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ココログ


ほし2

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2007年1月の記事

2007/01/31

ブルックナー/交響曲第1番

ブルックナー/交響曲第1番ハ短調(1866年稿)@ゲンナディ・ロジェストヴェンスキー/ソヴィエト国立文化省交響楽団(メロディア/BMG:BVCX-38001/38002)

 いわゆる「リンツ稿」に基づく録音.ロジェストヴェンスキーがブルックナーの異稿を網羅する全集を企図した内の1枚である.何と言ったらいいのか,ヨッフムとかカラヤンとかケンペとかでなじんでいるブルックナーとは非常に異なる,奇妙な演奏で,時々室内楽じゃないかと思わせるくらいオケが絞られたかと思うと次の瞬間金管が炸裂する.オケのバランスも,ここでこの楽器が突出するの? と驚かされることがしばしば.おおよそ,ブルックナーらしからぬところばかりが目立つ演奏である.重厚長大なだけのブルックナーに飽きが来たひと向け.

日常(2007年1月31日)

 お仕事の日.原稿の下準備で一日終わり.
 「機関リポジトリ」にもう少しみんな反応しろー! と思う今日この頃orz そりゃ僕だって少々懐疑派だけど(^^;),それでも世の中の動きにはアンテナを立てて,幾つもの実装が成果を挙げていることくらい理解しているつもりなのに,誰も彼も内も外も「我が身とは無関係」な顔をしているんだものな.3年後に何か言われたとき「せやから言うたろ」で済ませてくれるのなら結構ですが,恐らくそれでは済ませてはくれないだろうから,今のうちから情報だけでも仕入れておかないと.

 【音大生なら聴いておきたい100曲】というリストをはてブのお気に入りで見つける.抜粋も可という曲もあったので数えてみたら76曲は聴いたことになっている(^^;).喜んでいいのかどうか.バロック以前(ルネサンスなど)が弱い.歌劇は,たまたま序曲くらいは聴いたことのある作品が多かったので助かる.メシアンやミヨーは他の曲なら聴いたことあるのに.しかし,サティとミヨーとプーランクが入っているのにオネゲルが落選しているのは許さん(^^;).オネゲルはミヨーとプーランクを足しても余りある価値を持った作曲家だと思うのに(sigh).
 それはともかく「70 ペロティヌス」は名前も知らなかったorz まだまだ修行が足りない.

2007/01/30

日常(2007年1月30日)

 お仕事の日.いろいろな書類とニラメッコ.そろそろ某所より依頼のあった原稿に手を付けないといけない(-_-;)ので,その準備のため.

 毎日新聞【柳沢厚労相:野党3党首が辞任要求】とうとう政局化.どちらが,何処まで突っ張れるか見ものですよ.

 信濃毎日新聞【別所線「丸窓電車」の模型 1両10万円、80両販売】1両10万円かあ(遠い目).さすがに手が出ません.何方かお買い上げになったら見せてください(^^;).

ブラームス/交響曲第1番

ブラームス/交響曲第1番ハ短調作品68@クルト・ザンデルリンク/シュターツカペレ・ドレスデン(BMG:74321 21285 2

 1971年録音.この頃のザンデルリンクは,日本では恐ろしく不人気で(今でも人気があるとは言い難いが)「レコード芸術」だったか「音楽の友」だったかで音楽評論家の出谷啓に「もうおやめになったら」だの「イモ」だのと,散々な言われ様でありました.確かに,その当時この第1番から聴き始めたら,僕でもそう思ったかも.日頃ザンデルリンクのファンを公言して憚らない僕でも,この録音はダメ(^^;).音楽に深みが感じられず,上っ面だけを撫でているようにしか聴こえない.同じ全集の第3番と第4番の出来が素晴らしいことを考え併せると,ひょっとしてザンデルリンクは1番が苦手な演目なのかも?

須賀敦子全集第1巻

須賀敦子全集 第1巻
須賀 敦子著
河出書房新社 (2006.10)
通常24時間以内に発送します。

 恐らく僕が「須賀敦子が好き」と知ったら「この偽善者め!」と某図書館系blogあたりから石を投げられそうな気がします(^^;).ま,いいです.須賀さん(知り合いでもないのに,どうしても「さん」付けしたくなってしまう)の生前から心底好きでしたから.

 河出文庫版全集の第1巻は初期の作品(と言っても須賀さんが本格的にエッセイを雑誌等に載せ始めたのは50歳を過ぎてからのこと)である『ミラノ 霧の風景』『コルシカ書店の仲間たち』他を収録.須賀さんの書く文章は何時でも「喪失」を主題にしているのに,「喪失」をあからさまに叫んだり嘆いたりは決してしない.常に抑制の効いた,穏やかな筆致でそれは書かれ,綴られていく.読者に「喪失」の痛みよりも体験への感謝を感じさせる,その精神と文体の明晰さと勁さに,僕は限りなく憧れに近い気持ちを抱いきながら須賀さんの文章を読んでいる.

