チャイコフスキー/協奏的幻想曲
チャイコフスキー/協奏的幻想曲ト長調作品56@ピーター・ドノホー&ルドルフ・バルシャイ/ボーンマス交響楽団(EMI:5 85540 2)
1989年7月と8月の録音.
ピアノと管絃楽のための2楽章からなる,華麗で哀愁を帯びた旋律と技巧が華々しくピアノでかき鳴らされる作品.何でも若きオイゲン・ダルベーア(1864-1932)の演奏にインスパイアされた作品だそうで,とにかく派手で演奏効果も充分,長さも30分に少々満たない程度なので,グリーグの有名なピアノ協奏曲イ短調作品16が10回演奏されるうちの2回くらいはこちらに廻しても,聴く側の元が取れるんでないかい(^^;).と思わせるほど,演奏される機会に恵まれていないんじゃないかな,この曲は.交響曲第4番以降の,チャイコフスキーの傑作の森の作品群の中ではピアノ協奏曲第2番とともに,もう少し表舞台に立たせてあげたい作品であるよ.
まあ,作曲者自身が「幻想曲」と名づけたくらい,変化に富んでいるといえば聞こえがいいが,とにかく音楽が散漫(!?)で次から次へと旋律が繰り出されて惜しげもなく消費されてしまう(^^;)作品なので,演奏する側にしてみればどう手をつけていいかわからない音楽なのかもしれない.そういえばダルベーア自身のピアノ協奏曲が,やっぱり散漫で求心力を欠いた音楽で,演奏家に「グランド・マナー」が備わってなければ聴けた代物じゃない(^^;)のであったことを思い出した.
この演奏はピアノ,オケ共に技巧も解釈も健闘していると思う.何処に行ってしまうかわからない作品を,とにもかくにもまとめあげて,華麗な演奏を聴かせてくれる.
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