メシアン/世の終わりのための四重奏曲
メシアン/世の終わりのための四重奏曲@長沼由里子,ジャン=ルイ・サジョ,ポール・ブルティン,アン=リーズ・ガスタルディ(カリオペ:CAL9898)
2006年2月の録音.この録音で,初めてこの作品を聴くが,作品の内容をよく伝える,優れた演奏であると思う.
全8楽章,45分超の大作.ヴァイオリン,クラリネット,チェロ,ピアノという風変わりな編成は,1941年にゲルリッツ(シュレジェン,現ポーランド)のドイツ軍第8A捕虜収容所に偶々居合わせた,作曲者オリヴィエ・メシアン(1908-1992)を含む捕虜の音楽家4人による四重奏を作曲したため.「Quartuor pour la fin du temps」というタイトルは,恐らく霊感を受けたという「ヨハネの黙示録」と,当時の捕虜収容所という絶望的な環境を重ね合わせて付けられたのであろうか.
メシアン自身が書いた楽譜への序文には,この作品を書くにあたって霊感を受けたという「ヨハネの黙示録」第10章の一節が引用されている.また,この作品が8楽章であるのは6日間の天地創造の次に来る7日目の安息日が延長され,「永遠の光と普遍の平穏の第8日目」が来るからとされる.絶望的な状況下においても,メシアンの信仰は揺らぐことなく,希望を見出そうとしていたことが示されていると考えていいだろう.
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