 引き続き,第2巻に取り掛かります.

2007/01/29

マーラー/交響曲第2番

マーラー/交響曲第2番ハ短調@オットー・クレンペラー/バイエルン放送交響楽団(EMI:5 66867 2)

 1965年1月29日,ミュンヘンでのライヴ録音.終楽章に精神的にもクライマックスを持って来るように全曲を組み立てコントロールしている(この曲,第1楽章の完成度が並外れて高いので,第1楽章だけで「お腹一杯」となってしまう演奏は少なくないのだ).ライヴ故の傷はあるが,クレンペラーの圧倒的な存在感がささいな傷など物の数でもないと思わせてしまうのはさすが(^^;).

日常(2007年1月29日)

 お仕事の日.書類書いて1日が終わるorz

 毎日新聞【柳沢発言:政府幕引き狙うが、適格性に疑問の声やまず】復古主義への左袒なのか男女共同参画社会へのバックラッシュなのか,何故か奇妙な論旨で柳沢発言を弁護しているblogが,僕の目の届く範囲でも,意外にもそこここにあるのが少々気になるところ.僕としては,この程度の政治家が「少子化担当」などおこがましいと思うわけだが(^^;).
 ときにこの件でテレビは野田聖子,猪口邦子,片山さつきと自民党所属の女性議員のコメントを伝えてくれたが,ここはやっぱり山谷えり子内閣総理大臣補佐官(教育再生担当)のコメントが欲しいところですね.保守派というよりほとんど右翼の山谷補佐官が,安倍内閣で柳沢と席を同じくしていることに,如何なる感慨があるのか是非知りたい.

「枠組み」を組みなおす

 何だか最近は気持ちが萎えちゃって,なかなか思考がまとまらずに困っておりますが(^^;).

 さて,僕は『市民の図書館』的な発想で公共図書館の利用者をこれから更に増やそうということは,もう考えなくてもいいんじゃないかと思ってます.「役に立つ公共図書館」という考え方は,「公共図書館はいらない」というニーズにホントの意味で対抗できる考え方ではありますまい.

 これからの公共図書館に必要なことは「公共図書館は僕には必要ないけど,僕が生きている社会を支える装置としては不可欠な装置だと思うから潰さないでほしい」というひとを増やすことなんじゃないかと.極端な話,ある日の公共図書館の来館者がゼロであっても公共図書館を社会に不必要な無用の長物であると看做す住民がひとりもいない,それが僕の考える,公共図書館をめぐる理想の「環境」.

 以下次号.

2007/01/28

ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番

ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番ト長調作品58@内田光子&クルト・ザンデルリンク/ロイヤル・コンセルトヘボウ管絃楽団(フィリップス:475 6757

 1994年11月の録音.内田光子が自ら望んだザンデルリンクによる十全のサポートを受けての快演.この作品では流麗な第1楽章と豪快な第3楽章の両立が難しく,第1楽章がいいと第3楽章がダメ(あるいはその逆)という演奏が多い中で,僕が聴いてきた中ではクララ・ハスキルとイゴール・マルケヴィチの共演(フィリップス)以来の好演ではないかと思われる.古典の「古典」になりうる演奏である.

アイヴズ/オーケストラ作品集

アイヴズ/オーケストラ作品集@モートン・グールド/シカゴ交響楽団(RCA/タワーレコード:TWCL-4004

 交響曲第1番ニ短調,「答えのない質問」,オーケストラル・セット第2番,「ロバート・ブラウニング序曲」を収録.入門編にしては選曲が渋い(^^;).中では「答えのない質問」が,他の録音で聴くのとは趣きが何となく異なるのが面白い.でもって,さすがクラシックからシンフォニック・ジャズまでこなした才人モートン・グールドの指揮なので,オーケストラル・セット第2番でもノリノリなところは素晴らしい(^^;).
 ときに交響曲第1番はホレイショ・パーカーのところで勉強していた頃の作品なので,他の「アイヴズらしさ」が確立したあとの作品と比べるとアイヴズらしさが足りない分だけ聴き易い(^^;)聴き手もいるかしらん? 

日常(2007年1月28日)

 お休みの日.一日休養を決め込む.

 【電車内で物を食べるということ : 発言小町 : 大手小町 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)】世の中世知辛くなったものですね,と言いたいところですが,むしろ最近の近郊用の鉄道車両がロングシート一辺倒であるところが問題なのかもしれません.昔はロングシートのみの車両は101系をはじめとする首都圏それも大都市圏専用の趣きがあったのに,今や横須賀線や高崎線・東北線(宇都宮線という呼称反対(^^;))という東京・上野から2時間圏内までロングシートの車両が幅を利かせる有様(-_-;).これじゃ旅の風情よりも衛生面への考慮や「恥ずべき行為」という主張が闊歩するのも無理はないかと.毎日の通勤者と旅人との住み分けのためにも,せめて東北線や横須賀線では全車セミクロスシートの車両を走らせて欲しいと,「鉄っちゃん」初心者25年目の僕は思うところです.

