予定された結論
さて,幾つか書かなければならないネタを抱え込んでいるのですが,どうもこのところ「図書館」のことを書く気が起きない.正確に言えば,「図書館」ネタでblogを書く気が起こらない(^^;).ネタはあるのですから,真っ白に燃え尽きたはずもなく,時々陥るスランプ(!?)だとは思うのですが.実のところ,いただいているメールなどのお返事も滞ってますゴメンなさいm(_ _)m
まあ,ボチボチやっていきます.
というわけで,取り敢えず今日は「図書館雑誌」2009年3月号(103巻3号)の特集「検証:指定管理者制度」について.この特集は何だか,最初から予定されている結論があり,そこへすべての流れが落とし込まれるように,なかなか巧妙にしつらえてある,という感じがします.で,その結論がどう読んでも「指定管理者制度は悪の制度である」というステレオタイプにしか思えず,それを先だっては「あの特集はひどかった」と形容したのですね.
なかなか巧妙だというのは,この特集のキモとなるイデオロギーを構築する論文を,公共図書館プロパーではなく教育法学と教育行政学を専門としている研究者にゆだねたことにも現れています(「公立図書館の多面性と指定管理者制度」).図書館業界に外側からの目を,というのは僕も常々提唱しているところですが,今回はまた,予定された結論に相応しい論者を充てるることが出来たようです.このイデオロギー論文を最初に読んだとき,てっきり日本図書館研究会読書調査研究グループか,それに近い業界関係者が書いたものだと勘違いしたほど,用語の使い方や予定された結論への落とし込み方がそっくりです.それは業界人のお眼鏡には適うことでしょうが,さてこのイデオローグが指摘していることを,これまでの公務員を中心に廻ってきた公共図書館業界が達成していたのかどうか,という肝心要の部分が(この特集に限らず指定管理者制度を巡る業界論壇では)プロパーによって全く検証されていない/不問に付されているのは,外側の目を以ってしても如何ともし難いところですね.ヴィジョンもミッションも,それが過去にあったかどうかも検証されていないのに「図書館業務の継続性確保」(p150)などと謳われても,そもそも継続すべき思想/業務は何なのですか? と突っ込みたくなります.
それにしても何故,この号の中程に置かれている日本図書館協会の見解「公立図書館の指定管理者制度について」を特集の冒頭に置かなかったんですかね.これがあっての今回の特集であるはずで,その逆ではありえないはずですから.「九仞の功を一簣に虧く」というものでしょう.
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