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2009年2月8日 - 2009年2月14日の記事

2009/02/14

レファレンス再考:インフォメーションとインテリジェンス

 承前

 以前の僕ならば,「貸出」と「レファレンス」を対抗させる形でレファレンスの優位性を説いたところですが,ところがどっこい,前振りで「枠組みを問い直す」とやってしまったので(^^;),この手は使えません.おまけに,そのような単純な二項対立で公共図書館経営を考えることは,「文脈から切断された〈象徴としての公共図書館〉」を想定しない限りは成立し得ないわけです.では,どのような考え方を以って課題にあたるか.

 公共図書館に限らず,図書館は「少しく叩けば少しく響き,大きく叩けば大きく響く」という特性を持っていると考えているのですが,その叩き方というものが,社会において共通の合意/認識が取り付けられている,という状況ではないと思うのですよ.だからこそ,そのような「待ち」の姿勢ではいけない,という議論があるのは承知の上なのですが,それでもなお,図書館をめぐる「リテラシー」が一様ではなく,そもそも「リテラシー」自体が地域の歴史や現状に左右され,拘束されてしまう状況があることは,率直に認めなければならないでしょう.この点を把握しておかないと,図書館サービスを論じるときに大きな過ちを犯すことになります.誰とは言いませんが.

 さて,これまでの「貸出」や「レファレンス」の分野に取り敢えず「資料提供サービス」という仮称を付けてみますが,これは要するにランガナタンの言う「利用者の時間を節約する」ためのサービスであると同時に,あくまでも情報(インフォメーション)を来館者なり,住民なりに提供するサービスである,という一線を引いておく必要があります.つまり「情報は自分で読んで,分析し,評価しなければ自分の役には立たない」(江畑謙介『情報と国家』講談社現代新書)ものであり,最終的に情報(インフォメーション)を「インテリジェンス」として何事かの役に立てるかどうかは,図書館がどれだけ有用な情報(インテリジェンス)であると判断して来館者に提供しても,来館者自身が判断を下さなければ何の意味もなくなってしまうものなんだろうと思うのです.

 図書館が提供するのは「回答」であって「解答」ではない,と言われる所以です.図書館は,来館者が判断に着手するための情報(インフォメーション)の収集作業を手助け/肩代わりすることによって,来館者が収集に要するであろう時間を節約する役どころとなります.どの形式(書籍・雑誌・webなどなど)の情報(インフォメーション)が求められた回答に相応しいかまで,ある程度のスピードで分析・判断することによって来館者の時間的負担(ひいては心理的負担も)を軽減することが求められます.それには,卓越した情報収集能力と分析能力(求められている主題における専門家ではないとはいえ,得られた情報〈インフォメーション〉が疑似科学であるか科学であるかを見分けられる程度の分析は可能でなければならないでしょう)が必要です.ちなみにこの能力は,オタクとかマニアとか呼ばれる程度に趣味に耽溺していれば,応用が利く程度には身に付いている筈です(^^;).生かさない手はない.


 ・・・・・・と,ここまで書いて,文章を上手く〆ることが出来ない(^^;).気の利いた結語が書ければよかったのに.ここ2か月ほど,いささかスランプで長い文章をblogどころかリアルでも書いてなかったことを理由にしておこうか.


以下は今回,触発された記事(覚えているものだけですごめんなさい)

CHOTTO TOWN 図書館日誌: レファレンスを見直してみる
http://c-town.way-nifty.com/blog/2009/02/post-c129.html
CHOTTO TOWN 図書館日誌: レファレンスを見直してみる(その2)
http://c-town.way-nifty.com/blog/2009/02/post-6dd9.html

図書館雑記&日記兼用:レファレンス再考? - livedoor Blog(ブログ)
http://blog.livedoor.jp/lib110ka/archives/51854025.html
図書館雑記&日記兼用:「待つ」をやめる - livedoor Blog(ブログ)
http://blog.livedoor.jp/lib110ka/archives/51854753.html

ライブラリアンはBINARYの夢をみるか: ちょっと早急かもしれませんが・・・課題3「レファレンスの定義」
http://miffy-capybara.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-902c.html

これからのレファレンス(大学図書館) - かめの歩みとライブラリアン再考
http://d.hatena.ne.jp/makiko0812/20090213/1234529441

TB受け付けているblogには飛ばしてみますが,ココログは以前からTB上手く飛んでくれないので,送信できなかったらごめんなさいm(_ _)m

参考文献

Mendelssohn: The Complete Masterpieces: CD 9

Mendelssohn: The Complete Masterpieces: CD 9(ソニー:88697420722-09)

 9枚目は「2台のピアノのための協奏曲」ホ長調(1823年)と変イ長調(1824年).アーサー・ゴールドとロバート・フィッツダールのピアノ,ユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管絃楽団による1967年1月13日の録音(とCDにはあるのだけど,webに上がっているオーマンディのディスコグラフィによれば,正しくは1963年12月16日の録音であるらしい).