2007/01/27

幻のキネマ満映

幻のキネマ満映
山口 猛著
平凡社 (2006.9)
通常24時間以内に発送します。

 1989年に原著が出版されたときに,財布と折り合いが付かずにどうしても手が出なくて諦めてから幾星霜.先日,平凡社ライブラリー版で出ていたのを見つけて慌てて購入,読んでみる.
 うーん,期待したほど面白くない,というのが第一印象.貴重なインタビュー証言が幾つも散りばめてあるのに,何だか消化不良な感じが否めない.唐突に「衛藤利夫」などという,多少なじみのある名前が出てきたりもするのだが(出てくるだけ).本書が出版されたときは,まだまだ満映(満州映画協会)の研究も端緒についたばかりで,これがスタートだったことも影響しているのだろうか.出版されたときに借りてでも読んでおくべきだったと,悔やむことしきりである_| ̄|○
 それにしても平凡社ライブラリーに収録されるに当って著者が追記も序文も新たに書いてないのは何故かしらん,と思ったら,その後の研究の進展を別の一書(『哀愁の満州映画』三天書房)にまとめているからか.
 本書に何度か現れる甘粕正彦の腹心「赤川孝一」は,川村湊に拠れば赤川次郎の父である由.

日常(2007年1月27日)

 昨晩は眠気に負けましたorz
 今日はお休みの日.掃除洗濯通院法定12か月点検など.少々疲労が溜まっているみたい.今日も早めの就寝を.書きたいことも溜まっているけど,なかなかまとまらないですね(^^;).

ブレッカー・ブラザーズ

ブレッカー・ブラザーズ/ブレッカー・ブラザーズ(BMG:BVCJ-38127

 過日亡くなったサックス奏者マイケル・ブレッカー(1849-2007)が兄のトランペット奏者ランディ・ブレッカーと組んで一世を風靡したブレッカー・ブラザーズのデビューアルバム(1975年発表).実は訃報を見るまで名前も何も知らなかったのだが,某所で「ポスト・コルトレーン最強のサックス奏者」と紹介され,「サム・スカンク・ファンク」(このアルバムの1曲目)の強烈なライヴ映像を見せられて「恐れ入りました」状態に(^^;).これは不明を恥じるしかない.かくはと遅ればせながらレコード屋に駆け込んでこれを見つけてきた次第.
 それにしても大学時代,カシオペアやスクエアが周囲で猛烈に流行っていたのに,誰かがブレッカー・ブラザーズなりマイケル・ブレッカーを紹介してくれた記憶が無いのは何故だ(^^;).勿体無いことをした.

2007/01/26

ベートーヴェン/悲愴

ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ第8番ハ短調作品13「悲愴」@フレデリック・ラモンド(HMV/ビダルフ:LHW042)

 フレデリック・ラモンド(1868-1948)はリストの弟子だったピアニスト.ベートーヴェンのソナタの実用譜も校正している(ブライトコップフ&ヘルテル).あらえびすの『名曲決定盤』などを見てもあまり評価されていないピアニストだが,個人的には好きなひと.ややもすると,無暗にテンポを揺らして感興の赴くままに弾いていると誤解されそうだが,渡辺裕によれば,その崩し方はむしろある種の伝承芸(ベートーヴェン→ツェルニー→リスト→ラモンド)に近いものらしい.情熱よりも,様式美としてのアゴーギグを多用した演奏である.
 この「悲愴」では第2楽章の速めのテンポが目を引く.

2007/01/25

日常(2007年1月25日)

 お仕事の日.一昨日読み残していた書類をすべて片付ける.採点と成績も何とか終わらせる.レポート主体の演習だと,どうしても得点にバラつきが出にくいのが難点(^^;).みんな似たり寄ったり,どんぐりの背比べ.来年度,三題噺作成のレポートは出す演習を替えよう.

 神奈川新聞【AOKIがヤマダ電機とポイント提携】なるほどね.せっかくだから,ポイントを相互で融通できるような仕組みを考えたら面白いだろうに(^^;).AOKIで得たポイントで,ヤマダ電機で電池買う,みたいな消費行動.将来的には,店も近接地に展開してみるとか.

ホフマン/ピアノ・ソナタイ長調

E.T.A.ホフマン/ピアノ・ソナタイ長調AV22@ヴォルフガング・ブルンナー(cpo:999 320-2)

 小説家,詩人,作曲家,音楽評論家,画家,裁判官をひとりでこなし,特にロマン派の幻想小説家として後世に名を残すエルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマン(1776-1822)のピアノ・ソナタ全集(全5曲)から.ベートーヴェンのいわゆる「幻想曲風ソナタ」に似た,アンダンテ-メヌエット-アレグロ・アッサイの3楽章からなる,幾分破格の形式で構成されているソナタ.ホフマンの小説は実のところあまりよく知らないのだが,この作品は怪奇とか幻想とかにあまり縁の無さそうな(^^;),かわいらしい音楽である.
 演奏は1810年ごろヴィーンのフランツ・ミュンツェンベルガーで製作されたフォルテピアノを用いてのもの.

