オネゲル/交響曲第2番
オネゲル/交響曲第2番@マリス・ヤンソンス/オスロ・フィル(EMI:5 55122 2)
1993年11月から12月の録音.以前,終楽章にトランペットの入らないプラッソン盤を取り上げたが,こちらは,終楽章にトランペットが入る演奏.徹頭徹尾陰々滅々な雰囲気で進行する音楽の,最後の最後で控え目ながらも朗々と吹き鳴らされるトランペットに,抵抗へのかすかな希望を見出す.
どうもこの曲を聴いていると,この作品の時代背景と,目の前で行われている現実とのあまりの符合に,時々愕然とすることがあって,聴いているうちにどうしても思い入れを感じがち.僕個人は,もう何事に対しても,戦うだけの気力も知力も残ってないけどね.
元々はパウル・ザッハー(1906-1999)の創設したバーゼル室内管絃楽団の創立10周年を記念するため,ザッハーから委嘱された作品だったが,作曲が遅々として進まぬ間に,ナチス・ドイツのフランスへの侵攻と降伏,ヴィシー政権の成立などが相次ぎ,占領下のパリの陰鬱な日々の暮らしの中でようやく1941年にこの交響曲を書き上げる.翌1942年にザッハーがチューリヒで初演するが,当時パリ音楽院管絃楽団の指揮者だったシャルル・ミュンシュがこの交響曲を好んで取り上げていたそうである.
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