失政のツケ
昨日届いた「図書館雑誌」2008年10月号をつらつら読んでいてビックリしたのですが,
のだそうで.毎年10月を目処に大会を開くのが慣習ですから,今頃にはすでに来年度の開催場所は決まっているのが通例だったと記憶しているのですが,来年度さえ決まっていないというのでは,日本図書館協会の基礎体力も相当な部分,衰えてきているのかとある種の感慨を禁じえません.
来年度以降の全国図書館大会の開催地が確定していない.(746頁)
ここ数十年来の日図協の公共図書館に偏重した運営(一例を挙げれば,日図協主催の「ステップアップ研修」とやらが始まってから随分になるのに,何時までたっても公共図書館司書のためのものにとどまり,他の館種に拡大する様子が見られないこと.しかも,導入にかかわった関係者が「公共から始めるのが当然」と言わんばかりのことを「図書館雑誌」に記している)がもたらすであろう「ひずみ」については,以前このblogではないところであれこれ述べたこともありました.しかるに公共図書館の関係者が全く聞く耳を持っていなかったので,がっかりして最近は何も言わずに来ております.が,どうやらここへ来て,懸念していた「ひずみ」がいよいよ具体的な形をもって表に出てきたような気がしますね.図書館大会にしても,建前は746頁に書いてあるとおりですが,実態が本当に伴っているのかどうかよくわからないので,1度も出席したこと無いですし.
同じ頁で触れられている日図協大学図書館部会臨時総会についても,その「混乱」の主原因は日図協の公共偏重に対する大学側(特に負担が過重である感じていると言われる施設会員)の離反にあるのではないかと,推測される節がありますし.実際問題,大学図書館と大学図書館員に対して,日図協は何もしていないに等しいですからね.その遠因は恐らく栗原均元理事長が「ず・ぼん」のインタビューで語っていた「図書館事業振興法」をめぐる対立の構図だったのでしょうが,正直,年会費を9000円も取っておきながら,上の世代の失政のツケを次の世代(と言っても僕はもう40代ですが)に廻して事足れり,とされるのは勘弁して欲しいのですよ.
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» 山中湖に誘致しましょうか? [丸山高弘の日々是電網 The First.]
来年度の図書館大会の会場が未定だとういう。
通常であれば、その年の開催前に、翌年の会場が決まっているはずなのだが、今年は事情が違うらしい。
今まで図書館大会には参加したことはありませんが、いっそ山中湖で開催してくれたらなぁ...などと考えております。
・失政のツケ 愚智提衡而立治之至也
なんか別の団体が必要なのかなぁ...
図書館って言った時点で固定概念の壁が大きく立ちはだかるので、地域の情報拠点協会なんてのは、どうでしょうか。... [続きを読む]
大会には9年前に開催県として巻き込まれたことがありますけど、あれって協会事務局は遠くからどうでもいい事だけ口出して、実務的なことは開催県とに丸投げですからね。せいぜい部会のメンバーが仕事の片手間で分科会の打ち合わせをメールでしてくる程度で。開催県ではしばらく専属で司書が一人大会業務に持って行かれた上に、激務と要らぬ苦労で本当に気の毒でしたよ。当日は休館して職員が総出で手伝わされますし(9年前は初めて休館せずに大会開催しなかったため、館内もえらいことでしたけど、その後の他県はやっぱり休館しているのかな…?)。そりゃ、どの県ももうやりたくないんじゃないですか。
協会は公共図書館の現状を把握し支援するべき立場なのですから、会場はどこであれ、自分達の大会として事務局が主体的に開催すればいいと思います。
投稿: tohru | 2008/10/18 21:34
>>tohru さん
いやはや,噂には聞いてましたけど,そこまで酷いとは>>日図協事務局.丸投げしているくせに,東北の某県でやったときは,県立図書館長が挨拶に来ない,と(コップの中で)大騒ぎになり,北関東の某県でやったときは開催内容に県立図書館が異論を挟んだ,と(コップの中で)大騒ぎになり・・・・・・.
> 協会は公共図書館の現状を把握し支援するべき立場なのですから、会場はどこであれ、自分達の大会として事務局が主体的に開催すればいいと思います。
それが,エントリーでも触れた日図協の「建前」では
> 大会はすべての館種の図書館員などが一堂に会する唯一の全国大会
というスタンスなんですよね.これは,裏を返せば「公共だけじゃなく他の館種も協力しろ」と言っているわけです.ところが日図協の実態は,公共以外に「図書館は無い」と言っているようなものですから(前理事長はそれでも館種間融和を図ろうと努力してくれたけど,元理事長と現理事長は「公共にあらずんば人にあらず」ですから),施設A会員として年5万円払っているし,統計にも協力しているのに,という気持ちは大なり小なり,公共以外の館種にはあるんじゃないかなあ.
これで,県立図書館が協力しない,となれば日図協が孤立無援に陥るのは火を見るよりも明らかですね.しかも現理事長は,本当にあるのかどうかもわからない「県立・大規模図書館(悪)vs市町村立・中小規模図書館(善)」という言論対立の構図を煽ってきた調本ですから,そりゃ県立が協力したくなくなるのも道理ですよ.
そうだ,来年度以降は,滋賀県立と横浜市立で交互に開催したらいいんだ>>全国図書館大会.
投稿: G.C.W. | 2008/10/19 08:19