2007/01/24

人生

人生ほど,
生きる疲れを癒してくれるものは,ない.

ウンベルト・サパ「ミラノ」(須賀敦子訳)から.

ホロヴィッツ/カルメン幻想曲

ホロヴィッツ/ビゼーの「カルメン」の主題による幻想曲@ヴァレリー・クレショフ(BIS:CD-1188)

 ヴラディーミル・ホロヴィッツの作曲&編曲を集めたCDから.当たり前ながら,ホロヴィッツ自身の録音に聴く「熱気」と「狂気」は微塵も感じられないクールな弾きぶりで,それが聴くひとの好悪を分けそうである.併録の「星条旗よ永遠なれ」でもそうなのだが,ホロヴィッツのアンコール・ピースは熱狂的に弾かれてこそ,その真価を発揮するようなところがあるので,あまりスタティックに弾かれても面白くない(^^;).

日常(2007年1月24日)

 お仕事の日.午前中は上司に呼び出されていろいろな話.さすがに細かいところに目のいくひとで(細かいところばかり,という説もあり),僕のようなめんどくさがりやにはちょうどいいのかも.とはいえ,疲れるorz
 午後は演習の期末試験で試験監督.これで力尽きちゃってレファレンス失敗(-_-;).『国書総目録』にも明治以降の活字本が見当たらないある書物について解説を,と言われたが探し当てられず.かなり悔しい.
 帰宅後は期末試験とレポートの採点.うーん,試験の出来が悪いぞ_| ̄|○ 萎えるな.

2007/01/23

日常(2007年1月23日)

 昨晩は,あれこれやりながらダラダラとオン書き(懐かしい言葉だ!)してポチッとなしたら,いきなりログイン画面になってテキストが消失してしまいましてorz.そのまま不貞寝してしまったことですよ(-_-;).
 何時からそんな仕様に>>ココログ

 お仕事の日.他の仕事を一端停めて,しばらく溜めこんでいた書類をバッサバッさと捌きまくる.目標は『三国志演義』第57回に登場する鳳雛先生こと龐統(^^;).とは言え,半日もせずに決裁一切が終わるというわけにはさすがにいかず,書類を見倒すのにほぼ1日かかる.明日は寄贈で届く雑誌の処分を決める予定.放っておくといくらでも増える(-_-;).

 読売新聞【湯川博士の弟子、中村誠太郎氏が死去…若手育成に尽力】この方の名前を何処かで見た記憶がある,と思ったら『私の歩んだ道 : 湯川中間子とともに』(東海大学出版会)の著者.はじめ,この本の広告を見たときに「ゆかわ・なかまこ」って誰だろう,そんな名前の女性運動家(市川房枝氏のような)がいたっけか? と随分マヌケな疑問をいだいた無知な大学図書館員がここにいますorz 

 その他,いろいろ書きたいこと,書かなきゃいけないことが溜まってますが,今週はこのあと期末試験と採点と成績評定が目白押しなので,少なくとも明日と明後日は日々の記録のみになりそうです.

ブルックナー/交響曲第3番

ブルックナー/交響曲第3番ニ短調@ジョージ・セル/クリーヴランド管絃楽団(SONY:SB2K 53519)

 ブルックナーの第3番は滅多に聴かない,苦手な部類(^^;).起承転結がレーガーばりにはっきりしない音楽でやたらと繰り返しが多く,この曲をこってりやられると僕にはかなりしんどい.セルの録音は,セルらしく現実主義のブルックナーで「神秘的」とか「夢幻」とかには欠けるのだろうが(ザルツブルク音楽祭での7番のライヴはそれで失敗している),3番だと原曲のしつこさを中和する方にセルらしさが働いて,なかなかユニークなブルックナーに聴こえるわけである.

2007/01/21

日常(2007年1月21日)

 休日出勤で大学入試センター試験のお手伝い2日目.抜けるような青空の下,センター試験が行われるなんて僕が関わる様になって初めてかも(^^;).さすがに朝の冷え込みはキツイが,何より足元に気をつけなくても済むのがウレシイ.無事に終わって,こちらは疲労困憊,今日はもう店仕舞いである.

スメタナ/我が祖国

スメタナ/連作交響詩「我が祖国」@ラファエル・クーベリック/バイエルン放送交響楽団(オルフェオ:C 115 841 A)

 1984年5月のライヴ録音.ザルツブルク音楽祭など歴史的録音の発掘にシフトする以前の,オルフェオの代表的な録音です.ここでのクーベリックの演奏は,実はいまひとつピンと来ないのですが(^^;),演奏がいい音で捉えられていることは確かです.

