ショスタコーヴィチ/絃楽四重奏曲第14番
ショスタコーヴィチ/絃楽四重奏曲第14番嬰ヘ長調作品142@ボロディン四重奏団(BMG/メロディア:74321 40717 2)
1981年の録音.
作曲家最晩年の1973年に作曲された,急-緩-急の3楽章からなる,約30分の作品.急がどちらも「アレグレット」なのが,如何にもショスタコーヴィチである(^^;).ディヴェルティメント風な楽想で始まる第1楽章は,途中で軋むような痛々しい叫びを上げながらも快速に,軽やかに進むが,途中から突然スローテンポの深刻な楽想に転じてしまう.まるでそれまでの軽快さが「強要された」とでも言わんばかりに.コーダで最初の楽想が回想されるように戻ってくるが,それは今にも消え入りそうであり,実際フッと消えてしまう.第2楽章は,同じショスタコーヴィチの交響曲第14番の緩徐部を思い起こさせる深刻な音楽.それがベートーヴェンの交響曲第5番もどきのピチカートがはじまるとアタッカで終楽章に入るのだが,これがまた何とも皮肉な音楽で,プロコフィエフだってこんな辛辣なジョークは飛ばさなかっただろうよ,と思わせる耳障りな音楽が展開する.それが3分ももたずにまたしてもスローテンポの,晩年のベートーヴェンのようなしんねりむっつりした楽想のトリオを挟んで,再び最初の皮肉な音楽が戻ってくるのだが,これもまた最初の勢いは失われていて,しんねりむっつりの影響を大きく受けたまま,さらに別の絃楽四重奏(何番だか忘れた)の楽想らしきモティーフが引用されたりしながら,息も絶え絶えに終わる.
演奏については,僕がとやかく言うまでもない.ショスタコーヴィチの絃楽四重奏はロシアの絃でなければ再現できない,ということをわかっていただければ充分.
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