SU 3888-2)

 1986年4月14日-16日の録音.
 ヤナーチェクの故郷モラヴィアのオケと,ヤナーチェクのスペシャリストとして鳴らした指揮者イーレク(1913-1993)による「シンフォニエッタ」である.ヤナーチェクの野趣溢れる楽想とオーケストレーションが楽しめる演奏なのだが,日本での世評はそれほど高くないように思われるのが残念.正直,どの楽器も同じ色に聴こえてしまうあれよりは,こちらの原色っぽい演奏の方がヤナーチェクらしいぞ(^^;).

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2009/06/19

ショスタコーヴィチ/森の歌

ショスタコーヴィチ/オラトリオ「森の歌」作品81@ヴラディーミル・アシュケナージ/ロイヤル・フィル(ロンドン:POCL-1457)

 1991年10月の録音.明日は杜の都に出かけるので「森」つながりである(^^;).
 このCD,他に祝典序曲とか交響曲第2番とか交響詩「10月」とか収録されているが,何故か「森の歌」だけ録音が遠い(-_-;).前3曲と同じ音量で聴こうと思うと何も聴こえない.合唱を使う作品だからと録音技師が下手な気を回したのか.おまけに,妙にソフトフォーカスで音がボケている.演奏もオケが薄い上にアクセントが変に軟らかくて,迫力不足.カップリングなど企画はいいのに,肝心の演奏がこれではイカン.

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2009/06/18

ヴァーグナー/ジークフリート牧歌

ヴァーグナー/ジークフリート牧歌@カール・シューリヒト/バイエルン放送交響楽団(スクリベンドゥム:SC011)

 1961年9月の録音.
 コンサートホール・レーベルで発売されていた録音である.シューリヒトが振ったこのレーベルへの録音は残響が乏しく音が貧しいのが通例だが,バイエルン放送響を振った幾つかの録音は,平均点よりやや低い程度で何とか踏みとどまっている.
 で,相変わらずシューリヒトの演奏は速い(^^;).この録音も16分40秒で仕上がっている.それでもあまり素っ気無さを感じさせず,そこはかとなくロマンティックな風情を感じさせるところが,シューリヒトの芸である.

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2009/06/17

ブラームス/交響曲第4番

ブラームス/交響曲第4番ホ短調作品98@エフゲニ・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル(BMG:74321 29401 2)

 1973年4月28日,レニングラードでのライヴ.
 ムラヴィンスキーのブラームスは何故か意外に(^^;)好きで,特にヴィーンでの2番のライヴは,あれは録音の悪さを超えて「みんな聴け!」的な中毒を起こしているところ.この4番も優れた演奏.激しいブラームスがお気に入りらしい>>筆者.ブルックナー(7番や9番)では気になるオケ(中でも金管)のロシア風味が,ブラームスでは不思議と気にならないのは,録音のせいかムラヴィンスキーの解釈か.いや,ブラームスのオーケストレーションでは,金管が咆哮する場面というのはあまりないのだった.

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2009/06/16

ブルックナー/交響曲第9番

ブルックナー/交響曲第9番ニ短調@ジョン・バルビローリ/ハレ管絃楽団(BBC:BBCL 4034-2)

 1966年7月29日,ロイヤル・アルバート・ホールでのライヴ録音.
 1966年にしては録音が貧しくて,バルビローリの音楽が捉え切れてない,という印象.音楽の激しさに焦点を当てて,ブロックごとにテンポが切り替わるような解釈だが,どうもあまりうまくいっているように聴こえないのは,多分に録音のせいのような気がする.あのシベリウスのように,金管がとろけるような音を出しているところまではわかるのだが,惜しいことだ.

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2009/06/15

ショスタコーヴィチ/交響曲第15番

ショスタコーヴィチ/交響曲第15番イ長調作品141@ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管絃楽団(BMG:BVCC-38300)

 1972年10月4日と5日の録音.
 我が尊敬おくあたわざる先達のひとり柴田南雄が「作曲家の心情とは無関係にハッピーな音を鳴らしている」と批判した録音だが,いま聴くとその評価は不当であると言わざるを得ない.ここに聴けるフィラデルフィアのアンサンブルはよく練り上げられており,多分に虚飾を排したオーマンディの解釈が,フィラデルフィアの暖かで虚無的には聴こえない音をクローズアップする結果になったのが誤解の因であろう(地獄の釜の蓋を開けたような深遠を聴かせるザンデルリンクあたりを聴きこんでいると,物足りなく感じることはあるだろうが).それとも,当時のオーマンディ≒俗悪,という日本の楽壇における悪宣伝に,さすがの柴田も耳が曇ったのであろうか.

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2009/06/14

シベリウス/交響曲第2番

シベリウス/交響曲第2番ニ長調作品43@ロベルト・カヤヌス/交響楽団(EMI/フィンランディア:FACD 81234)

 1930年5月録音.
 カヤヌス(1856-1933)は,シベリウス(1865-1957)の作品受容にあづかって力のあった指揮者である.この録音は,1930年から1933年にかけてカヤヌスがシベリウスの作品を録音した中での1枚で,音はこの頃の復刻の平均値程度の音.全曲を通して38分あまりと,ポール・パレーと同じくらいテンポが速いのが特徴で,細かいニュアンスよりも全体の雰囲気を大づかみに鳴らす,といった感じである.残念ながらオケの技量がいまひとつで,このテンポについていけないのか,ところどころアンサンブルが崩壊しかかっているのが何とも.