2007/01/20

ブラームス/大学祝典序曲

ブラームス/大学祝典序曲作品80@ハンス・クナッパーツブッシュ/ヴィーン・フィル(デッカ:440 624-2)

 毎日新聞【大学入試:センター試験 55万人挑む「苦しみを乗り越えたときに喜びが生まれる」とは,ジャイアンツキラーで鳴らした元タイガースの中田良弘投手の座右の銘だったかと覚えてます.今年も大学入試センター試験に悲喜こもごもあるかとは思いますが,これも人生の階段ですから何かあっても決してめげないでくださいね!

日常(2007年1月20日)

 休日出勤.大学入試センター試験のお手伝いで6時30分に家を出て,帰宅したのが20時ちょうど.朝が早いのは,さすがに堪えるorz
今日も早めの就寝を.

 毎日新聞【あるある大事典:「納豆ダイエット」はねつ造 関西テレビ】【番組ねつ造:関西テレビ社長会見 認識甘く、後手後手】【番組ねつ造:「あるある」出演教授、事前に構成知らされず】酷いものだ.愚にもつかないでっちあげを放送するFSG不二家を追及する資格があるのかと小一時間(ry
 関西テレビ【2007年1月20日 視聴者の皆様へ

 今日はもうひとつ,酷いネタがあるけど,最早時間切れ.

2007/01/19

日常(2007年1月19日)

 お仕事の日.明日あさっての準備でこまごまと動き回る.2日間,雪が降らないことを祈るのみ.というわけで,今日は早めの就寝.コメントのお返事など滞ってますが,いましばらくお待ちくださいませm(_)m

 毎日新聞【カンボジア:18年前に10歳で不明、ジャングルで発見?】「カスパール・ハウザー」とか「カマラとアマラ」と同じような話ですかね? ガセネタじゃなければ面白そうなのですが,何しろこの手の話は胡散臭いのが(僕が挙げた2つにしても詐欺だという研究がありますし),さてどうなることやら.

ブルックナー/交響曲第7番

ブルックナー/交響曲第7番ホ長調@ヘルベルト・フォン・カラヤン/ベルリン・フィル(DG:429 648-2)

 LP(MG8261/8262)のときから何度聴いたかわからない(^^;).僕が子供の頃は,現在のようにCDが安価で各種取り揃えて発売されているのとは事情が異なり,1曲に付き1枚のLPを購入して溝が擦り切れるほど聴くのが普通だったから,2枚目のブルックナーの7番としてシューリヒト/ハーグ・フィル(コンサートホール/デンオン:OC-7259-PK)を買ったのは,かなり後になってからだったと記憶する.おかげでカラヤンの豪壮華麗なブルックナーがしばらくの間は自己基準になってしまい,質実剛健なタイプのブルックナーに親しめるようになるには時間がかかったことですよ(-_-;).
 この録音も,BPOの合奏力をフルに活用した壮麗な演奏.終楽章の物足りなさをあまり感じさせない周到な伽藍の構築が見事である.

2007/01/18

リヒャルト・シュトラウス/英雄の生涯

リヒャルト・シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」作品40@カール・ベーム/シュターツカペレ・ドレスデン(DG:POCG-2691/2692)

 1957年2月,モノラル最晩期の録音.晩年のヴィーン・フィルとの録音(DG)が枯淡の境地に達しているのに比較して,全盛期のベームによる隅々まで神経の行き届いた力の漲っている演奏である.それにしてもシュトラウスだと言うのにあまり色気の無い(^^;),派手さを押さえた木目調の質実な印象を受ける.

日常(2007年1月18日)

 お仕事の日.受入業務を黙々と.国家試験を受験するらしい学生がわらわらと利用しに来る.

 毎日新聞【オリックス:契約解除の前川被告、謝罪の言葉繰り返す】解雇(契約解除)ですか.要するにトカゲの尻尾切りですね.このところの中村紀洋をめぐる騒ぎといい,思うにオリックスという企業には,「選手が国民の模範となるべく努力する」プロ野球の球団を所有し続ける資質が欠けているとしか思えませんが.

 そうそう,昨日配信されていた日本図書館協会メールマガジンに,協会の会費が高すぎるから何とかして欲しい,という要請が全国知事会から寄せられた(以上乱暴な大意要約),という記事がありましたっけ.全国知事会の【知事会の主張】ページには,その要請の本文はUPされてないようですが,確かこの案あたり(リンク先はPDFファイル)を検討した結果ですね.メールマガジンのバックナンバーが協会のサイトに掲載されたら,改めて話題に出すかもしれませんが,全国知事会が要請を出したのは図書館協会だけではないとはいえ,施設A会員50,000円也を払っていても協会が何をやっているんだか,部外者(業界外)にはよく見えてない(広報宣伝下手)ことが問題なのではないかと思いますが如何.