 2曲とも10代前半の作品だけに,伸び伸びとした雰囲気と旋律が心地よい音楽である.演奏も音楽に相応しく肩肘張らず,普段着の雰囲気で軽やかに歌われるのが好もしい.

レファレンス再考:その前提

 レファレンス再考,というより図書館業務再考,であるか(^^;).

 まず,「貸出」「レファレンス」「読書相談」「目録作成」などなど,従来言われてきた業務の区分を一度,見直したほうがいいんじゃないかと思う.特に「貸出」と「レファレンス」の間に,厳密な一線を画そうとしてきた考え方-現在もなお,その幻影が蠢いているようですが,この発想をまず疑ってかかれなくちゃ,将来の図書館業務の発展はないでしょう.このリンク先の内容については,ここでは過剰な現場主義が公共図書館を(歴史的,地域的)文脈から切断してしまっていることを指摘しておくに止めるけど.

 目録作成については稿を改めるとして,対来館者サービス業務について(余談だけど,公共図書館を考える際に「利用者」という言葉には手垢が付きすぎていて,とても多様な意味を込めて使える状態にはなく,いろいろ考えた結果,利用対象は「住民」,公共図書館に来館する住民は「来館者」と取り敢えず呼称してみる),その枠組みを考え直してみる.「貸出」や「レファレンス」は,資料(情報)を来館者に提供するサービスの異なる手段であると捉えてみてはどうか.例えば貸出至上主義者のように,「貸出し」を目的とし他の手段を排除した形で成り立つ公共図書館サービスの展開は,高度成長期ならまだしも,世紀を越えた現在の社会状況を把握しているのであれば,そのような単純なモデルが成立する要件は現状,非常に限られている(恵まれている)ことが理解できるのではないか.公刊された書籍にせよ,一部の関係者のみに配布される灰色文献にせよ,情報(インフォメーション)として捉えればそれは限られたモノでしか無いし,現在流布している情報(インフォメーション)がすべて物理的な筐体を成しているわけではないのだから.

 そういえば,「レファレンス」から始まる公共図書館利用,という表現をとると,「それはエリートのための公共図書館である」という反論が昔は来た(^^;).しかし,その批判は「エリート」という言葉の誤用なのではないか.曲がりなりにも民主制を標榜する国家の成員(=市民でも住民でも結構)が,与えられた/入手した情報(インフォメーション)を分析し「インテリジェンス(戦略情報,とでも言えばいいのか?)」に消化/昇華できない状態に置かれている,というのは学校教育の失態であろうし,市民に分析のリテラシーが備わっていることは,公共図書館業界が常日頃悲願としてきた「近代市民社会」の基盤ではなかったのか.情報(インフォメーション)の提供から始まる公共図書館の利用とは,民主制と近代市民社会を成立させるための,すぐれて基礎的な作業であると言えるだろう.
 誤解されると困るので付け足しておくけど,「公共図書館」の存在自体が必ずしも民主制の基盤だ,とは思わないのだよね.ただあればいい,というものでもない.「公共図書館」を利用する市民の意識とリテラシーが,公共図書館を民主制の基盤たらしめている,という話なので間違えないで欲しいところ.

 続くと思う(^^;).

2009/02/13

Mendelssohn: The Complete Masterpieces: CD 8

Mendelssohn: The Complete Masterpieces: CD 8(ソニー:88697420722-08)

 8枚目はヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64とニ短調(遺作).ホ短調がアイザック・スターンとユージン・オーマンディ/フィラデルフィア管絃楽団による,1958年3月24日の録音.ニ短調が竹澤恭子とクラウス・ペーター・フロール/バンベルク交響楽団による1994年1月7日から9日の録音.