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2009/06/13

ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第8番

ベートーヴェン/ピアノ・ソナタハ短調作品13(第8番)「悲愴」@ルドルフ・ゼルキン(ソニークラシカル:SRCR 1534)

 1962年12月の録音.
 本当の「ブリリアント」なピアノというのは,こーゆう演奏だぞ,と声を大にして(^^;)訴えたくなる演奏.技術的には何の不安も無く,ベートーヴェンの音楽の十全な再現としてまず完璧ではないかと.この頃のゼルキンがベートーヴェン全集を残さなかったのは,かえすがえすも残念無念.特に晩年の作品に,この頃のライヴなどLCにでも残ってないモノか?

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2009/06/12

ブラームス/セレナード第2番

ブラームス/セレナード第2番イ長調作品16@イシュトヴァン・ケルテス/ロンドン交響楽団(デッカ:UCCD-9251)

 1967年10月の録音.
 ブラームス20代の作品で,ヴァイオリンを含まない2管編成のオケによる5楽章の音楽である.同時期のセレナード第1番に比べ,いささか渋いところがあって後年の作風を予感させないでもないが,ちっともアレグロに聴こえない第1楽章など,伸びやかで甘い陽光がさんさんと降り注ぐような雰囲気を醸し出している.ケルテスの指揮も,そんな若書きの美点を余すことなく引き出している好演.

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2009/06/11

ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番

ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番変ホ長調作品73@エミール・ギレリス&カール・ベーム/チェコ・フィル(オルフェオ:C 608 032 B)

 1971年8月8日,ザルツブルク音楽祭でのライヴ録音.
 この録音より少し前に,ギレリスはセルと組んでベートーヴェンのピアノ協奏曲全集をEMIに録音しているのだが,これは録音が悪すぎてギレリスとセルの素晴らしい演奏を台無しにしてしまっている.同じくギレリスとセルによる,ザルツブルク音楽祭での3番のライヴ(オルフェオ)が素晴らしいだけに,録音の拙さがかえすがえすも残念.
 こちらの5番はそれなりに録音もよく,ギレリスの出るところは出る,硬軟うまく取り混ぜたピアノを,ベームとチェコ・フィルという珍しい組み合わせのサポートが,セルの鋭さの代わりに,仕立てのいい柄の大きな音楽を聴かせてくれる.

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2009/06/10

ヤナーチェク/シンフォニエッタ

ヤナーチェク/シンフォニエッタ@ジョージ・セル/クリーヴランド管絃楽団(CBSソニー:CSCR 8211)

 1965年10月15日の録音.
 このCDは,ソニークラシカルがまだCBSソニーの名乗りを捨てていない,消費税が3%だった頃に入手したもの.確か1990年だったと思う.カップリングがバルトークの「管絃楽のための協奏曲」なのは,現行の国内盤と同じ.

 セルの演奏は速めのテンポで,あまりタメやシナを作らない,楷書で書かれた書のようの印象を受けるものが多い.ところがここでは若干遅めのテンポで,しかもあちこちでテンポを細かく動かし,じっくりとしかし熱く共感を語るが如く音楽を進めているのが珍しい.そしてセルらしい精緻なフレージングとアンサンブルで,見事な音の構築を聴かせる.
 惜しむらくは楷書よろしく,精密すぎるほど精密なセルのいつものフレージングが,ヤナーチェクの破天荒な音楽が持つ魅力を減じてしまっているところ.整理整頓が行き届いたアンサンブルがセルの持ち味でありこそすれ,破天荒を破天荒として原石のまま放り出すのはセルの任ではないが.

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2009/06/09

ショパン/夜想曲第1番

ショパン/夜想曲変ロ短調作品9の1(第1番)@レオポルド・ゴドフスキー(スタインウェイ:456 805-2)

 1928年6月の録音.
 ゴドフスキー(1870-1938)は「ピアニストの中のピアニスト」と呼ばれたという,戦前の大ピアニスト.のはずなのだが,残された録音はあまりいいのがないという話ではある.この夜想曲は粘るところもそれほどなく,速いテンポで淡々とあっさり弾かれていて(例えばブライロフスキーの同じ曲の録音は,伸びたり縮んだり,のたうつようなロマンティシズムに溢れている),特にリズムがひっかかるでもなく,音楽が自分で語りたいことを語るぞ,といった趣き.

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2009/06/08

ショパン/英雄ポロネーズ

ショパン/ポロネーズ変イ長調作品53(第6番)@イグナーツ・ヤン・パデレフスキー(BMG:BVCC-5200)

 1937年1月30日の録音.
 パデレフスキー(1860-1941)最晩年の録音.正直,復刻された音はだんごでテクニックも怪しくなっているが(明らかに外した箇所や,どう聴いても弾きやすく弾き崩したとしか聴こえない箇所も)(^^;),それでも往年の轟音と途方もないスケールは健在のようで,地鳴りのようなアルペジオや轟くフォルテがそこかしこに埋め込まれていて,なかなか楽しい.最近の,清潔で端正な表情を身上とするピアニストからは聴くことの出来ない「味」である.

