ベートーヴェン/「ヴァルトシュタイン」
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタハ長調作品53(第21番)@フレデリック・ラモンド(HMV/ビダルフ:LHW043)
1930年5月5日の録音.
フレデリック・ラモンド(1868-1948)はイギリスのグラスゴーに生まれ,14歳でドイツに渡ってフランツ・リストに師事したこともある,往年の大ピアニストである.何故か昨年の今頃もベートーヴェンの「悲愴」ソナタを取り上げているのだが,特に冬になると聴きたくなるようなピアニストでもない(^^;).ただの偶然だとは思うが,「悲愴」ソナタのときも指摘した「テンポのゆれ」は,この「ヴァルトシュタイン」でも凄まじい.どちらかと言えば,中庸なテンポで出発するのだが,そのテンポは自在に伸縮し,さらにはリズムの取り方が実に特徴的.いまどきのひとが聴いたら「何を大げさな表情付けを」と一笑に付しそうな音楽だが,時代がそろそろ一回りしそうな気配も漂う昨今,斯様な演奏が(その大仰さを除いたポスト・モダン風味な形で)復権することも充分にありえるだろう.
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