ニールセン/交響曲第3番
ニールセン/交響曲第3番作品27@ブライデン・トムソン/ロイヤル・スコティッシュ管絃楽団(シャンドス:CHAN9067)
1991年7月,トムソン(1928-1991)死去直前の録音.1980年代以降,エルガー,バックス,RVWと名演を連発していたトムソンの,ほとんど最後の遺産である.派手にやろうと思えばリヒャルト・シュトラウスばりに派手に演奏できるニールセンを,渋めの音色で説得力豊かに聴かせる術は,並大抵の手腕ではない.
この作品はソプラノとバリトンのソロが第2楽章で入るのだが,面白いことにそれが歌詞の無い,いわゆるヴォカリーズでしかも楽章の最後の2,3分だけに登場するという,普通の楽器のような扱い.なかなかに不経済な(?)オーケストレーションであるが,その声は,それまで悲歌のように悲痛な響きで満たされていた音楽の最後に至って,まるで何かが手を差し伸べているように聴こえてくる.そこから第3楽章の不思議な遊びを経て終楽章の広大無辺とも形容したくなるような歓喜に至る構図は,なかなかに興味ぶかいものである.
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