2007/01/17

マーラー/交響曲第9番

マーラー/交響曲第9番ニ長調@ガリー・ベルティーニ/ケルン放送交響楽団(EMI:3 40238 2)

 神戸新聞【祈り、ふれあう朝 阪神・淡路大震災12年】【特集 震災12年

 震災の被害に遭ったわけではないけど,あのときから,随分遠いところまで来てしまった,というのが僕の今の偽らざる気持ち.どれだけ鎮魂の想いが籠められていようが,祈念の行事を伝えるテレビのニュースが流す下手な合唱には正直なところ我慢が出来ず,ひとり自室でマーラーを聴きながら,自らの越し方を考える時間を持とう.

近頃,公共図書館について発言されているブロガー,ブックマーカーの皆さんに感謝を(加筆訂正版)

 昨日,メンテナンス中のため分館の方へUPした記事をこちらにも掲載します.一部,文章に訂正・補記を加えていますが,文意に大きな変化は無いと思います.

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日常(2007年1月17日)

 昨晩はココログがメンテナンスだったので,記事は分館にあります.今回のメンテナンスは細かいミスがあったものの,何とか無事に終了したらしい.

 で,今日はお仕事の日.そろそろ受入業務も佳境に入り,興が乗ってくる(^^;)が身体が言うことを聞かないorz 今日は早く寝よう.

 読売新聞【第136回芥川賞に決まった青山 七恵(あおやまななえ)さん 23】文中に「図書館情報大学で学んだが」とあるのは,やっぱり筑波大学図書館情報学群じゃない図書館情報大学,という意識が当人にあることの反映なのかなあ.だとしたら,ちょっぴりうれしい(^^;).母校ナショナリズムを振り回すような偏狭なことはしないように務めているものの,何しろあの極小規模大学でしたから,何となくそれらしい意識を持ってしまうのですよ.ちょっと反省m(_)m

2007/01/15

ブラームス/交響曲第2番

ブラームス/交響曲第2番ニ短調作品73@セルジュ・チェリビダッケ/シュトゥットガルト放送交響楽団(DG:POCG-10156)

 1975年4月11日のライヴ.録音のせいか,幾分金管が遠いがチェリビダッケ独特の表情付けを観察するには充分なCDである.ブラームスにしては少々あざといリズムの刻みや表情付けを随所に施しながらも,全体は快調に流れていく.オケは懸命に棒についていっているが,未だところどころに限界がうかがえ,妙にやかましく聴こえたりもする.終楽章も箇所によっては弛緩寸前のところを音楽の展開によって難を逃れているような気がしないでもない(^^;).
 これが1979年ごろになるとオケもチェリビダッケの要求に十全に応えるだけの精度を持つようになる.

日常(2007年1月15日)

 お仕事の日.朝一番,職場の話題は昨日放送のTBS系「華麗なる一族」での木村拓哉の演技が大根だったことでもちきりであった(^^;).

 毎日新聞【矢祭もったいない図書館:開館、自立の町づくりへ第一歩 全国から善意の寄贈】町長も「自立の町づくりの第一歩となった。」と述べています.これが第一歩だという意識が町長にも町民にもある,ということを念頭に置き,この図書館の行く末を見守って行きたいと思います.雪が降らなければ,近いうちに見学に行けるかな?

 「図書館民営化」論争について,また書きかけてますが,今日は時間切れにつき明日以降に廻します.

2007/01/14

で,公共図書館業界はどうするの?

 読売新聞【夕張の石炭博物館存続へ、2月にもNPO設立申請
 東京新聞【破たん夕張 市立総合病院 委託運営に名乗り

 博物館にはNPO,病院には志ある医師が存続のために名乗りを上げました.
 で,公共図書館業界はどうするの? 市立図書館の廃止に対する非難は業界内に充満しているようですけど,具体的な対応は(少なくとも僕のところまでは)聞こえてきません.僕の知りうる限り,図書館問題研究会の北海道支部には,世の中を贊ける意志と力量を有する方々が集っていたはずで,道内の公共図書館存亡の危機に対して何もしていないということは考えにくく,何も聞こえてこないのは業界団体の情報発信力が弱いためかもしれません.もっとも,図問研は矢祭町もったいない図書館のとった手法を非難するのが会の方向性のようなので自ずと対応にも限りがあり,とっている対応そのものに情報発信力が乏しいということは考えられます.そうだとしたらつまらないし,もったいないと思うのですよねえ(sigh).

 「四の五の言ってないで,お前が何かやればいいじゃん」ごもっとも.残念ながら,僕は業界内で行使しえる影響力を全く保持していないので,アクションを起こしてもドン・キホーテか蟷螂の斧扱いがいいところでしょう.こうしてblogで注意を喚起するところがせいぜい僕に出来ることです.こーゆうことで実際に人を動かすには,業界内の主流に位置しお偉方の覚えもめでたいと思しきひとが行動を起こせば業界内の反応も違うはずですから(皮肉でも何でもなく),そのような方々には是非夕張市立図書館存続のために一肌脱いでいただきたいものです.

