チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲
チャイコフスキー/ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品35@アンネ・ゾフィー・ムター&ヘルベルト・フォン・カラヤン/ヴィーン・フィル(DG:419 241-2)
1988年8月15日,ザルツブルク音楽祭でのライヴ.
昨日出かけた,近所のレコード屋でワゴンセールやってた中から買ってきた,帝王最晩年の貴重なドキュメント.ムターの相変わらずの美音はともかく,亡くなる約1年前(1989年7月16日死去)のカラヤンがここまで衰えていたことに驚く.音楽に力がまるで欠けていて,ともすると止まりかねない.ピアノが基調でフォルテにまったく迫力が無い上に,テンポが力無くダラダラと遅くなっている.なるほど,彼の場合は肉体の衰えが音楽の衰えに直結していたのだね.哀しいほどに.さすが,運動神経抜群を謳われていただけのことはある.
ここでは明らかにムターがカラヤンの衰えに合わせて,あるときは寄り添うように,またあるときは奮い立たせるように弾いている.ここでのオケに前進する力が感じられるとすれば,それは指揮者ではなく,ソリストが放射しているものから来るものだ.フィナーレの終わりも「やっとこさ,ここまでたどり着いた(sigh)」という感じに聴こえてしまう.
カラヤンに「人生の夕映え」は確かに来なかったようだ.
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