その日のこと(1)
後顧のためにも,どこにもない気力を振り絞って,まとめるべきものをまとめてしまいましょう。しばらくの間,お付き合いください。
3月11日(金)は午前中に定期通院の予約を入れていたため,1日休暇をとっていました。本来は土曜日に予約を入れるべきところ,昨年の12月以降入試の関係で予約を入れたい土曜日に出勤しなければならないことが重なり,定期通院日がズレていたのです。あとで考えると,このおかげで罹災後の投薬を1か月分確保できたことになるわけですから,人間の運命なんてわからないものです。
午前中はそんなことで潰れてしまい(我が主治医,予約を入れても1時間待ちはザラという繁盛ぶり),昼食はスーパーで惣菜パンを買っていったん家に戻ります。午後は思い立って駅前のJ書店にクルマで出かけることに。この書店は,駅前の百貨店の9階に昨年新たに開店した全国チェーンの書店で,以前同じ建物に入っていた別の全国チェーンが撤退したあと,その百貨店の改装オープンに併せて開店したばかりです(余談ですが,以前入っていた全国チェーンの店員はどうにも使い物にならなかったですよ)。
出たばかりの吉田秀和『マーラー』(河出文庫)がお目当てで,それ以外にも何冊か抱えて,さらに本を物色していたら,どこから何やらぶーぶー音が聞こえるんですよ。ウォークマンを聴いていたので,気づくのが遅れたのですが,それでもケータイが鳴っているのがわかったので,ベルトにくくりつけているホルダーから外してみると,それが「緊急地震速報」のエリアメール。とっさに側にあった柱に背中から寄りかかってやり過ごそうと身構えたら,次の瞬間,これまで聞いたこともない地鳴りの音と,これまで体験したこともない激烈な下からの揺れがほとんど同時に襲いかかってきたわけです。
正直なところ,これで死ぬとはまったく微塵も思いませんでした(^^;)。僕が高校を卒業した時,その卒業式で校歌を歌っているさなか,昔の基準で震度3の地震に襲われたこともあり,これまで何度となく地震は経験してきたから地震で死ぬことはないだろう,という根拠の無い自信です。
とはいえ,この日の地震はこれまで体験したこともない強烈な揺れです。目の前で本がぽっかーん,ぽっかーんと本棚から飛び出して落ちてゆく(雪崩たんじゃないですよ,弾けるように本が中空を飛んでいくのですよ)のを眺めるという,稀有の見物をこの目でしかと見ました。さすがに自分を支えるのに精一杯で,動画を撮る余裕はなかったですね。
どれくらいの時間,揺れていたのか。ようやく収まってやれやれと胸をなでおろしたわけですが,実は「収まった」どころか,これが今日まで延々と続く,長い長い「東日本大震災」の始まりだったのです。
続く(はず)
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