ベートーヴェン/悲愴
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタハ短調作品13(第8番)「悲愴」@ワルター・ギーゼキング(EMI:TOCE-8355)
1956年10月の録音.このCDがステレオ初出との由.
ギーゼキング(1895-1956)は,かの内田光子が「レコード芸術」のインタビューで「あのひとだけは,なにがやりたかったのかよくわからないピアニスト」という意味のことを話していた記憶がある(^^;).何しろ,ブルーノ・ワルター/ヴィーン・フィルとベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番を録音したときはお互いに失敗だと思っていたのに,メンゲルベルク/コンセルトヘボウとラフマニノフを共演しているのは,それだけメンゲルベルクの方がモダンな感覚を持っていた,と言うことなのか(ギーゼキングはメンゲルベルクとの共演についてはコメントしていないらしい.何しろ共演は第二次大戦中のことで,メンゲルベルクは戦後対独協力者ということで演奏を禁じられてしまっていたので,自らは危険を回避したのだろうか)?
それはさておき,この「悲愴」ソナタは凄い.ちょっと調子の悪いときに聴くと,第2楽章で涙が止まらなくなるくらい,しみじみとした好演である.両端楽章ではキリッと引き締まった演奏を聴かせる.ルドルフ・ゼルキンほどカッチリぎっちりした技巧では無いが,粒立ちの良い音で軽やかながらも説得力を持って迫ってくる.
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