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2009/06/06

W.A.モーツァルト/交響曲第29番

W.A.モーツァルト/交響曲イ長調K.201(第29番)@オットー・クレンペラー/ニュー・フィルハーモニア管絃楽団(EMI:3 45815 2)

 1965年9月21日の録音.
 ベートーヴェンやマーラーなどで見せるのとは,別の顔を見せるクレンペラー(1885-1973)である.何と言うか,音楽が実に幸せな響きに満ちている.「アマデウスだからだろ!」と言われればそれまでだが(^^;),どっこい「ふんわり」はしていないところがミソ.ベートーヴェンの演奏と同様の剛直な音作りなのだが,それが何故か明るい雰囲気に仕上がっているのだ.フモールな木管の響きといい,懐かしささえ漂わせる,あたたかな音楽である.

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2009/06/05

ブルックナー/交響曲第5番

ブルックナー/交響曲第5番変ホ長調@飯森範親/山形交響楽団(オクタヴィア:OVCX-00048)

 2009年1月20日-21日の録音.
 オケは健闘してます.大健闘です,これは保障します.一所懸命です.指揮者の解釈は,ところどころレーグナー(^^;)みたいなところがあって,全体にこじんまりとしている割には,テンポやクレッシェンドが表情過多なところはありますが,まあ様式をぶち壊しているほどではない,許容範囲内というところ.
 しかし,いくら何でも響きがデッドで残響が無いというのは如何なものか.ベートーヴェンならまだしも,ブルックナーなんですよ.「オルガンの響き」と形容される音楽を,潤いの無い響きで聴かされるのは厳しい.録音するホールを選んだ方がよかったんじゃないかなあ.ちと残念.

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2009/06/04

ベートーヴェン/交響曲第5番

ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調作品67@エーリヒ・クライバー/アムステルダム・コンセルトヘボウ管絃楽団(デッカ:417 637-2)

 1952年の録音.
 光彩陸離たる快進撃.剛毅に直球をど真ん中に投げ込んでくる,そんなイメージの演奏.鋼鉄の芯が一本通っているかのようだ.行く手に待ち受ける苦難も何するものぞ,という気概さえ感じられる.それでいて,音楽は教条的に硬直化せず,しなやかに躍動する.そして終楽章は文字通り,歓喜の爆発である.音楽する歓びに溢れた好演.

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2009/06/03

グノー/9つの管楽器のための小交響曲

グノー/9つの管楽器のための小交響曲@アテナ・アンサンブル(シャンドス:CHAN6543)

 1978年11月の録音.
 J.S.バッハの平均律クラヴィーア曲集第1巻第1曲にメロディを載せた「アヴェ・マリア」,あるいは「ヒッチコック劇場」で使われた「おもちゃの兵隊の葬送行進曲」で知られるシャルル・グノー(1818-1893)は,管絃楽のための交響曲を若い頃に2曲作曲した.この小交響曲は,その2曲とは別に,晩年(1885年)に作曲された作品で,ホルンを含む木管九重奏という編成をとる.20分ほどの作品だが,親しみやすく,愛らしい旋律が持ち味で,以前は現在よりも,よく聴かれた作品だったと記憶する.
 演奏は実直.誠実だが,もう少し華やかさと軽やかさが欲しいところ.

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2009/06/01

ドヴォルジャーク/交響曲第9番

ドヴォルジャーク/交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」@ポール・パレー/デトロイト交響楽団(マーキュリー:434 317-2)

 1960年2月の録音.
 両端楽章の提示部繰り返しが省略されているのを差し引いても34分余り,という最速の「新世界」では,と思われる演奏.国民楽派が,とか民族主義が,とか言う御託はどこかに吹っ飛ばされてしまい,引き締まった表情で快速調に進む音楽である.余計なものを削ぎ落としたところに,音楽の微小なニュアンスが明滅する様は,他の指揮者ではなかなか聴けぬ芸当かと.

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2009/05/31

ブラームス/交響曲第1番

ブラームス/交響曲第1番ハ短調作品68@クラウス・テンシュテット/ロンドン・フィル(EMI:TOCE-9683)

 1983年9月の録音.
 何と言っても,大健闘のLPOが,それでもテンシュテットの指揮に応え切れていないのが,どうにも惜しい録音.ホントにショルティとハイティンクの薫陶を受けたオケかいな(もっとも,ハイティンクと録音したショスタコーヴィチでも,LPOには欲求不満を感じたものだったが),と思わないでもない.

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2009/05/30

W.A.モーツァルト/交響曲第41番

W.A.モーツァルト/交響曲ハ長調K.551(第41番)@レナード・バーンスタイン/ヴィーン・フィル(DG:POCG-9587)

 1984年1月の録音.
 こーゆう,ゆったりめの大柄なモーツァルトは,最近ではあまりお目にかかれなくなってしまったような.みんな古楽派のとんがった音と雰囲気のアマデウスか,ベームの縮小再生産みたいな四角四面のモーツァルトで,バーンスタインやジュリーニやヨッフムのような暖色系で柄の大きい演奏はどこかに消えてしまったかのようだ.まあ,この手の演奏がそのうち復権することもあるだろう,と首を長くして待ってみるか(^^;).

