ベートーヴェン/交響曲第9番
ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@ルネ・レイボヴィッツ/ロイヤル・フィル(チェスキー:CD66)
1961年6月3日,5日,7日の録音.
レイボヴィッツ(19131972)は一時期,日本でもある程度の影響力を持っていた音楽理論家である.前衛音楽を理論と実践(指揮)の両面から紹介し,とりわけ新ヴィーン楽派の音楽理論が広がったことには,レイボヴィッツの活動が力になっていると思われる.教育者としても,ピエール・ブーレーズなど著名な弟子を多く育てている.
指揮者としては,それまでの枠に収まらない独創的な解釈を旨としていたようで,奇矯に聴こえる演奏も多く残して,いわゆる「爆演」系の指揮者に分類されている.この「第9」は全曲を61分あまりで吹っ飛ばす演奏で,特に第3楽章を12分半で突っ切ってしまうのは,今でこそ「ベートーヴェンの指示したメトロノームのテンポに忠実」を謳う録音が横行して珍しくも何とも無くなっているが,クレンペラーもクナッパーツブッシュもワルターも健在だった1961年当時に,このテンポで演奏しているのはレイボヴィッツくらいのものではないかしらん(何でもレイボヴィッツのベートーヴェン全集自体が,メトロノームに忠実であることが売りだったらしいのだが).スケルツォの反復を忠実に実行しているくせに,オーケストレーションにはかなり手を入れていたり,なかなか一筋縄ではいかない演奏である.
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