リヒャルト・シュトラウス/英雄の生涯
リヒャルト・シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」作品40@ヴィレム・メンゲルベルク/ニューヨーク・フィル(RCA/BMG:BVCC-7079/7080)
1928年12月の録音.それまでの機械録音(ラッパ吹き込み)に代わって電気録音(マイクロフォン)が登場してまだ3年余りの頃の録音だが,針音の向こうから聴こえてくる音の意外に鮮明なことにまずは驚かされる.
メンゲルベルク(1871-1951)はアムステルダム・コンセルトヘボウ管絃楽団に50年の長きに渡って君臨した指揮者だが,この当時,フルトヴェングラー,次いでトスカニーニという名指揮者と共にニューヨーク・フィルの常任指揮者を務めている.トスカニーニとソリが合わずに結局,1930年のシーズンを最後にニューヨークを離れるのだが,そのリハーサルは常に長い長い時間をかけた音合わせから始まったそうな.アンサンブルを鍛えることでは,トスカニーニも筋金入りの暴君であったが,メンゲルベルクも負けず劣らず厳しい練習を課したらしい.トスカニーニが癇癪持ちで何かあるとすぐに怒鳴り散らしたのに比べると,メンゲルベルクはトボけた警句を吐いて一同を震え上がらせるようなタイプだったようだ.
この「英雄の生涯」実は作曲者によってメンゲルベルクに献呈された作品で,のちにコンセルトヘボウと再録音したほどの十八番.こんな曲を書いたシュトラウスも自信に満ち溢れた人物だったようだが,演奏するメンゲルベルクも自らの解釈に余程自信があるようで,どこを突こうにも隙がない(^^;).全く完成された「メンゲルベルク流」としか表現の仕様のない,余人には真似のできない芸当である.
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