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2009/05/29

シューマン/交響的練習曲

シューマン/交響的練習曲作品13@エリー・ナイ(コロッセウム:COL 9025-12.2)

 1962年の録音.
 第二次大戦前のドイツで「ベートーヴェン弾き」として一世を風靡したピアニスト,エリー・ナイ(1882-1968)が晩年に残した一連の録音から,シューマンのピアノ曲でも難曲のひとつ「交響的練習曲」である.シューマンが初版の出版の際に省いた5つの変奏曲は,最後にまとめて演奏されている.
 御年80歳になんなんとするピアニストの演奏だが,陰影に富んだ情感たっぷりの演奏で,なかなか小粋な雰囲気に仕上がっている.スケール感にも不足していない.例の長い長いフィナーレは,さすがに少々ギクシャクした弾き方になってはいるが,小節を弾ききれずに落としてしまうコルトーのようなことはなく,ちょっとアクが強い弾きっぷりだな,と思わせる程度のところに収まっている.見事なものである.

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2009/05/28

マーラー/交響曲第7番

マーラー/交響曲第7番ホ短調@サイモン・ラトル/バーミンガム市交響楽団(EMI:7 54344 2)

 1991年6月21日と22日の録音.
 最近は購入したCDがことごとくハズレで,もう買わないと決めているラトル(1955-)だが,この頃はさすがに颯爽とした指揮ぶり.さして高性能とも思えないオケを存分にドライヴし,整然と練り合わされたアンサンブルに光彩陸離たる音楽を載せることに成功している.この,統一感に欠ける交響曲の,終楽章に至るまでの道程に,とにもかくにも説得力を持たせてしまっているのだから,当時は本当に才気に溢れていたんだな,と,このところのガッカリ感を慰めたところ.

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2009/05/27

プロコフィエフ/古典交響曲

プロコフィエフ/古典交響曲ニ長調作品25@ヴァレリー・ゲルギエフ/ロンドン交響楽団(フィリップス:475 7655)

 2004年5月1日と2日の録音.
 何だか鈍重な「古典交響曲」である(^^;).この作品は,こんなに重々しく演奏されなきゃならないような大作じゃああるまい.終楽章にいたって,ようやくこの作品の持ち味である軽妙さが発揮されるのだが,そこに辿り着くまでにヘヴィな気持ちにさせられてしまい,終楽章の爆発を額面どおりに受け入れられなくなってしまう.

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2009/05/26

マーラー/交響曲第6番

マーラー/交響曲第6番イ短調@ジョン・バルビローリ/ニュー・フィルハーモニア管絃楽団(EMI:7 67816 2)

 1967年8月17日-19日の録音.
 とにかく遅いテンポで,弩級戦艦のような巨体をひたむきに押す演奏.第1楽章の繰り返しを省略しているのに演奏時間が21分を越える.終楽章も32分を越え,全体では83分強という.しかも音の密度というか,内圧が異様に高い.かと言ってジョージ・セルのように演奏が目詰まりを起こしているわけでもない(セルの演奏はフレーズをきっちりきっちり刻んでいるので,事この作品ではそれが演奏に息苦しさを生んでしまう).音楽のうねりが実にしなやかに表現されている.

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2009/05/25

リヒャルト・シュトラウス/英雄の生涯

リヒャルト・シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」作品40@リヒャルト・シュトラウス/バイエルン国立管絃楽団(DG:POCG-2915/2917)

 1941年の録音.
 今週は週の頭からいろいろとっちらかってしまったので,せめて音楽は景気よくいきます(^^;).

 これはリヒャルト・シュトラウス(1964-1949)が自作を振った録音で,LPの頃は5枚組みで出ていたもの.さすがに当時の小遣いでは購入できず,高校生の頃利用していた県立図書館で借りて聴き,カセットテープにダビングしたものを繰り返し聴いていたので,懐かしい録音だったりするのだが,だからってそれほど名演というわけではない(^^;).音楽自体の性格もあるのだろうが,モノラルの割には高校生にもわかりやすい演奏(このあたり,後継者はカラヤンか)で,何より音楽が澱むことなく前に流れるのが,なかなかモダーンな味わい(というより,ほとんど枯淡の境地)である.ところどころで聴かれるポルタメントが,あまり色っぽく聴こえない(^^;)のは,シュトラウスが音楽を以って語らせる行き方を取って,過剰な解釈を避けたものなのかどうか.

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2009/05/23

ヨーゼフ・ハイドン/戦時のミサ

ヨーゼフ・ハイドン/ミサ曲第7番ハ長調「戦時のミサ」Hob.XXII:9@レナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルハーモニック(ソニークラシカル:88697480452)

 1973年1月20日の録音.
 12枚組で3000円を切る値段で売っていた(同じ枚数のマーラー全集の半額以下!),CBS時代のバーンスタイン(1918-1990)によるヨーゼフ・ハイドンの交響曲とミサ曲と「天地創造」のセットから.バーンスタインのハイドンはこのセットで初めて聴いたが,なかなかのスグレモノである.本質的にネアカでおおらかなバーンスタインの音楽は,ハイドンによく似合っているようだ.DGに移籍してからのバーンスタインにはハイドンの正規録音は無かったと記憶しているので,アーカイヴとしてもこの集成は貴重なものかもしれない.