 ホ短調は,若き日のスターン(1920-2001)がさすがの野太い美音.このひとはこの録音のような若い覇気満々の頃か,最晩年の,脂肪の抜けきったような頃がいい(^^;).70年代の,メータあたりと組んだ演奏は鼻持ちならず,よろしくない.
 ニ短調は1822年,メンデルスゾーンが13歳の頃の作品で,長らく埋もれていたものを第二次世界大戦後にイェフディ・メニューインが発見した.ヴァイオリンと絃楽合奏のための協奏曲で,さすがにホ短調ほどの格調と充実は聴かれないが,それなりに立派な音楽であり,もう少し知名度があってもよさそう.

2009/02/11

Mendelssohn: The Complete Masterpieces: CD 7

Mendelssohn: The Complete Masterpieces: CD 7(ソニー:88697420722-07)

 7枚目は序曲集で,歌劇「カマチョの結婚」作品10から序曲,序曲「真夏の夜の夢」作品21,序曲「静かな海と楽しい航海」作品27,序曲「ルイ・ブラス」作品95,劇音楽「アタリー」作品74から序曲と戦争行進曲,序曲「フィンガルの洞窟」作品26,トランペット序曲作品101を収録.作品21と作品101がクラウス・ペーター・フロール/バンベルク交響楽団による1987年7月8日と88年6月7日から10日(作品21),1988年12月22日(作品101)の録音(BMG),残りはレナード・バーンスタイン/ニューヨーク・フィルによる1967年10月26日の録音(ソニー).

 収録された作品の中で,個人的に思い入れがあるのは,「真夏の夜の夢」よりも「フィンガルの洞窟」よりも「ルイ・ブラス」.この曲は,時々吹奏楽に編曲されてコンクールの自由曲で取り上げられているものなので,他の曲よりも若干なじみがある.ここでのバーンスタインの演奏は,柄が大きすぎて緊張感に欠けるのが難.もう少しエッヂの効いた,シャープな演奏で聴きたい.
 フロールの演奏も含めて,このCDは有名な作品ほど軽さとシャープさが欠けているように聴こえる.「カマチョの結婚」序曲など意外にいい演奏なのに,惜しいことだ.

2009/02/10

Mendelssohn: The Complete Masterpieces: CD 6

Mendelssohn: The Complete Masterpieces: CD 6(ソニー:88697420722-06)

 6枚目は交響曲第4番イ長調作品90「イタリア」と交響曲第5番ニ短調作品107「宗教改革」.クルト・マズア/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管絃楽団による,1971年12月29日,30日(第4番)と1972年1月6日と8日(第5番)の録音.
 有名な作品なのに,演奏が面白くない.どうも吹っ切れないのですね.「イタリア」はもう少し,はっちゃけていてもよかったのに.マズアにそれを期待するほうが間違っているとは言え.

2009/02/09

日本で一番利用者満足度の高い図書館といったらどこですか?

 たまたま見つけた.

日本で一番利用者満足度の高い図書館といったらどこですか? - Yahoo!知恵袋

 回答にアカデミーヒルズ六本木ライブラリー国立国会図書館しか挙がってない(^^;).しかもベストアンサーが六本木ライブラリーである.業界人が相変わらず足の引っ張り合いを繰り返しているうちに,足元の公共図書館が見捨てられてしまうのではないか,という危惧を拭い去ることができない.

 ・・・・・・と言いたいところだが,如何せん上記質問への回答数が少なすぎて,サンプルになりそうにないのであった(>_<).図書館への関心は,やっぱり低いのかな_| ̄|○

 とはいえ,ゼロ・トレランスよろしく「図書館」に対するイメージ戦略を業界団体が考えるのであれば,こーゆうひとつひとつの事例を検証する必要はありそうな気もします.

2009/02/08

Mendelssohn: The Complete Masterpieces: CD 5

Mendelssohn: The Complete Masterpieces: CD 5(ソニー:88697420722-05)

 5枚目は交響曲第2番変ロ長調作品52「讃歌」.クルト・マズア/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管絃楽団による1972年の録音(なお,前回書き忘れたがマズアの交響曲全集はオイロディスク原盤).
 3楽章の「シンフォニア」と巨大なカンタータの2部構成のような交響曲である.1840年に「印刷技術発明400周年記念祭」のために作曲された作品で,カンタータのテキストは旧約聖書のドイツ語訳から.演奏時間が60分を越えるモニュメンタルな大作だが,現在はそれほど評価されていないようである.マズアの演奏はまあまあ.

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