伊福部昭/ピアノと管絃楽のための協奏風交響曲
伊福部昭/ピアノと管絃楽のための協奏風交響曲@舘野泉&大友直人/日本フィル(キング:KICC 179)
1997年8月18日から20日の録音.
1942年に初演されたものの,戦時中に失われたと思われていたパート譜が,ひょっこり出現したことから録音が実現した幻の作品.CDのライナーノートに「ショスタコーヴィチの7番やハチャトゥリアンの2番と同時代の作品」という意味のことが書かれているけど,こちらの思い込みのためか,それほどこの作品が戦争の影を宿しているようには聴こえないし,戦意高揚という雰囲気でもないような気がする.なるほど,第1楽章は高らかに前進する音楽だけど,第2楽章の静寂が高揚した気分ををすっかりぶち壊してしまう.終楽章はまた,伊福部らしい雰囲気の横溢したリズムとオスティナートの音楽だけど,オネゲルの第3番を思わせるような雰囲気もある.
全体を通しても音楽的には戦前から戦後への流れから逸脱しておらず,ほとんどぶれていないような感じがする.伊福部は常に「伊福部昭」であった,と.それが前衛音楽礼賛の評論家からは不評を買ったのであろうな.
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