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2009/05/22

アイヴズ/交響曲第2番

アイヴズ/交響曲第2番@マイケル・ティルソン・トーマス/アムステルダム・コンセルトヘボウ管絃楽団(ソニー:SRCR 8519)

 1981年8月24日,25日の録音.
 この録音,日本での初出LP(28AC 1633)を発売当時買い求め,今も持っています.田舎暮らしの高校生の分際で,アイヴズのLPなぞ買っていた奴は当時,周囲にはいなかったな(^^;).それだけひねて,くそ小生意気なガキだったわけですが,その根っこは恐らく現在も変わってないですね.このblogのサブタイトルにもあるように「わかってくれるたったひとり」がいれば,大向こうの無理解なぞ気にはならないわけで.それはつまり,この作品の作曲家チャールズ・アイヴズ(1873-1953)の音楽と生き方にどこか,僕が共感するところでもあるのでしょう.シベリウスやフォーレは理解できないのに(^^;).
 もっとも,アイヴズは理解者がひとりもいなくとも,表面上は構わなかったらしいですが(^^;).

 演奏は実に爽快.もってまわったところがない,ストレートな表情で,ティルソン・トーマスのいいところが十全に発揮されている好演です.

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2009/05/21

ショスタコーヴィチ/交響曲第6番

ショスタコーヴィチ/交響曲第6番ロ短調作品54@キリル・コンドラシン/モスクワ・フィル(メロディア/アウロス:AMC2-043-5)

 1967年9月15日の録音.
 緩-急-急(むしろ序-破-急か)の3楽章からなる,ショスタコーヴィチの作品の中でも背景のはっきりしない,風変わりな雰囲気の交響曲.この録音,たっぷりと鳴らされることの多い第1楽章でも,余韻とか繊細さなどクスリにもしたくないかの如く,演奏はセカセカと進む.まるで「強制された進軍」のようである.そのくせ第2楽章がリズムをはっきり打ちたいためなのか,若干遅めのテンポなので,却って驚いてしまう.そして終楽章のドラマティックな演出には,劇的な音楽の解釈に優れていたコンドラシンの美点がよく発揮されている.

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2009/05/20

ブルックナー/交響曲第4番

ブルックナー/交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」@エーリヒ・ラインスドルフ/ボストン交響楽団(BMG/タワーレコード:TWCL3003)

 1966年1月10日から11日の録音.
 明るいブルックナーである.さすがにラインスドルフなので,ブルックナーの「ツボ」は外していないが,それにしてもあちらこちらオーケストレーションに手が入れてあり,オケの音色もあって一点の曇りもない,と言いたくなるような明晰でカラッとしたブルックナーに仕上がっている.
 ブルックナーの陰影を礼賛する聴き手には向いてない.

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2009/05/19

ブラームス/ピアノ四重奏曲第2番

ブラームス/ピアノ四重奏曲第2番イ長調作品26@タマーシュ・ヴァーシャリ,トマス・ブランディス,ヴォルフラム・クリスト&オトマール・ボルヴィツキー(DG:POCG-3471/3472)

 1982年1月の録音.
 作曲の動機や経過はあまり明らかではないようだが,絃楽六重奏曲第1番などに通じる,穏やかで明るい,伸びやかな表情をたたえる音楽である.ただし演奏には50分近くを要する.激しい表情で知られるピアノ四重奏曲第1番作品25と作曲時期が重なり,作品番号が続いていることもあるので,ブラームスに時々見られる「対照的な気分を表現した好一対」(「大学祝典序曲」と「悲劇的序曲」のような)の事例にあたるのかもしれない.
 演奏はどうなんでしょう,他の演奏を知らないので何とも言い難いのですが,アンサンブルはともかく,どうもヴァイオリンが痩せて聴こえるんですよね.それがこの曲の書法のためなのか,ブランディスのヴァイオリンによるものなのか,他の録音も聴いてみないと判断しかねる,と言ったところです.

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2009/05/18

シューベルト/交響曲D944

シューベルト/交響曲ハ長調D944(第9番)@ブルーノ・ワルター/コロンビア交響楽団(ソニークラシカル:SRCR 8784)

 1959年1月31日,2月2日,4日,6日の録音.
 ワルター(1876-1962)が最晩年にUSAでCBSのために録音した一連のステレオ録音のひとつ.旋律美を追及したと思しき,随分と暗いD944である.ワルターのファンにはウケるのだろうが,残念ながらD944のよい演奏とは言い難い.おまけに強奏が粗暴で,艶のない金管が咆哮すると興を殺ぐ.晩年のよいワルターを聴くなら,他にもっといい演奏がある(例えばマーラーの「復活」).

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2009/05/17

シベリウス/交響曲第4番

シベリウス/交響曲第4番イ短調作品63@オスモ・ヴァンスカ/ラハティ交響楽団(BIS:CD-1286/1288)

 1997年1月9日,10日の録音.
 好きじゃない,と言いながらシベリウスの交響曲全集はバルビローリ,エールリンク(モノラル)についで3組目の購入.近所のレコード屋で半額だった.
 しかし,相変わらずわかりにくい曲.誰の演奏で聴いても,起承転結がしっくりこないんだよね.海図のない海に放り出された難破船のごとく,気がついたら波打ち際に投げ出されていたという(^^;).録音が格段によくなって,昔は聴き取り難かった細部が聴けるようになっているとはいえ,見通しの悪いことには変わりがなかったな.

