新入生オリエンテーションをめぐるよしなしごと
年度末なので,〆とともに新年度のことをそろそろ考えなくてはならない時期に来まして(^^;).今日はもう学生もあまり来なかったので,雑用をこなしながら「新入生オリエンテーション」のことを,あれこれ考えているのでした.
何しろ,これまでがあまりにも質量ともに脆弱なオリエンテーションを繰り返してきたので,そろそろ転換を図ろうかと,ここ数年いろいろ工夫をしてみたり,外圧を利用してみたり(全体会で演説をぶつ機会をもらえた)して動かない職員をなだめすかしてきました(もちろん,こちらの意を挺して行動してくれる職員もいますが).昨年度は全体会でパワーポイントを導入するだけの環境が整ったので,ようやく説明に活用してみました.昨年度,僕がしでかした失敗は「全体会」と「学内見学で図書館までやってくる学科毎の案内」の内容をきちんと区分けできなかったこと.そのため,どちらもがガイダンスなんだかオリエンテーションなんだか,よくわからない状況に陥ってしまった(-_-;).
他所の大学図書館ですと,入学して一段落したところで図書館オリエンテーションを希望する学生に対して行ったり,既に図書館の利用法に関する講義を受講することが義務付けられたりしているのでしょうが,仮にウチでそれをやろうと思ったら僕の負担が増えるばかりで,僕が辞めた後にその仕事を引き継げるひとがいなくなってしまう危険性が高いんですよ.これ,僕が「仕事が出来る」と自慢しているわけでも何でもなく,スタッフがラインも兼ねて仕事している小規模図書館の実情はそんなものです,というだけのことです.昨年度,とある教員に頼まれて「レポート・論文作成の手引き」を講義時間内に解説してきましたが,これだって僕自身が出馬せずに済めば,いろいろな意味で組織内に「図書館の力」を認めてもらえるんですよねえ.現状,それが出来ないところに僕の悩みの種(のひとつ)があるわけで(誤解の無いように書いておくと,ある個人に対して,ある仕事が出来るだけの人格と識見があると認めることと,その個人にその仕事を任せると決断することの間には,海よりも深い裂け目があるのです).
そんなこんなで,何とか現状の形式を維持しつつ,オリエンテーションの質を向上させるとともに,効率よく新入生に「大学図書館は何が出来るところか」及び「大学図書館ではどのように振舞えばよいか」というふたつのことを大学入学という人生の節目に舞い上がっている(?)新入生に伝える,という難事業を敢行しなければならないのですね.で,恐らく当blogに図書館関係のエントリーを目当てに来ている学生諸賢には信じ難いことと思われそうだけど,僕の経験上,ウチに来る学生で,高校までに公共図書館や学校図書館を頻繁に利用した経験のある学生は5分の1もいないのが実情です.だから,そもそも18歳に対して「図書館とは何か」ということから教えなければいけない,という面倒な作業から始める必要があり,しかも,この18歳は年齢が18歳というだけで,学問や知識の経験値が年齢相応になっているのかどうかは,いささか疑問無しとしないわけですよ.このあたり,僕はオルテガ・イ・ガセットの『大衆の反逆』の愛読者だから,どうしても懐疑的かつ悲観的(^^;).
取り敢えず,まずは「ガイダンス」と「オリエンテーション」をきちんと分けて,ガイダンスは全体会で「図書館とは何か」「大学図書館は何が出来るところか」を騙り,オリエンテーションでは「大学図書館での振舞い方」を必要最低限伝授する,というところを基本に据えて,全体を俯瞰しながら制度の設計(と書くと大袈裟だな)をいま一度,叩き直してみましょうか.もっと詳しい話を聞きたければ,その機会を作ってくれ,と相手にお願いするのも一興.
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