ゼレンカ/神の御子のミサ
ゼレンカ/「神の御子のミサ」ZWV20@フリーダー・ベルニウス/ターフェルムジーク・バロック管絃楽団(ドイツ・ハルモニア・ムンディ:88697 281822/49)
1989年録音.ドイツ・ハルモニア・ムンディのレーベル設立50周年を記念して発売された50枚組の廉価盤CDセットから.
「キリエ」と「グローリア」からなる,40分ほどのミサ曲.今日の読者がこの作品をまだ聴いたことが無いのであれば,この作品をこれから聴くという「歓び」が,まだこれからの人生に残っている諸賢を羨ましく思う(^^;).それほどの傑作.
ボヘミア生まれ,ドレスデンで活動した作曲家ヤン・ディスマス・ゼレンカ(1679-1745)は最近,ようやくリヴァイバルしてきた作曲家で,その全貌が明らかになったとは未だに言えないが,音楽の総決算のような形で生み出されたこの作品は,間違いなく同時代のJ.S.バッハにも比肩する高みにゼレンカの音楽があったことを示す名作である.ゼレンカ自身,晩年の1740年から1741年にかけて,このミサ曲を含む6曲のミサ曲を「最後のミサ曲」としてまとめるつもりだったようだが,実際に作曲されたのはこのミサ曲と「父なる神のミサ」ZWV19,「すべての聖人のミサ」ZWV21の3曲だけである.
なお,このミサ曲には「クレド」以下が欠けているが,J.S.バッハにも「キリエ」と「グローリア」のみからなるミサ曲が残されているので,このゼレンカのミサ曲もいわゆる「短ミサ曲」として作曲されたのかもしれない(ゼレンカはカトリックなので,プロテスタントのバッハならともかく,「短ミサ曲」を書いたとは考えられない,とする見方もあるようだ).何となく,この作品にはこの2章のみで完結した雰囲気が漂っているように聴こえる.
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