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2009/05/16

ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番

ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第3番ニ短調作品30@ヴラディミール・ホロヴィッツ&アルバート・コーツ/ロンドン交響楽団(bellaphon:689.24.003)

 1930年12月29日,30日の録音.
 時代の制約か,そこかしこにカットがあって,通して33分ほど.カットについてはホロヴィッツ曰く「作曲者だってカットしている」(^^;).そりゃ確かにそうなんですが.ホロヴィッツは後日,ライナーと合わせた録音でもカットしているし.1930年の録音ということもあって,観賞用のファーストチョイスにはおススメしない.すれっからしの7枚目か.

 演奏は特に終楽章.ひとつ間違えるともってまわった風にしか聴こえないアクの強い解釈ながら,パワフルな打鍵と気風のよさで颯爽と弾き上げてしまう.まったくもって,ホロヴィッツの芸風は「The One and Only」なのでありました(sigh).

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2009/05/14

ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第1番

ラフマニノフ/ピアノ協奏曲第1番ヘ短調作品1@ヴラディミール・アシュケナージ&アンドレ・プレヴィン/ロンドン交響楽団(デッカ:444 839-2)

 1970年から1971年に録音されたピアノ協奏曲全集のひとつ.
 何しろ作品番号1.この協奏曲は,いにしえのピアノのヴィルトゥオーゾによる協奏曲がそうであったように,随分とオケが霞んだつくりである(^^;).冒頭のファンファーレが終わるとすぐ,ピアノはドラマティックかつエネルギッシュに跳ね回るが,オケは時々いるんだかいないんだかよくわからなくなる.
 正直なところ,この作品のみでラフマニノフがピアノ協奏曲の筆を折っていたら,ダルベールやパデレフスキの協奏曲程度の扱いしか受けていなかったんじゃないだろうか.ピアニストが弾くには楽しそうだが,聴くほうは少々骨が折れる.

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2009/05/13

エルガー/交響曲第2番

エルガー/交響曲第2番変ホ長調作品63@ブライデン・トムソン/ロンドン・フィル(シャンドス:CHAN 8452)

 1985年10月14日・15日の録音.
 シャンドスへの録音でメキメキと名を上げ,さてこれからというときに死去してしまったイギリス音楽の大家トムソン(1928-1991)によるエルガーである.僕が好きなエルガーの録音はシノーポリのもの(DG)だが,それは取りも直さずシノーポリの録音が明快でわかりやすいからで,イギリスの指揮者,例えばボールトやバルビローリの振るエルガーは,それほどわかりやすくはない.このトムソンもその例に漏れない.言っちゃ何だが,晦渋な演奏なのである.いや,これはトムソンの解釈の方が正しいのであって,この交響曲はそれほどスッキリした性格の音楽ではないのだろう.

 そういえば,ショルティやハイティンクもエルガーの録音を残しているはずだが,まだ聴いたことがない.イギリス生まれではない指揮者によるエルガーには,ボールトやバルビローリやトムソンや,さらにはエルガー自身による演奏に聴かれるような「晦渋さ」は感じられるのだろうか?

 ・・・・・・まだまだ物欲から逃れられそうにはないな(^^;).

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2009/05/11

マーラー/交響曲第2番

マーラー/交響曲第2番ハ短調@ヴァーツラフ・ノイマン/チェコ・フィル(スプラフォン:SU3880-2)

 1980年6月11日-16日の録音.
 ノイマンのマーラーは,堅実な音色とアンサンブルが第一なのだが(たまに不思議なバランスで鳴るものの),出るところで出るものだから実は意外にも豪壮だったりする(^^;).この2番がそのいい例じゃないかしらん? 強奏で結構鳴らしているんだよね.オケは時々弱音も吐くけど,概して健闘.

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2009/05/10

マーラー/交響曲第3番

マーラー/交響曲第3番ニ短調@リッカルド・シャイー/アムステルダム・コンセルトヘボウ管絃楽団(デッカ:475 6686)

 2003年5月5日から9日の録音.
 シャイーのマーラー全集が,21世紀最初の10年のスタンダードだと思っているのは僕だけかもしれないが(^^;),この3番もいい演奏.全集を通して,マーラーに内在する狂気があまり感じられない録音ではあるが,それを補って余りあるだけのアンサンブルの確かさと音楽の豊穣さが,ここにはある.

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2009/05/09

マーラー/交響曲第1番

マーラー/交響曲第1番ニ長調@キリル・コンドラシン/モスクワ・フィル(BMG/メロディア:BVCX-37008/37011)

 1969年の録音.
 コンドラシン(1914-1981)が指揮した最後の演奏会は,アムステルダムでの北ドイツ放送交響楽団への客演で,曲目はこのマーラーの交響曲第1番.当夜のライヴ録音も残されているが,テンシュテット急病(というのは表向きで,このときテンシュテットはオケと決裂してしまったらしい)を受けての急遽の登板で,ゲネプロもやれない一発勝負だったとか.
 その演奏会は大成功に終わり,コンドラシンは帰宅した定宿のホテルでその晩,急逝してしまう.

 この録音は,その晩よりもはるかに整った状況下での演奏.少々アクの強い表情付けとオケの音色(楽器が悪いセクションもありそうな)だが,よく練りあわされたアンサンブルと見事なドライヴで,熱のこもった演奏を繰り広げる.

