ショスタコーヴィチ/交響曲第13番
ショスタコーヴィチ/交響曲第13番変ロ短調作品113「バビー・ヤール」@アンドレ・プレヴィン/ロンドン交響楽団(EMI:5 73368 2)
1979年7月の録音.
バス独唱と男声合唱を用いた,5楽章からなるカンタータのような交響曲である.ナチによるユダヤ人虐殺を指弾しながら,同時に帝政ロシアから旧ソ連にいたるまで水面下に存在していたユダヤ人抑圧をも同時に告発したエフトゥシェンコ(1933-)の詩をテキストに作曲された.「ソ連には人種問題は存在しない」というソヴェト共産党の立場を損ねる作品だったため,1962年12月の初演後,詩の内容がフルシチョフの嫌忌するところとなり,変更を余儀なくされている.もっとも,西側ではオーマンディの初演以来,原詩で演奏されるのが通例であり,旧ソ連時代は変更された詩による録音を残していたコンドラシン(この交響曲の初演者である)も,1978年の亡命後に演奏した際は原詩に戻しており,そのライヴ録音も残されている(フィリップス).
ショスタコーヴィチらしい,屈託ありまくりの音楽で,諧謔と悲劇がこきまぜられたような異形の響きを奏でる作品を,プレヴィンはさすがに破綻無くまとめて間然するところが無い.全編を通じてテンションの高い,好演である.
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