須賀敦子全集第1巻
恐らく僕が「須賀敦子が好き」と知ったら「この偽善者め!」と某図書館系blogあたりから石を投げられそうな気がします(^^;).ま,いいです.須賀さん(知り合いでもないのに,どうしても「さん」付けしたくなってしまう)の生前から心底好きでしたから.
河出文庫版全集の第1巻は初期の作品(と言っても須賀さんが本格的にエッセイを雑誌等に載せ始めたのは50歳を過ぎてからのこと)である『ミラノ 霧の風景』『コルシカ書店の仲間たち』他を収録.須賀さんの書く文章は何時でも「喪失」を主題にしているのに,「喪失」をあからさまに叫んだり嘆いたりは決してしない.常に抑制の効いた,穏やかな筆致でそれは書かれ,綴られていく.読者に「喪失」の痛みよりも体験への感謝を感じさせる,その精神と文体の明晰さと勁さに,僕は限りなく憧れに近い気持ちを抱いきながら須賀さんの文章を読んでいる.
引き続き,第2巻に取り掛かります.
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