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2009/04/30

マーラー/交響曲第9番

マーラー/交響曲第9番ニ長調@ヤッシャ・ホーレンシュタイン/ヴィーン交響楽団(VoxBox Legends:CDX2 5509)

 1954年初出(とCDにある).録音はいまひとつ.
 ホーレンシュタイン(1898-1973)壮年期の力演である.厚みに欠ける非力なオケを何とかドライヴしながら,出るべきどころは出る,といった趣き.オケも何とか,マーラーのスコアに必死で付いていってる,といった風情.何とか大きな破綻も無く乗り切っているのは,ホーレンシュタインのオーケストラ・ビルダーとしての能力の高さを示すものか.

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2009/04/29

キース・ジャレット・トリオ/スタンダーズ・ライヴ

キース・ジャレット・トリオ/スタンダーズ・ライヴ(ECM:ECM1317)

 1985年7月2日の録音.
 ECMのクラシック録音は幾つも聴いているけど,本領のはずのジャズを聴くのは初めてだったりする(^^;).このあたりが「誰も知らないものを知っているくせに,みんなが知っているものを知らない」と言われる僕のマヌケなところですが.
 にわか勉強でジャズのCDをあれこれ買って来ていろいろ聴いているわけですが,キース・ジャレットはJ.S.バッハの「平均律クラヴィーア」や「ゴルトベルク変奏曲」で知っている演奏に比べると,ここでは実に自由闊達に軽やかに音楽しているなあ,という印象.聴いていて楽しいし,面白い.
 クラシックでの演奏では,当人は否定しているとしても,幾許かは構えてしまっているのかもしれない.

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2009/04/28

チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲

チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35@ミッシャ・エルマン&エイドリアン・ボールト/ロンドン・フィル(ロンドン:POCL-4594)

 1954年6月の録音.
 エルマン(1891-1967)は,全盛期には「エルマン・トーン」と謳われた美音で一世を風靡したヴァイオリニスト.レオポルド・アウアー門下の著名なヴァイオリニストの中では,もっとも「芸人」的なヴァイオリンを弾くひとのような気がする.ここでも故意に崩しているのか衰えから崩れているのか,音程もリズムもところどころかなり怪しくはなっているものの,あちらこちらで見得を切る,ケレン味たっぷりの演奏を繰り広げる.それにボールトが見事にぴたっとオケを合わせているのが見事である.

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2009/04/26

ビル・エヴァンス/alone

ビル・エヴァンス/「alone」@ビル・エヴァンス(Verve:0602498840320)

 1968年9月と10月の録音.
 ただいま,ある本を読んでいる最中のため,無性にジャズが聴きたくなってレコード屋に入ったら,1枚1390円で輸入盤が山をなしていた(^^;).山の中から掘り出してきた1枚.個人的には,もう少し疾走感のある音楽が聴きたかったのだけど(コルトレーンの「ジャイアント・ステップス」のような),このアルバムは僕のようなジャズ初心者にも優しい(sigh).なごみのピアノ.

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2009/04/25

スクリャービン/法悦の詩

スクリャービン/「法悦の詩」作品54(交響曲第4番)@ピエール・ブーレーズ/シカゴ交響楽団(DG:POCG-10164)

 1995年11月の録音.
 ブーレーズが絢爛豪華なオーケストレーションをこれでもかと前面に押し立てて,雄弁にオーケストラをドライブする.スクリャービンが信奉していた神秘主義とか神智学とか,音楽の外の要素にこだわりすぎるとわけがわからなくなるので,これはこれでひとつの解釈であろう.実際,この演奏は面白いし(^^;).何処に連れて行かれるのか何とも捉えどころの無い音楽を,音響の魅力で聴かせてしまう.

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2009/04/22

シューベルト/交響曲D944

シューベルト/交響曲ハ長調D944(第9番)@ミヒャエル・ギーレン/南西ドイツ放送交響楽団(ヘンスラー:CD93.057)

 1996年4月27日,ロンドンはロイヤル・フェスティヴァル・ホールでのライヴ.
 ライヴとはいえ,ギーレン(1927-)の棒は相変わらずクールで明晰.全力投球だがホットなところが微塵も無いあたりが現代音楽のスペシャリストたるギーレンの真面目(しんめんぼく)か.おかげでシューベルトの夢見ごこちな雰囲気はどこかに飛んで消えてしまい,まるで大バッハか何かのような手触りに聴こえるのが不思議.

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2009/04/21

ベートーヴェン/交響曲第3番

ベートーヴェン/交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」@ニコラウス・アーノンクール/ヨーロッパ室内管絃楽団(テルデック:2292-46452-2)

 1990年7月3日の録音.
 涼やかで戦闘的な「エロイカ」である.アーノンクールらしい,バロックでごつごつした響きを残しながらも,流れるような軽やかで伸びやかな音楽が展開する.

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2009/04/20

アイヴズ/交響曲第4番

アイヴズ/交響曲第4番@小澤征爾/ボストン交響楽団(DG:UCCG-9253)

 1976年の録音.
 アイヴズ(1874-1954)を聴くのは久し振りか.この何とも形容し難い不思議な音楽が好きで,一時期はよく聴いたもの.この作品の第2楽章など,左右の路地から違う音楽を奏でる楽隊が出て来たのに出くわしたマーラー言うところの「これがポリフォニーだ」というところで,何だかんだ言っても,実験的な音楽を生み出すアイデアには何度聴いても脱帽するしかない.オモチャ箱をひっくり返したようなカオスを,ニコリともせず書いていたんだろうな,このひとは.

