混沌,混沌,混沌
アイヴズ/交響曲第4番@小澤征爾/ボストン交響楽団(DG:UCCG-9253)
1976年の録音。
チャールズ・アイヴズ(1873-1953)の集大成とも言える怪作(^^;)。混沌に次ぐ混沌の嵐の中から,終楽章の土壇場で奇跡のようにある旋律が浮かび上がるという,劇的といえば劇的な作品なのだが,そこに到るまでの混沌が同時代人はもとより,現代の僕でもあまりに混沌が過ぎて(^^;)何をどう言ったらいいのか途方にくれる。作曲者自身は生真面目な人だったらしくて,この作品もユーモアより実験が優先しているのであろうか。
小澤の演奏は例によって,整理整頓の行き届いた,見通しのいいもの。当時の小澤とボストン交響楽団のコンディションもよいことに加えて,録音がのちのフィリップス録音とは異なり,音色の微妙な差異を描き分けてくれているので(フィリップスの録音はまるでジョージ・セルがプロデュースしたのではあるまいな,と思えるほど音色が削ぎ落とされているように聴こえる),アイヴズのオーケストレーションから華麗な響きを引き出すことに成功している。
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