イベール/祝典序曲
イベール/祝典序曲@山田耕筰/紀元二千六百年奉祝交響楽団(日本コロムビア:COCA-13182)
1940年12月18日録音.
こちらも先日取り上げたヴェレシュの交響曲第1番と同様,「皇紀2600年奉祝曲」のひとつで,山田耕筰(1886-1965)が振った初演もヴェレシュの作品と同日.次いで12月18日にはイベールとヴェレシュの作品が内幸町にあったNHKの放送会館から生中継されており,その際に日本コロムビアが録音したのが当CDに聴かれる演奏である.
ここで聴かれるオーケストラは,当時東京で活動していた6つの楽団を糾合した総勢160名超という臨時編成のオーケストラで,途中で金管がこけたりはしているものの,如何にも「国家総動員体制」の賜物,という感じがする.何分,編成が大きすぎて当時の録音技術では音が収まりきらず,音楽の細部にわかりにくいところがあるのは如何ともし難いところ.
フランスは1940年6月にナチス・ドイツの傀儡であるヴィシー政権が成立したため,建前では枢軸国側の友好国となっていた.ジャック・イベール(1890-1962)は当時イタリアのローマにあったフランス・アカデミー(パリ音楽院の「ローマ大賞」受賞者が,更に研鑽を積むべく送り込まれたのがここ)の館長を務めており,ローマに住んでいたため,この作品もローマで作曲されている.14分ほどの作品で,リヒャルト・シュトラウスの祝典曲同様,それほど中身のある作品とも聴こえないが,練達の管絃楽法がそれをカヴァーしている.
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