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2009/04/17

ドヴォルジャーク/交響曲第8番

ドヴォルジャーク/交響曲第8番ト長調作品88@ヴラディミール・ヴァーレク/プラハ放送交響楽団(スプラフォン:SU 3802-2)

 2000年10月8日,13日,15日の録音.
 この曲の第1楽章は,ちょっと聴いたところでは同じような動機を使いまわしているように聴こえてその実,かなり細かくリズムをいじくりまわしている.そのあたりを指揮者が押さえて,リズムを厳格に弾き分けさせているかどうか,仔細に聴いてみると意外に勢いだけで弾いていて,あまり弾き分けてない録音が多い.中にはバルビローリ(パイ/EMI)のように,リズムどころか音楽が崩れてしまっているケースもあったりする(^^;).このヴァーレク(1935-)の録音も,勢いをとったもので細かいリズムは徹底されていないところがある.全体としては爽快な好演なだけに,瑕疵が惜しい.

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2009/04/16

ヴァイル/小さな三文音楽

ヴァイル/小さな三文音楽@オットー・クレンペラー/フィルハーモニア管絃楽団(EMI:5 67337 2)

 1961年10月と12月の録音.第3曲が省略されている.
 この組み合わせは,意外に思われそうだけど,第二次大戦前のクレンペラーは過激なモダニスト(^^;).同時代の作曲家の中で,ヒンデミットとヴァイルのことを,クレンペラーは「例外的に」高く評価していていた.戦前にもこの組曲からの抜粋を録音していたが(1931年,初演からわずか3年後のこと),そちらの方が驚くほど同時代の空気を伝えているのに対し,こちらは同時代の生々しさは幾分後退しているものの,爛熟した時代の雰囲気は伝わってくる.
 いろいろな意味で,聴かれていい録音である.

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2009/04/13

ブルックナー/交響曲第4番

ブルックナー/交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(1874年稿)@ケント・ナガノ/バイエルン国立管絃楽団(ソニー:88697368812)

 2007年9月17日の録音.
 ブルックナーと必ずしも相性がいいとは思えないケント・ナガノによる第4番だが,これは成功しているのでは,と思う.その理由のひとつは,バイエルン国立歌劇場のオケを起用していることで,何となくブルックナーらしい(?)音がしている.そしていまひとつの理由として,ナガノがここで1874年稿という,ところどころに裂け目のあるような,場面転換の連続でできあがっているテキストを採用していることがあげられるだろう.ナガノは分析的な解釈の棒を振ることで他の追随を許さない指揮者だが,ともすると音楽が流れずに渋滞を引き起こしたり,音楽がブロックとブロックの衝突じみた様相を呈するのだが,ここではテキスト自体が渋滞したり,休符や突然の強奏で楽想が転換したりする構造になっているものだから,ナガノの分析的な解釈がすんなりと受け入れられることになっている.
 それにしても,どこで締めくくりがついているんだかわからない,不思議な音楽をスマートにねじ伏せてしまうナガノの能力は,さすがと言うべきだろうな.

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2009/04/09

ベートーヴェン/交響曲第8番

ベートーヴェン/交響曲第8番ヘ長調作品93@パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ベルリン(ソニーBMG:86967 00655 2)

 2004年8月26日-28日の録音.
 昨日のエロイカの併録.相変わらずバロックで,結構やかましい(^^;).

 ところでこの曲は,意外に第2楽章や第3楽章を知ってるひとが多いのね.曰く「給食の時間のBGMだった」「掃除の時間のBGMだった」.そういえば,僕の母校の小学校では,給食のBGMはサン・サーンスの「白鳥」だったっけ.中学では,放送委員が適当に選曲していて,放送委員のひとりだった僕はマーラーの第6番の第3楽章を給食の時間に,「軍艦マーチ」を掃除の時間にかけたことがある.ちなみに,ベートーヴェンの「運命」を掃除の時間にかけたのは僕ではない(^^;).

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2009/04/08

ベートーヴェン/交響曲第3番

ベートーヴェン/交響曲第3番変ホ長調作品55「英雄」@パーヴォ・ヤルヴィ/ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ベルリン(ソニーBMG:86967 00655 2)

 2005年8月27日-29日の録音.
 先日に続いてパーヴォ・ヤルヴィのベートーヴェン.古楽派風の奏法なので,響きが硬質なバロックでユニークなのはいいんだけど,どうもやっぱり表情付けが過多なんだよねえ.第1楽章のコーダのクライマックス,例のトランペットが途中で消えてしまう辺りでも,楽譜に無いクレッシェンドが多用されていて,落ち着かない.もう少し,堂々と押し切れないものですか.
 向きとしては好きな部類なので,演出で上手く聴かせようと考えているところが昇華されることを期待してみる.

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2009/04/07

ブルックナー/交響曲第5番

ブルックナー/交響曲第5番変ロ長調@フィリップ・ヘレヴェッヘ/エリゼー宮管絃楽団(ハルモニア・ムンディ・フランス:HMC902011)

 2008年2月の録音.
 ヘレヴェッヘによるブルックナーの交響曲録音の第3弾.以前録音された4番,7番でいささか失望していたけど,これは悪くなかった.2曲に比べると,ブルックナーらしさが解釈にも,オケの音色にも感じられるようになってきた(^^;).ブルックナーに似つかわしくない軽さを感じさせるところが減っている.オケがブルックナーの文法になじんできたのかな? 

 とはいえ,8番や9番で