陰翳に乏しいのか
マーラー/交響曲第3番ニ短調@モーリス・アブラヴァネル/ユタ交響楽団(ヴァンガード:ATM-CD-1211)
1969年5月3日-10日の録音。
早くからマーラーに取り組んで全集もモノしていたのに,レコード会社の都合なのかなんだか知らないが,日本に紹介されるのが随分遅れた上に,日本ではさっぱり人気の無いアブラヴァネル(1903-1993)のマーラー。実はブルーノ・ワルターの薫陶を受けている指揮者なのだが,どうもマーラーの音楽で強調されがちな「屈託」「アクの強さ」というものが,アブラヴァネルの演奏からはあまり感じられないのが,アブラヴァネルがもうひとつウケない理由か。
この3番は恐らくアブラヴァネルのマーラー録音における最良の演奏のひとつで,あまり音楽を追い込まない,伸びやかで明晰さを備えた,堅実な職人気質が感じられる,なかなかいい演奏。確かに,マーラーよりもブラームスを聴くべき指揮者ではある。
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