エルガー/交響曲第1番
エルガー/交響曲第1番変イ長調作品55@ジョン・バルビローリ/フィルハーモニア管絃楽団(EMI:7 64511 2)
日刊スポーツ【「鉄腕」野口二郎氏が死去 】
読売新聞【通算237勝、往年の名投手・野口二郎氏が死去】
戦前戦後の職業野球を代表する大投手の,ほとんど最後の生き残りだった野口二郎氏が亡くなりました.その時代を生きていたわけではない僕が知っている限りの名前を思い起こしても,草創期当時を知る最後の大投手でしょうか.
いや,野口二郎とエルガーに何か関係があるわけじゃありませんが,野口二郎のような大投手が投げていた頃の「職業野球」(「プロ野球」に非ず)の栄光と悲惨を振り返るのに,エルガーほど雰囲気の似合う音楽もまた無いな,と思います.エルガーの音楽が醸し出す「懐かしさ」は,カリンニコフのような「日常の原風景」への遠き想いではなくて,過去の栄光を静かに振り返る老大人の風格を思わせるものですから.
そのエルガーをバルビローリという,豊かな「うたごころ」を持った指揮者が演奏しているこの録音は,もう落陽の大英帝国を振り返るような雰囲気がむせかえるほど色濃く演奏にただよっているわけで,故人の栄光を偲ぶのにこれほど相応しい音楽はありますまい.栄光の時代が最早再現されることはありえず,現在のプロ野球からはあらゆる意味であの時代の空気を感じることはできないでしょう,ということも含めて.
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