ベートーヴェン/交響曲第9番
ベートーヴェン/交響曲第9番ニ短調作品125@ヴィルヘルム・フルトヴェングラー/ベルリン・フィル
今日もYouTubeを貼り付けてみます.昨日に引き続き,フルトヴェングラー/BPOの第二次大戦中の映像で,フルトヴェングラーが得意にしていた「第9」の演奏です.
1942年4月19日,翌日のアドルフ・ヒトラー53歳の誕生日を祝賀する演奏会にて,ベルリンの旧フィルハーモニー(1944年1月のベルリン空襲で焼失)での収録.マイクが大太鼓の近くに立っていたのか,大太鼓が鳴らされると他を圧倒してしまう録音ですが,他の録音でも聴かれるコーダの猛突進(とオケのアンサンブルのズレ)は,ここでもはっきりわかります(^^;).ヴィリーは相変わらずバネ仕掛け人形のような独特の指揮姿で,入魂の演奏を聴かせます.
ちなみに,1分30秒ごろに映し出される観客の中にいる小男がナチの国民啓蒙宣伝相ヨーゼフ・ゲッペルス.演奏終了後,舞台に歩み寄ってフルトヴェングラーと握手しているのもゲッペルスです.ナチはヒトラーを筆頭に,自分は芸術に最も理解があるんだと考えていた幹部が大勢いたようで,中でもフルトヴェングラーを贔屓にしていたゲーリング(プロイセン州政府首相)に対抗すべく,ゲッペルス(ベルリン大管区指導者)が持ち上げたのがカラヤンだったらしく,フルトヴェングラーとゲッペルスの関係はあまり良くなかったようですね.それが,握手しているときのフルトヴェングラーの顔付きに見えると思うのは,幾ら何でもうがちすぎですかそうですか.何しろ権力の在り処を見るに機敏なカラヤンはナチに2回も入党し,ゲッペルスのみならずゲーリングや,ヒトラーの覚えめでたきベルリン国立歌劇場総監督ハインツ・ティーティエン(1881-1967,のちにはナチ支配下のバイロイト歌劇場の総監督も務める)にもかわいがられて,フルトヴェングラーのライヴァルとして一躍雄飛するのです.
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