ベートーヴェン/交響曲第5番
ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調作品67@ジョージ・セル/ヴィーン・フィル(オルフェオ:C 484 981 B)
1969年8月24日,ザルツブルク音楽祭,祝祭大劇場でのライヴ録音.
演目はオール・ベートーヴェン・プログラムで「エグモント」序曲,ピアノ協奏曲第3番(ソリストはエミール・ギレリス),そして交響曲第5番で〆る.
最晩年のセル,つまりEMIにシューベルトのD944やドヴォルジャークの第8番を録音した頃の芸風が見事に示されている,貴重な記録である.この指揮者はこの頃になってようやく,それまでの厳格なオーケストラ・コントロールに加えた形で,自由闊達な芸を獲得したのだった.この演奏よりほんの数年前にライヴ録音された,ブルックナーの第7番(チェコ・フィル,オルフェオ)と比較してみれば一目瞭然,という奴である.あれは録音がモノラルということもあるのだろうけど,ブルックナーが骨と皮だけの恐るべき残骸と化していたのに比べて,このベートーヴェンの厳格・清潔でありながら闊達たりえている音楽の有り様は,まず「人生の夕映え」と賞賛するに足る名演と評していいだろう.
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