上手いタイトルが思いつかなかったので,取り敢えず仮題を付けておきます.
この仕事をする上で何を考えているか,一番大きな視点は「図書館の持続可能性」に尽きると思います.公共であれ,大学であれ,「図書館」という概念なり組織なり容器なりが,今後も現在の形で存続することが可能なのか,あるいは別の概念なり組織なり容器なりにドラスティックに変わるのか,徐々に移行していくのかはわからないまでも,現行の「図書館」が変わってしまう可能性の方が高いのか.
僕個人は,以前知人に「急進的保守派」だの「新し物好きの割には考え方が古い」だの「天邪鬼」だの言われたような性向ですから(^^;),「図書館」という概念の根っ子の部分,と僕が考えている「共同体(Community)の記憶を納め,何時でも引き出せるようにしておく記憶の共同体(Utility)」は,恐らく今後も変化することはないだろう,と踏んでます.ただし,その使いうるインターフェースは,新しいメカニックが登場するたび,その都度変わっていくのだろう,と考えます.僕が時々使う「古い皮衣に新しい酒を入れる」という表現は,ほぼこのことを別の言い回しで表現しているのだろう,と.
「図書館」という古くからある容器に,新しい道具を放り込む.そこで起きる「新結合」即ちイノヴェーション(この言葉を使うと嫌がるひとがいるけど,他に適当な言葉もないので)による,新しい可能性をどれだけ引き出すことができるのか,そこに「図書館」の生き残り戦術(メカニックの話なので戦略とは言えないかと)を,どれだけ可能性豊かなものとして提示できるかにつながるものがあると考えてます.
思うに,新しいことを「新しい」という理由で拒否することは,少なくとも「図書館」においては,あってはならないことなんじゃないかと.何が起きるかわからないのであらば,それは試してみたほうが面白いに決まってます(^^;).人死にが出るような代物は止めておいた方が無難ですが,そうでない限りは,「図書館」はビックリ箱で一向に構わないと思いますよ.その方が衆目も集めるでしょうし.そう,衆目の集め方,という点で矢祭は実に上手かったなあ,と(^^;).あの前町長の「情報発信力」は,相当なものでした.功罪はさておき,メディアの上で,あのコイズミと互角に渡り合うだけの発信力があったわけですから.そーゆうところを,残念ながら同じようにコイズミ改革に反対していたはずの,何処かの業界は評価することも,ましてや真似することもできなかった.それどころか,足を引っ張るような態度で「もったいない図書館」を遇したわけですから,そりゃ世間の評判を下げますわなあ(sigh).
話が脱線しそうなので軌道を修正します.
で,個別の案件ですが,これについては既に2度も書く機会に恵まれてまして,技術的なことは書き尽くしているような気がします.そもそも,僕は「アイデアを出す人」で,オープンソースをサーバに入れてどうこうするようなITスキルの持ち合わせは無いのですよ.自分でオープンソースが扱えるスキルがあれば,仕事ももう少し楽に出来そうなものですが,取り敢えずはアイデアを出して指示を出して,こちらのイメージを的確に言葉にして,作業をしていただくのが僕の役目ということで(^^;).
要するに,図書館が提供する知識と人間のインターフェースをwebでの展開に合わせて組み替えていく,という試みのひとつとして,あのパスファインダーのようなアイデアがあるわけです.容器の中身ごとドラスティックに変えていくのではなく,これまでストックしてきた中身を現在の技術を活用して再構成し,提供していくだけのメカニックを身に付け活用していくことが図書館の生き残り戦術,ひいては戦略を組み立てる上で,図書館司書にとって必要な技術になっていくのではないでしょうか.
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