シューベルト/交響曲ニ長調D.936A
シューベルト/交響曲ニ長調D.936A(未完)から第2楽章アンダンテ変ロ短調(ブライアン・ニューボールト補筆版)@ミヒャエル・ギーレン/南西ドイツ放送交響楽団(ヘンスラー:CD93.029)
1998年9月5日の録音.
マーラーの交響曲第6番と,アルバン・ベルクの「管絃楽のための3つの小品」作品6をカップリングしたCDの,余白にささやかに録音されているこの作品は,シューベルトが最後に手がけた交響曲と思われる作品で,恐らくはその早すぎる死の直前に作曲されている.本来は3楽章もしくは4楽章の交響曲の第2楽章として作曲されたはずの音楽だが,演奏時間が11分を超える,かなりの規模の緩徐楽章であり,内容的にも交響曲ロ短調D.759の第2楽章に勝るとも劣らない凄絶なものをたたえているためか,他の断片に比べて単独で取り上げられることがあるらしい.僕は以前,NHK-FMでシノーポリがこの作品を単独で取り上げているのを聴いて吃驚した記憶がある.あのときは確か,この作品とストラヴィンスキーの「3楽章の交響曲」ともう1曲(曲名を忘れた)という演奏会で,番組の解説者が「音楽の落穂拾いのような演奏会」と評していた.
この演奏,おおよそ「ロマンティック」を削ぎ落としたギーレンの棒が,却って仮借なくシューベルトが「シューベルト」を超えようとしていた,その可能性の大きさと失われたものの儚さを気持ちが悪くなるほど表現しつくして,余すところが無い.年がら年中,聴きたいとは思わない演奏である.この曲の後に聴く,同じギーレンによるD.944(CD93.057)が何と現実的に響くことよ(^^;).
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