「土佐派」の裏切り(^^;)
旬刊 出版ニュース2009年3月上旬号の目次一覧
↑こちらに掲載の,↓この文章.
無内容な代物であり,批判に多言を弄するのは時間の無駄なので1箇所だけ.
若い図書館職員に、あえて確認しておきたい図書館の役割: 館界に蔓延するおかしな論旨--伊藤昭治@元茨木市立中央図書館長
では,こちらは如何ですか?
「歴史を学ぶことが大切だと言っているのは(以下略)」(p.6)
この程度の初歩的な間違いを30年以上指摘できない(初版でも間違っていた)方が「歴史を学ぶことが大切」とおっしゃる,その「歴史」って何ですか?
「このほか,立憲改進党の中心人物であった小野梓や馬場辰猪なども(以下略)」
『新版図書館の発見』前川恒雄,石井敦著,日本放送出版協会,2006年1月,p.123
ときに高知県(小野や馬場の出身地,立志社も高知人脈)には,図問研の有力な会員もいるかと聞いていますが,「土佐派」はこの箇所について指摘しないのでしょうか? 『市民の図書館』というイデオロギーの前には,「神」を守るために白も黒といわなければならないんでしょうか(sigh).
ちなみにこの箇所,日本の近代政治思想史を多少なりとも齧った人間には,まったく些細な間違いではないですよ.小野梓(1852-1886)と懇意だった馬場辰猪(1850-1888)が,立志社との関わりがあったとはいえ,小野が設立に深く関与した改進党ではなく,板垣退助の自由党に参画し,「結党時の自由党で主導的な役割を果たしたのが馬場と枝盛だった」(『植木枝盛』米原謙著,中央公論社〈中公新書1086,p.5〉,1992年8月)ことはつとに常識であり,例えば馬場が「なぜ改進党をえらばなかったのであろうか」と,その評伝『馬場辰猪』(中公文庫,1995年6月)の著者である萩原延壽も問いを立て,わざわざその理由を考えているのですから(p. 206-222).
というわけで,伊藤の文章はそもそものキモがダメです.そして,あとに延々と続く文章が信用にも信頼にも足らない,Gleichshaltungを意図したプロパガンダであることは,多言を要しますまい.この程度のものを載せる「出版ニュース」の見識を疑います.
(3月8日改稿)
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