コルンゴルト/ピアノ協奏曲
コルンゴルト/左手のためのピアノ協奏曲作品17@シュテファン・デ・グローテ&ヴェルナー・アンドレアス・アルベルト/北西ドイツ・フィル(cpo:999 150-2)
1988年6月の録音.
早熟の天才作曲家コルンゴルト(1897-1957)が,第一次世界大戦で右手を失ったヴィーンのピアニスト,パウル・ヴィトゲンシュタイン(1887-1961)の委嘱を受けて作曲した,単一楽章で30分を超えるピアノ協奏曲である.しかしヴィトゲンシュタインは1924年に初演したものの,あとは1度も弾かなかったらしい.何しろラヴェルの協奏曲のピアノ・パートは書き換えるわ,プロコフィエフの第4番は「1音たりとも理解できない」と付き返すわ,ヒンデミットの「ピアノと管絃楽のための音楽」は演奏もせず仕舞い込むわで,かなり狷介な人物だったらしい(^^;).ちなみに,このピアニストの弟が哲学者のルートヴィヒ・・ヴィトゲンシュタイン(1889-1951)である.なお当人はベンジャミン・ブリテンの「主題と変奏」作品21をもっとも評価していたとか.
コルンゴルトのピアノ協奏曲は,如何にもこの作曲家らしい絢爛なオーケストレーションを伴っているが,なかなかに内省的で,無調以前のシェーンベルクや,あるいはストラヴィンスキーを思わせるところもあり,当時の新思潮にも目配りした気配のある作品に仕上がっている.演奏は健闘しているが,こーゆう曲こそカラヤンの棒で聴きたくなるのは,無いものねだりというものであろうな(^^;).
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