大阪府立国際児童文学館廃止に反対するパブリックコメント(その1)
「大阪維新」プログラムの「改革プログラム」の中で,「公の施設の方向性」25番にあります大阪府立国際児童文学館の廃止,大阪府立中央図書館への蔵書の統合を見直していただきたく存じます.大阪府立国際児童文学館は,1984年の国際児童年を記念した施設としては恐らく国内最大級のものであり,日本のみならずアジアにも目配りの行き届いた,歴史的かつ国際的にも素晴らしい児童文学・マンガのコレクションを所有するのみならず,児童文学に関する図書館・博物館・研究機関の機能を併せ持った,他都道府県にその類例を見ない貴重な施設であります.これまで出版社等の協力を仰ぎつつ築き上げたコレクションは70万冊と言われておりますが,これは東京都にある国立国会図書館付属の国際子ども図書館(ちなみにこちらは「子ども読書年」を記念して設置された施設であり,府立児童文学館とは設立の意義も内容も大きく異なります)における約28万冊を遙かに超える点数です.この児童文学館のコレクションは改革プログラムが実行され一たび解体されれば恐らく,二度と構築することは不可能であり,大阪府知事が危惧している将来世代の児童文学・マンガ研究者に大きな負担を強いることは確実であり,日本の児童文学研究史に大きな禍根を残すことになることは確実であります.また,大阪府立中央図書館へのコレクションの移転は,府立国際児童文学館と府立図書館という,その成立時から異なる思想により構築された資料の運用を府立中央図書館が単独で担うことになり,これは府立中央図書館にとって運営の多大な非効率を生み出すことになります.図書館において「集約化」は必ずしも「効率化」には結びつきません.そこのところをよくお考え頂き,児童文学館の存続をお計り頂きたくお願いいたします.
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