チャイコフスキー/交響曲第5番
チャイコフスキー/交響曲第5番ホ短調作品64@レオポルド・ストコフスキー/フィラデルフィア管絃楽団(TIM:203293-303)
1934年12月11日の録音.
映画「オーケストラの少女(One Hundred Men and a Girl)」(1937年)の冒頭を飾るのが,この交響曲の終楽章を振るストコフスキー(1882-1977).第二次大戦前は絶大な人気を誇った指揮者で,晩年に至るまで旺盛な実験精神と派手な私生活(^^;)で鳴らした.基本的には中庸を得たテンポ感覚と抜群の統率力で,どんな新作でも振ってのけた(あのアイヴズの交響曲第4番の初演者だ)が,古典に対してはいろいろと実験的なことをするひとで,アクセントの付け方や,声部の浮かび上がらせ方に,独特の嗅覚を持っていた.来日公演で振ったチャイコフスキーの交響曲第4番では,オケの配置を総とっかえしていて,コントラバスが全員山台の一番後ろにズラッと並んで演奏していたのを映像で見た記憶がある.
さて,この第5番は白い炎が揺らめくような演奏で,一種独特の高揚感があるのだが,なんといっても終楽章の大胆なカットが凄まじい(^^;).第5番を何度か聴いたことのあるひとがこの録音を初めて聴いたら,終楽章のあちらこちらで迷ってしまうに違いない.ケンペンやロジンスキのカットとも箇所が違う.コーダの大フェルマータがバッサリ切られてしまっているのは,映画でもそうだったが,いったい何でまた(^^;)と,いつも思う.
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