プロコフィエフ/交響曲第4番

プロコフィエフ/交響曲第4番ハ長調作品47(オリジナル版)@ヴァレリー・ゲルギエフ/ロンドン交響楽団(フィリップス:475 7655)

 バレエ「放蕩息子」の素材を基に,1930年に作曲された交響曲.プロコフィエフらしい皮肉と諧謔にあふれた,但しいささかとらえどころのない音楽である.つーか,はっきり言ってあまり中身はないような( -_-)=○()゜O゜).踊りが付いていれば,もう少し楽しめるのかもしれない.チャイコフスキーの「眠れる森の美女」が僕にとってそうだったように.それともこの作品もまた,やがてソ連に帰国する(1932年)道を選ぶプロコフィエフの,創作の行き詰まりを映し出しているのかも.
 後年,改作して新たな作品番号(作品112)を与えることになったのも,スターリン治世下のソ連ということのみが理由ではなさそうな感じがする.作品112は結局,失敗に終わるけど.

日常(2007年1月14日)

 お休みの日.食料調達以外は部屋に籠る.

 産経新聞【日本の歌百選にさくらさくらやSMAP】で,こちらが文化庁【親子で歌いつごう 日本の歌百選】まあ,こんなものは世間話のネタとしてはよろしいでしょうが,要するに人気投票の域を出ず,「だから何?」以上にはなりえないものかと.

 毎日新聞【雑記帳:耳にヘッドホン…初代・チョロ松が老衰死】おお,あのときの猿がまだ生きていたのですね.学生時代,「ウォークマン」が市民権を得始めた頃の印象深いCMでした.

矢祭もったいない図書館,全国紙の1面を飾る(地方版のみかも?)

 というわけで,本日開館する矢祭町の「矢祭もったいない図書館」が毎日新聞(福島版)の1面を飾りました.記事はこちら

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これを以って誰が正しいとか,誰が間違っているとか,喧々囂々やるのも結構ですが,そんなことよりも何故矢祭町の公共図書館振興政策が幅広い市民層にここまで支持されてきているのか,ホントにプロ公共図書館員諸賢は考えるつもりが無いのでしょうか?

2007/01/13

レーガー/チェロ・ソナタト短調

レーガー/チェロとピアノのためのソナタト短調作品28@ハンス-ゲオルグ・ヤロスラウスキ&ウルリヒ・ウルバン(ベルリン・クラシックス:0031692BC)

 1898年に作曲された,マックス・レーガー(1872-1916)2番目のチェロ・ソナタ.伝記に拠れば,この年レーガーは軍隊を除隊したものの,心身ともに虚脱状態にあったとされるが,この作品を聴く限り虚脱状態の影は窺うことが出来ない.20代半ばにして形式が判然としない,甘い旋律を晦渋かつ重厚な編曲で包み込むレーガーらしいところが濃厚に(この「濃厚」もレーガーを形容する上で欠かせない言葉だ)現れている.演奏も,そうしたレーガーらしいところを十全に表現した佳演である.

「読書」は個人のもの

 こちらも昨日のエントリーの続き,というか蛇足のようなもの.

 僕が考える公共図書館の存在意義は以前,【愚智提衡而立治之至也: 公共図書館が保障するもの】にて明らかにしています.ここでも「読書」や「教育」や「福祉」よりは,民主制の維持に重きを置いて公共図書館の存在意義を説明していますね(^^;).僕は公共図書館が教育や福祉の一端を担うのは,あくまでもその存在意義からもたらされた結果のひとつに過ぎない,と定義しているので,まあそういうことになるのですが.

 で,これは公共図書館の存在意義として「読書」の効能を主張する向きがありますが,官≒政治の側から「読書」を云々されることには,違和感がぬぐえないのですよ僕は(公共図書館に勤務する方々の自己規定がどうあれ,公務員として公共図書館に勤務されている方々は公務員=官には違いありますまい).個人文庫の活動方針ならまだしも,公共図書館が読書について「人格の涵養」云々と言い出すのは『市民の図書館』擁護どころか,思想善導に勤しんだ戦前への回帰じゃないですか(^^;).

 「読書」はやっぱり,あくまで個々人の範疇で考えられ,止められるべきもので,それを「公共性」の支柱にしようというのは少々危険な匂いがしますが如何?

「図書館と出版不況」

 昨日のエントリーが,「図書館と出版不況」の話についてはどうにも中途半端なので,もう少し続けますよ.

 図書館(今回は公共も大学も含めての話なので「図書館」とします)と,【書評サイト Loud Minority: 図書館の中の人は出版不況怖くないんですか?】で問題提起されている「出版不況」との関係ですが,やはり図書館業界の多数派を形成している方々には,出版不況に対する懸念とか波及効果への恐れとかは,稀薄だと思います.以前,浦安市立図書館が「特定中小出版社出版物の徹底収集」を打ち出したときに現れた囂々たる(的外れな)非難を思い起こせば,そのように想定できます(^^;).出版流通が立ち行かなくなれば,もっとも被害を蒙る立場にあるのは図書館業界のはずですが.本が買えないんだから.

