『安来市誌』問題
【東京新聞:郷土史、異例の削除要請 図書館に「差別助長」と:社会(TOKYO Web)】
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【郷土史に差別表現 安来市と旧伯太町 図書館で閲覧制限に - 島根 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)】
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【「「差別表現切り取って」図書館に異例の要請 市の郷土史で」話題!‐話のタネニュース:イザ!】
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正直,幾重もの意味で取り上げるのに気が重い/荷が重い話題ですが,取り上げないわけにもいきますまい.内容は産経新聞の「イザ!」が残念ながら(と言うのも,産経が「図書館の自由」を持ち出すときは,一般的に自らの立場に都合がいいとき,という経験則があるので)一番詳しい.日図協図書館の自由委員会委員長のコメントもあります.
今回は,事象としては,全く以って事後の対応について安来市当局が下手を打ったことに尽きるでしょう.僕のように北関東で22年煮しめられ,その後20年にわたって南東北に在住している人間には感覚的にわかりにくいのですが,西日本ではその方面に関してかなり敏感なところがあるようで,公共図書館業界においても幾つもの事例が積み上げられてきたはずです(例示は避けます).おまけに近来,隣りの鳥取県のみならず島根県内でも斐川町や出雲市の公共図書館が注目され,また(その当否はともかく)ハンセン病に関する件名標目への対処依頼を発信した方が近在の鳥取県大山町在住であり,さらに昨年図問研の全国大会が島根県であったわけで,それにもかかわらず安来市当局が「公共図書館」の何たるかを全く学習していなかったことが白日の下に晒される始末となりました.恥ずかしい(-_-;).
が,それにしても,読売新聞にあった記述発覚までの経緯は気になります.
ごく親しい事情通に確認したところ,現在は安来市在住者でも公務員や教育関係者なら講習会等でその方面について学習するけど,そのような機会がない限りは,最近の若いひとが該当する地名を見ただけで「差別表現」と指摘するだけの知識は持ち合わせてないんじゃないかと.また,問題の『安来市誌』が1970年発行とはいえ,一目でわかるような表現をとっているとは考えられない(この部分,僕も相手も現物を実見していないので詳細は不明).しかも島根県西部というのは安来市のある出雲部ではなく石見部だから,恐らく発見者はその方面に相当詳しい人間,有態に言えば「その筋の人間」ではないかと考えられる由.発見者の連絡先が安来市直接ではなく,わざわざ島根県に,であることにも,ある含意が感じられると言います.
「昨年11月下旬、県西部の図書館利用者から、県に連絡があり判明。」
まあ,繰り返しになりますが,何より安来市当局の対応が当初
ことが,あまりにも脊髄反射だったことは否めません.この対応が誤りであり,その誤りが新聞沙汰となり,却って事を大きくしたことは間違いありません.今後当局には公共図書館の機能を学習するとともに,歴史的資料の価値を再認識していただき,二度と同じ誤りをしでかすことなく,毅然とした対応を求めるものです.
「この2冊を所蔵している場合、当該ページを切り取って市に送付するよう求めていた」
1月15日追記:
【安来市:郷土史一部「差別助長」、ページ削除を要請 図書館側は拒否 /島根 - 毎日jp(毎日新聞)】
当局が各公共図書館に削除依頼の文書を送った日付が明示される.ところで
残りの半数の図書館は,なんと回答したのだろうか? そちらの方を,より知りたいのはヒトが悪いか.
「所蔵あり」と答えた図書館の半数が「削除は行きすぎた対応」「資料保存の任務があるため削除は適切でない」と指摘した。
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