トゥービン/死せる兵士のためのレクィエム
トゥービン/「死せる兵士のためのレクィエム」@ネーメ・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団(BIS:BIS-CD-297)
1985年5月11日の録音.
エドゥアルド・トゥービン(1905-1982)はエストニア出身の作曲家だが,ソ連とナチによるバルト三国の占領を経て1944年にはスウェーデンに亡命し,帰国することなく死去した.
この作品は,1919年のエストニア独立戦争,1940年のソ連による占領(さらに1941年から1944年まではナチの支配下に置かれ,その後再びソ連の支配下になる)という苦難に立ち向かい斃れた兵士を追悼するために1950年から作曲が始められたが第2楽章の途中で中断してしまう.19年もの後に作曲を再開し,最終的には1979年8月17日に完成する.1981年5月17日に,ストックホルムのヘドヴィク・エレオノーラ教会にて作曲家自身の指揮で初演されるが,その演奏会がトゥービンが指揮した最後の演奏会になる.
テキストは通常の典礼文ではなく,1,2,4,5章がヘンリク・ヴィスナプ(1890-1951),3章がマリー・アンダー(ウンデル,1883-1980)というエストニア出身のふたりの詩人による.ふたりともソ連の占領から逃れ亡命したのか,最期の地はそれぞれニューヨークとストックホルムである.また編成もアルト,バリトンの独唱に男性合唱,オルガン,トランペット,ティンパニ,ドラムという変わったもの.全編を通じて痛切な音楽が展開されるが,特に終章で吹かれるトランペットの響きは痛ましい.
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