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2008/01/29

「法の下の平等」とレコメンドサービス

 でまあ,懲りもせず(^^;)「みんなの図書館」2008年2月号(No.370)を話題に載せる.特集は〈図書館の自由,いまとこれから〉.何でも図問研の自由委員会が再起動するのに合わせての特集との由.忙しくてblogにエントリーが書けなかった1月号(No.369)の特集〈としょかんきほんのき〉が意外に(失礼!)良い特集だったので(安心して図書館を勉強する学生にも薦められる),今回も期待したのだけど,残念ながらハズレである.

 中でも感心しないのは「図書館は利用者の秘密を守る」(21-26頁)という文章.これ,期せずして折からblog界隈で話題になっていた,例の練馬区立図書館における貸出履歴保存の問題と,そこから派生して話題になった,公共図書館が貸出履歴を利用してレコメンドサービスを展開することの是非(参考:貸し出し履歴保存延長問題(まとめ) - 図書館学の門をたたく**えるえす。)を,生真面目な融通の利かない公共図書館員がどう捉えるか,を考える上で非常に示唆に富んでいる.
 あわてて誤解のないように断っておくが,もちろんこの文章が直接,練馬区立の話やレコメンドサービスの話を扱っているわけではない(執筆から掲載までのタイムラグを考えても,それらが当該文の執筆の動機とは考え難い).

 当該文の筆者はこう書く.


商店などでは,お得意様セールと称して,よく来る客を優遇する場合がある.(中略)では,この手法は図書館で使えるのか.答えは否である.日常的によく利用する利用者,いわゆる常連のかたと,今日カードを作って初めて利用する利用者の間に,対応の差があってはならない.してはいけないことである.憲法第14条,地方公務員法第13条によって規定されている「法の下の平等」である.(23頁)
憲法まで持ち出して,さても,公僕の鑑であることよ,と一見もっともらしいことを書いているように見える.彼は更に

常連に「こんな本が入りましたよ」とは言えないことである.
とまで説く.この発想で考えれば,確かにblog界隈で論じられている,貸出履歴に基づくレコメンドサービスを,公共図書館員が「法の下の平等」に外れる,と考えるのも無理はないのかもしれない.

 しかし,むしろ当該文から立ち上ってくるのは過度なまでにかたくなに「結果の平等」にこだわり,「図書館の自由」にこだわり,それらを達成するためには地域のコミュニティを破壊しても構わないとする官僚乃至は擬似インテリの傲慢である.こーゆう主張を「法のために人がある」と言うのだろうか.何しろ,上記引用で「(中略)」としたところには,実はこう書いてあるのだから.


実際には,顧客を囲い込んで他の店へ行かせないようにするのが目的だと思われるが,客にとっては優遇されることが優越感をくすぐって,両者とも満足であることが多い.
これが地域住民に対する公務員の視線の実態である,としたらどうだろう.斯様に地域住民を愚民視するパターナリズムに染まりきっている公共図書館員に「法の下の平等」を説かれても,そんなものが信用できますか? 当該文の筆者が現在,マツダか三菱のクルマに乗っているのであれば,確かに筆者自身は近代の公共図書館思想が想定している近代市民なのかもしれませんがね.
 まあ,「常連に「こんな本が入りましたよ」とは言えない」これさえ許されないのであれば,公共図書館が「利用者の時間を節約する」ことは永遠の絵空事に終わるだろう.

 挙句に,大学図書館の図書館システムで取り入れられている「My Library」機能(当該文の筆者は文章では明示していないが,注記で取り上げられている大学図書館のサイトを見てみたら,明らかに「My Library」機能のことを指していると確認できる)にまで苦情を申し立てている有様である.余計なお世話だ.図書館は機能を利用する「機会」をお客に提供しているのであって,全員に機能の利用を強制しているわけでもなし.使わない自由は保障されている(と思う).

 いや,むしろ公共図書館の図書館システムに貸出履歴をコントロールできる「My Library」や「レコメンドサービス」機能を積極的に導入することにより,個々の貸出履歴を図書館側ではなくお客個々がコントロールできることになれば,貸出履歴に対する国家権力の介入が,そのまま住民の自治への介入に直結することになるのではなかろうか.公共図書館において,そのような個々による多元的な自治を目指すことの方が,近代市民社会を形成している,と形容するに相応しい社会なのではないだろうか,と愚考するのだが如何?

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コメント

 [自由に関する宣言]も原則ありきではなく、時代やニーズに合わせて変えていく必要があると思うんですけどね。
 彼らが思う「成熟した市民社会」のイメージは僕のイメージとは合わないみたいです。市民はそれほどバカではないと思うんですけどね。

 「みんなの図書館」がWebで公開してないかなー、と淡い期待を抱いて図問研のページに飛んでみたらやる気の無さに吹きました。というか、第53回全国大会が何か別の分野の研究会に見えてしまいます(^^;

>>yhwhさん

コメントありがとうございますm(_ _)m

書物奉行さんのブクマ↓が指摘してますけど,
http://b.hatena.ne.jp/shomotsubugyo/20080131#bookmark-7272525

> こーいった厳格主義は許認可や税務ならともかくサービスや給付行政には不適当。

ホントに,その通りだと思います.何時の間にか,「自由に関する宣言」が不磨の大典と化して,一人歩きをしている,という感があります.「参照」は常にされるべきですけど,同時に「検証」も常になされなければならないはずなのに,どういうわけだか「検証」は置き去りにされている.あの「宣言」がわざわざ「1979年改訂」と謳っている含意は,時代に沿った内容の「検証」がこれからも行われていきますよ,ということだったんじゃないかと思うのですけど.やっぱり,自分たちのしていること/してきたことに自信が持てないのか,その場をしのぐだけで精一杯なのか.

> 「みんなの図書館」がWebで公開してないかなー、と淡い期待を抱いて図問研のページに飛んでみたらやる気の無さに吹きました。

元会員がこんなことを言うのも何ですけど,あの団体にそーゆうことを期待するのは間違いです(^^;).何時ぞやかも誰かにコメントしましたが,現在あの団体は組織としての態をなしてませんから.だから,何か揉め事が起きると部門の長ではなく,常に委員長が引っ張り出されることになってしまっているんです.前委員長,当代委員長の善意は全く疑いませんが,それに頼りきりというのは組織としては如何なものかと.

ようやく,それが多少は見直されたのか,まずは自由委員会の復活の狼煙がこの2月号だったわけですが,こーゆう文章が掲載されてしまうあたり,未だし,というところですね.

まあ,「現場が元気になる論説を載せてほしい」と言われてしまう日図研も同様ですが,専門職としての問題と労働者としての問題を切り離して論じることが出来ないところ(専門職としての問題が常に労働問題にすりかえられてしまう)が,現在の図問研の致命的な社会的立場の弱さにつながっているのだと認識してます(^^;).

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