ベートーヴェン/交響曲第5番
ベートーヴェン/交響曲第5番ハ短調作品67@アルトゥール・ニキシュ/ベルリン・フィル(DG:POCG-2126)
1913年の録音.当然だが電気録音(マイクロフォン)ではなく,アコースティック録音(ラッパ吹き込み)である.実に情けない音で,テンポ以外のニュアンスを聴き取ることはまず無理な録音しか聴こえない.トスカニーニは「これは私の知っているニキシュではない」と言ったそうだが,一見イン・テンポを装いながらも実はかなり細かくテンポを動かし,スタイリッシュなテンポでベートーヴェンを聴かせている(ように思われる).
ニキシュ(1855-1922)はオシャレにかなり気を遣うひとで,女性にはよくモテたそうである.いつも燕尾服の袖からワイシャツの袖口がほどよく見えるように気を配り,その袖口には必ずステキなカフス・ボタンを付けていた,なんて逸話もあるらしく,その指揮姿は実に洗練されたものだったらしい.「身振りは大きくなく,むしろ目で指揮をしていた」とも伝えられている.滅多に同業者を褒めない(マーラーやフルトヴェングラーのような,テンポを動かす指揮者が特に御嫌いだったらしい)トスカニーニが唯一尊敬していたのがニキシュだったとも言う.
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