ヴェレシュ/交響曲第1番
ヴェレシュ/交響曲第1番@タマーシュ・パール/サヴァリア交響楽団(フンガロトン:HCD32118)
2002年2月の録音.
シャンドール・ヴェレシュ(1907-1992)はハンガリー出身の作曲家で,第2次大戦後にハンガリーが共産化するとスイスに亡命し,ベルンの音楽院で教鞭をとる傍ら,作曲を続けた.ハンガリーでは亡命後に作品の演奏が禁じられ,しばらくは本国でも忘れられた作曲家になっていたようである.
この作品は,いわゆる「皇紀2600年」の奉祝会で企画された奉祝演奏会のために日本政府からハンガリー政府に委嘱された作品である.演奏会は1940(昭和15)年12月7日・8日の両日,銀座の歌舞伎座(!)で催され,そこで他の委嘱作品と共に初演される.指揮を執ったのは当時の東京音楽学校教授橋本國彦(1904-1949).
作品は3楽章からなり,全体的にはヒンデミットのようなモダニスティックな新古典主義風で,ミニマリズムのように繰り返されるリズムが特徴的な第1楽章,穏やかだがコーダに至って小爆発する第2楽章,ラプソディー風な終楽章からなる.「皇紀2600年」との絡みで忘れ去られてしまうには惜しい作品だと思う.
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コメント
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忘れ去られたら惜しいレベルなのはいいことです……
R・シュトラウスの「アレ」なんて、忘れてあげようよ~って感じですもんね(笑)。
投稿: ふみお | 2007/08/06 01:20
>>ふみおさん
「アレ」はオーケストレーションだけで聴かせる作品ですから(^^;).中身はあまり無いので,あれだけシュトラウスを好んで振ったカラヤンにも,先日交響詩集を作ったジンマンも録音していない,と.
アシュケナージによるデジタル録音が今年SACDで出てますが,確かにオーディオ的には鳴らしたくなる曲かもしれません.
投稿: G.C.W. | 2007/08/07 22:40