焦燥感
ショパン/ポロネーズ嬰ヘ短調作品44(第5番)@アルトゥール・ルービンシュタイン(BMG:BVCC-37234)
1964年3月の録音。
ショパンのポロネーズなら「軍隊」「英雄」「幻想」と通り名のある作品があるのは承知の上で,やり場の無いほの暗い情熱を手当たりしだいにぶつけるような,この作品を第一に推す。そして,その演奏にルービンシュタインのこの録音を推すのは,恐らく30年ほど前からずっとこの録音に親しんできたからだろう。あるとき,NHK-FMで放送されたショパンの特集で,パデレフスキの壮大な「軍隊」ポロネーズ,コルトーの「バラード」4番,ブライロフスキーのワルツ作品9の1(9の2ではなく)などとともに,ルービンシュタインのこの録音が取り上げられていたのだが,福徳円満な芸風で鳴らしたと聞く晩年のルービンシュタインのはずが,ここでは何とも形容し難い焦燥感と暗い情熱を見事に表現していて余す所がない。
・・・・・・そう言えば,このCDにはもちろん「英雄」ポロネーズ変イ長調作品53も収録されている。この「英雄」についてウチのカミさんが以前「これはね,ルービンシュタインの焦りと言うか,どうにもならない焦燥感のようなものが出ている演奏だよ」と力説していたのだった・・・・・・。
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