ゆったり,のんびり
ブラームス/セレナード第1番ニ長調作品11@イシュトヴァン・ケルテス/ロンドン交響楽団(デッカ:UCCD-9251)
1967年10月の録音。
その昔,カラヤンが「時代を担う5人の指揮者」を挙げたことがあって,それはマゼール,アバド,メータ,小澤と,このケルテス(1929-1973)だったそうな。ケルテスはオーケストラからの人望は篤いものがあって,クリーヴランド管絃楽団の奏者たちの投票で常任指揮者に選ばれたり(クリーヴランドの理事会は何故かマゼールを選任したので,クリーヴランドのポストには着任出来なかった),急逝後に残されたブラームスの交響曲録音をヴィーン・フィルが指揮者無しで演奏して補ったりと,慕われた指揮者だった。しかし聴衆からの人気は今一歩だったようで,ロンドン交響楽団を3年で追われたのも不入りの責任をとらされたとか(後任はアンドレ・プレヴィン。彼は明るく親しみやすい音楽解釈で聴衆から絶大な人気を博すことになる)。最期もテルアヴィブで遊泳中に溺死するという気の毒なもの。交響曲ではシューベルト,ブラームスとドヴォルジャークの立派な録音が残されている。
この録音,ブラームスを好んで振ったらしいケルテスが,音楽を自家薬籠中のものにしているのがよくわかる演奏で,オケも練達のアンサンブルを以てケルテスの棒に応えている。2曲のセレナード(作品11,作品16)とも,あまり馴染みのない曲だが,晦渋をこととするブラームスでもさすがに若書きな分,充分に豊穣で親しみやすい音楽を聴かせている。
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