幻のキネマ満映
1989年に原著が出版されたときに,財布と折り合いが付かずにどうしても手が出なくて諦めてから幾星霜.先日,平凡社ライブラリー版で出ていたのを見つけて慌てて購入,読んでみる.
うーん,期待したほど面白くない,というのが第一印象.貴重なインタビュー証言が幾つも散りばめてあるのに,何だか消化不良な感じが否めない.唐突に「衛藤利夫」などという,多少なじみのある名前が出てきたりもするのだが(出てくるだけ).本書が出版されたときは,まだまだ満映(満州映画協会)の研究も端緒についたばかりで,これがスタートだったことも影響しているのだろうか.出版されたときに借りてでも読んでおくべきだったと,悔やむことしきりである_| ̄|○
それにしても平凡社ライブラリーに収録されるに当って著者が追記も序文も新たに書いてないのは何故かしらん,と思ったら,その後の研究の進展を別の一書(『哀愁の満州映画』三天書房)にまとめているからか.
本書に何度か現れる甘粕正彦の腹心「赤川孝一」は,川村湊に拠れば赤川次郎の父である由.
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