グラズノフ/交響曲第5番
グラズノフ/交響曲第5番変ホ長調作品55@エフゲニ・ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル(アルトゥス:ALT064)
1979年6月8日,NHKホールでのライヴ録音.
柴田南雄『レコードつれづれぐさ』(音楽之友社)に拠れば,ロシア革命から逃れてきた白系ロシア人の演奏家が多く滞在していた第二次大戦前の日本楽壇で,グラズノフの5番や昨日取り上げたカリンニコフの第1番などは,既に演奏されていたそうで,他の資料と付き合わせてみるとカリンニコフの日本での初演者は,かの近衛秀麿(1925年4月)だったらしい.
それはさておき,グラズノフの音楽は一般的に旋律は美しいものの,長めの作品になるとメリハリが少なくて退屈なことがあったりもするのだが(当方,グラズノフの名曲とされるヴァイオリン協奏曲が退屈で退屈で,フィナーレのトランペットが聴こえてきてようやく「救われた」と思ってしまうヒトです),この交響曲第5番は音楽が可憐で美しい瞬間がある上に,古典的な造形による適度な求心力もある.とはいえムラヴィンスキーがチャイコフスキーやブラームスのように演奏したら壊れてしまいかねない音楽なので,さすがにムラヴィンスキーも手綱を抑え解釈を作品に合わせている.レニングラード・フィルの硬質の美音がたまらない1枚である.
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