シューベルト/交響曲D944
シューベルト/交響曲ハ長調D944(第9番)@カール・シューリヒト/南ドイツ放送交響楽団(コンサートホール/スクリベンドゥム:SC011)
1960年9月の録音.南ドイツ放送交響楽団(SDR Symphony Orchestra = SDR Symphonieorchester)は現在のシュトゥットガルト放送交響楽団(Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR)のこと.
故・大木正興が「レコード芸術」誌上で酷評した録音である(^^;).随分昔のことだが,「指揮者もオケもやる気が無い」と評していた記憶がある.要するに大木正興にはベートーヴェンからブラームスに至る重厚深刻,以外の音楽の価値(軽妙洒脱など)を評価出来るだけの耳も意識も持ち合わせがなかっただけのことで,彼がその死後急速に忘れ去られた(例えば,Wikipediaに立項すらされていない)のも無理は無い.
確かにオケが非力(^^;)なのは如何ともし難いが,枯れた職人芸のシューリヒトの胆力と抜群のリズム感(シューリヒトは確か,カール・ベームとともに,初期のボリス・ブラッハーの支持者だった)を醸し出す棒に必死で応えようとしているようではある.両端楽章での推進力は生半な指揮者では出せないものだし,第2楽章では何ともいえぬ玄妙な味をそこはかとなく出している.
・・・・・・ここ2日ほど,エントリーを上げなかったのは只見線にSL撮影しに行ったりして忙しかったこともさりながら,あることを書いてエントリー上げるべきかどうか悩んでいたところだった.結局,上げないことにしたので,それはそれでスッキリである.あるもの・ことについて,評価出来るだけの知識も意識も無い人間に,それを指し示したところで時間の無駄であることを,このシューリヒトの録音を聴きながら大木正興のことを思い出し,やがてそこに思い至ったというわけだ.専門外のことを教示して理解・評価させようとしても,所詮当人にその意識が無い以上,出来るものでもあるまい.
特に残念でもない.
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