ヴァーグナー/マイスタージンガー前奏曲
ヴァーグナー/「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲@カール・ムック/ベルリン国立歌劇場管絃楽団(HMV/プライザー:90269)
今週はこの国のあちこちで入学式が挙行されていたでしょうから,入学式の導入によく使われる作品を.
これは1927年録音.バイロイトで長いこと「パルジファル」を指揮し,バイロイトの主のように見られていた(ヴァーグナーの隠し子じゃないか,という噂があったほどヴァーグナーに似ていたとも)というカール・ムック(1959-1940)の振る「マイスタージンガー」前奏曲である.何と言っても,その演奏の「そっけなさ」には驚かされる.速めのテンポでほとんどタメを作ることなく,ある意味モダーンで格調の高い音楽が紡ぎ出されるのだが,音楽が全くと言っていいほど高揚しないのである(^^;).もちろん音は楽譜の指示に従って大きくなったり小さくなったりするが,これはエリック・サティ言うところの「家具の音楽」かいな,と言いたくなるほど音楽に思い入れというものが感じられない.それでも,ここで聴かれる音楽は決して「やっつけ仕事」のようなものでもない.アンサンブルはきちんと練り合わされ(初期クナッパーツブッシュのような「いい加減さ」は感じられない),それほど練度の高くないと思われるオケから整然とした演奏を聴かせているのである.
ちょっと不思議なことではある.
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