ベートーヴェン/交響曲第9番
ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@エーリヒ・クライバー/ヴィーン・フィル(デッカ:425 955-2)
1952年6月の録音.
先日,YouTubeを散策していたら,たまたまエーリヒ・クライバー(1890-1956)が「第9」を振った映像を見つける.
これは1949年の「プラハの春」音楽祭の際に,チェコ・フィルを振ったときのリハーサルの映像だそうだが,以前取り上げたフルトヴェングラーやクナッパーツブッシュの指揮に比べると,とてもわかりやすい拍の取り方をしている(^^;).なるほど,この楷書体の振り方から,クライバーのかっちりしたテンポによる緩みの無い演奏が生み出されたわけだ.また,このような振り方でなければ当時の新音楽だったアルバン・ベルク(クライバーは歌劇「ヴォツェック」の初演者であるが,初演までに137回のリハーサルを繰り返したという)など,オケをドライヴするのは不可能に近かっただろうな,と感じさせる映像である.
で,ヴィリーやクナとは異なり,クライバーには幸い,ヴィーン・フィルを振ったスタジオ録音が残されている(残されて市販されているヴィリーの「第9」はライヴ録音ばかり).この世代の指揮者で,「第9」のオーケストレーションにあまり手を入れていないのは珍しいのでは? スケールは少々物足りないものの,テンポをほとんど動かしていないにも拘らず音楽をしなやかに聴かせるクライバーの音楽性は,さすがと思わせる.
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