リヒャルト・シュトラウス/メタモルフォーゼン
リヒャルト・シュトラウス/メタモルフォーゼン(23の独奏絃楽器のための習作)@アンサンブル・オリオル・ベルリン(アルテ・ノヴァ:74321 81175 2)
1999年6月の録音.
1945年3月から4月という,第三帝国崩壊寸前の時期に,ナチによって引き起こされた第二次大戦のためドイツが瓦礫の山と化すのを目の当たりにしたシュトラウスが,滅び行く「古き良きドイツ」「自らの信奉するドイツ音楽」の崩壊を悼んで作曲したと言われる.ベートーヴェンの交響曲第3番の第2楽章(葬送行新曲)の主題がいたるところで明滅し,まるでその暗喩のような形で音楽は進行する.そして,コーダの最後の最後で葬送行進曲の主題がはっきりと提示されるという方法は,アイヴズの交響曲第4番の終楽章と同じアイディアだが,もちろんシュトラウスの死後に初演されるアイヴズの交響曲をシュトラウスが知る由も無い.
ドイツも,ドイツ音楽も第三帝国と共に滅びることは無かったが,シュトラウスの死でドイツ・ロマン派の偉大な時代はひとつの幕を降ろすことになる.
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