本年もよろしくお願いします
これは忘れられ易い重大なことだと思うが,既成秩序の維持に当る人々,現存秩序から安寧と福祉とを与えられている人々は,その秩序を紊す人々に制裁を加える権利を持つとともに,自らが恩恵を受けている秩序が果して永劫に正しいものか,動脈硬化に陥ることはないものかどうかということを深く考え,秩序を紊す人々のなかには,既成秩序の欠陥を人一倍深く感じたり,その欠陥の犠牲になって苦しんでいる人々がいることを,充分に弁える義務を持つべきだろう.即ち,秩序を守ることを他人に要求する人々は,自らにとってありがたい秩序であればこそ,正に,その改善と進展をを志さねばならぬはずである.
渡辺一夫「寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛容になるべきか」(『狂気について』岩波文庫198頁)
渡辺 一夫〔著〕 / 大江 健三郎編 / 清水 徹編
岩波書店 (1993.10)
この本は現在お取り扱いできません。
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コメント
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あけましておめでとうございます。
今年もどうかよろしくお願いします。
渡辺一夫の言葉にいきなりがつんとやられた
感じです。
「この世の偶発事に煩わされない精神の
ゆるぎない快活さ」(ラブレー)を
持ち続けることを今年のモットーに
したいと思っています。
投稿: nokogirisou | 2007/01/03 11:02
>>nokogirisou さん
新年早々のコメント,ありがとうございましたm(_)m しばらく帰省していたものでお返事が遅くなりました.
あらためて,今年もよろしくお願いします.
仏文はカミュ以外全く不案内ですが,岩波文庫で出たこのエッセイ集は何かの折に買い込んで,時々思い出しては本棚から引っ張り出します.今回は,とあるソーシャルブックマークで付いたコメントから,この長いタイトルのエッセイを思い出しました.ここを引いたのはもちろん自戒を籠めてもいますが,それ以上にこのエッセイには,他にも含蓄と示唆に富んだ章句がちりばめられていて,今日も上げたエントリーに別の言葉を引いてしまったほど好きなんですね(^^;).
僕もなかなか世捨て人にはなれずに,今年も瑣事に煩わされながらも,それをある意味楽しみ(?)に過ごせればと思います.
投稿: G.C.W. | 2007/01/07 22:35