ベートーヴェン/交響曲第7番
ベートーヴェン/交響曲第7番イ長調作品92@カール・ベーム/ヴィーン・フィル(アルトゥス:ALT065)
1980年10月6日,昭和女子大学人見記念講堂の杮落としでのライヴ録音.
日本でのカール・ベーム(1894-1981)の,最後の交響曲演奏の記録である.僕は1980年当時,テレビでこの演奏を見た記憶があって,ベームの今にも崩れ落ちそうな指揮姿を目の当たりにして「ベームもいよいよ衰えたか(sigh)」とがっかりしたのを覚えている,実際,ベームは既に86歳だったのだし,翌1981年の8月に亡くなったのだった.
しかし,今こうして音だけ聴いていると,意外にも(失礼)音楽の骨組みはしっかりしているのである.よぼよぼの指揮姿が目に焼きついているためか,このときの演奏までもオケが(コンサートマスターはゲルハルト・ヘッツェルだったのではなかったか)自発的に音楽を支えて乗り切ったかのような記憶が残っていたのだが,それはとんでもない話であった.テンポは確かに遅くなっていてリズムやアンサンブルの縦の線はあちこち緩み,終楽章には明らかに疲れが感じられるけど,それでも「最後の録音」になったベートーヴェンの第9ほども弛緩していない.ギュンター・ヴァントのように最後までテンポがほとんど弛緩しなかった高齢の指揮者の方が珍しいのであって,この第7番は本当に立派な演奏である.この演奏を当日,人見記念講堂で聴くことの出来た方がうらやましい(sigh).
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