ストラヴィンスキー/春の祭典
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「春の祭典」@ピエール・モントゥ/パリ音楽院管絃楽団(デッカ:440 064-2)
1956年の録音.
1913年5月29日,バレエ・リュスの公演で初演されたときに指揮をしたのが,他でもないこの録音を振っているピエール・モントゥ(1875-1964).「春の祭典」の初演は大スキャンダルとなり,演奏中から大混乱を来たしていたが,作曲家の回想に拠ればモントゥひとり落ち着きはらって自らの職務を遂行していたとか(^^;).
ストラヴィンスキーは自らの指揮技術の不足に加えて,当時の著作権の関係もあってか,年がら年中「改訂」と称して「ペトルーシュカ」や「春の祭典」の楽譜を弄繰り回していたが(特にUSAに亡命してからの「改訂」には,著作権絡みの生臭い噂話もあるようで),モントゥは「これが私の『春の祭典』だ」と,頑として初演で振った版以外の「春の祭典」は振らなかったらしい.ここに聴く「春の祭典」が他の指揮者の演奏と幾分違う音が響くのは,こちらがオリジナルなのであろう.
良くも悪くも,明快な棒で古きよき時代の雰囲気を伝える演奏.これを「古色蒼然」と受け止める聴き手がいても,僕にはちょっと非難できそうに無い(^^;).この作品の指揮法を発見したと伝えられるマルケヴィチ以降の,リズムの切れ味で勝負する「精密機械」のような「春の祭典」ではないからね.
それでも,この録音の価値と魅力は色褪せることは無いと,僕は思ってますよ.
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