J.S.バッハ/音楽の捧げ物
J.S.バッハ/音楽の捧げ物BWV1079@シギスヴァルト・クイケンほか(ドイツ・ハルモニア・ムンディ:88697 281822/4)
1994年2月22日から25日の録音.例の50枚組の1枚である.
確かこの作品,楽譜に使用楽器の指定が無いので,いろいろな編曲/解釈が可能.でもって,「6声のリチェルカーレ」をアントン・ヴェーベルンが編曲したものは,近代のオーケストレーション技法史上,不滅の価値を持つものだが,古楽としてはこちらのほうがより妥当な編曲/解釈ということで.
音楽における「秩序と形式」の近代は,恐らくW.A.モーツァルトとベートーヴェンの線で出発し,ブラームスとマーラーとレーガーを経て,新ヴィーン楽派が極北なんだろうと思う.この「音楽の捧げ物」は極北まで行き着いたモダニズムの揺り戻し(それは「古楽復興」の名の下にモダニズムから出発し,プレ・モダン回帰の衣装をまとったポスト・モダニズムがもたらした成果である)が見事な着地点を見出した,その実践例であろう.
「秩序と形式」の近代を未消化のまま,「混沌と自由」のポスト・モダニズムへの移行を計るのはプレ・モダンへの退行であり,「先王に法とらず礼義を是とせず」(『荀子』非十二子編)という謗りを免れ得ぬまい.
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