 僕は,図書館の機能の中に出版流通に対する,ある種の「メセナ」的な要素を含めるべき,という考え方を以前から持っていますが,この考え方は図書館業界でウケたためしが無いのですねえ(^^;).図書館運営に関して経済効率重視でフローの効果をより求めている方々は,図書館の持つストック機能を何だと思っているのやらorz.

 例えば,これは本の話では無いので例として,ここで持ち出すにはいささか不適当の謗りを免れませんですが,個人的に,本よりも音楽の方が話をしやすいので持ち出しますと,USAでUSA出身者による現代音楽(クラシック畑の)の録音が各社によって盛んに行われるのは,それをアーカイヴ/ライブラリーとしてUSA各地の図書館がお買い上げになるからだ,ということを聞いたことがあります.図書館によるこのような購入は,現在においては情報の公開と流通(クラシック畑の現代音楽の聴衆/マーケットは限られてますから)を促進するとともに,未来においては過去の記録のストックとして大切な資料となりうるわけです.その価値はその資料を必要とするひとが決めるもので,図書館側が決めるものではありません.何より,それを揃えておけば,あるときそれを必要なひとが現れたときにサッと取り出せることに,図書館としての最大の意義を見出すのが筋です.
 
 翻って,NAXOSが継続して出している「日本作曲家撰輯」というシリーズを,どれだけの図書館が継続して購入しているんでしょうか? 先日投げかけられた「新自由主義」の本場はUSAだと仄聞しておりますが,「新自由主義」とやらの下で経済効率と市場を優先しているはずのUSAで行われているらしいメセナ的な視点での公共図書館政策が,護送船団方式の本家であるらしい彼の国で,ナショナリズムも勃興しているはずなのに実現しないこの不思議(^^;).『市民の図書館』や『本をどう選ぶか』を奉ずる視点では理解できない経営政策でしょうけれども.

日常(2007年1月13日)

 お休みの日.朝起きたら10時を廻っている(-_-;).慌てて定期通院に.正月明けにしてはまあまあなんでないの? その後は食料調達に廻って帰宅し,読書したりネットしたり.

 河北新報【 「もったいない図書館」完成 福島・矢祭町が新設】ついにスタートライン.どのように成長していくのか,楽しみです.某Zunftの地方集会で矢祭町の件が取り上げられると仄聞してますが,価値否定のオンパレードになることを危惧しています.僕が集会に参加すればよいのですが,如何せん資金不足でクビが廻らないため今回は断念するしかありませんorz.

2007/01/12

「たかが読書」で読書は充分

 【書評サイト Loud Minority: 図書館の中の人は出版不況怖くないんですか?

 言及が遅くなりましたが,トラックバックありがとうございました.
 「図書館の中の人は出版不況怖くないんですか」と尋ねられたら,大方の公共図書館関係者は鳩が豆鉄砲食ったような顔をするのがオチなんじゃないかなあ,と少々悲観的な予感がします.何しろ出版流通業界に対する公共図書館関係者の無知と偏見は,最近でこそ鳴りを潜めてますが,10年ほど前まではそれは酷いものでした.いわゆる「出版不況」など,現在でも「対岸の火事」ほどにも痛痒を感じていないのでは,と受け止めざるを得ない節があります.

 もちろん,例えば児童サービス担当の公共図書館員が「いい絵本がすぐ品切れになる」ことに頭を悩ませている,ような事例はありますが,それを俯瞰的な視点で「出版」をめぐる円環の中に据えて考えられる公共図書館関係者は,それほど多くないと僕は見ています.これ,偏見かもしれませんが,業界誌の内容を一瞥すれば「ず・ぼん」と「図書館の学校」という出版流通にも軸足を載せていることが明らかな雑誌以外は,「図書館雑誌」でも「みんなの図書館」でも図書館関連本の書評(?)は掲載されても出版流通絡みの記事は年に何本も載りませんからねえ.

 これはお互い様な一面が確かにあって,著作権絡みで公共図書館を非難する文筆業者を含めた出版流通業界の方々も,三田誠広や室井佑月の過去の発言に見られる如く,恐ろしく公共図書館に無知で偏見を持っている場合が多かったですから(^^;).まあこのあたりは,時間が幾らかかろうとも,今後も引き続き対話を重ねていくことによって相互の認識と理解を計っていくしか無いでしょう.

 ちなみに,僕自身は「読書」にそれほどの権威も地位も格式も感じていないし,認めてもいません(^^;).読書による人格の涵養なぞ,そんなものは結果に過ぎず,そんなご大層なことを考えながら本を読むのは正直ゴメン蒙ります.本を読むのは,例えば旅先で鉄道の乗り継ぎの時間潰しに入った書店で見かけたタイトルに惹かれたり,デートの待ち合わせ場所にした公共図書館で偶然見かけたタイトルに興味を持ったり,で充分じゃないですか.『読む力は生きる力』(岩波書店)って本がありますけど,著者の主張は理解できますが,その通りにやろうとは思いません.読書はあくまでも個人の趣味,楽しみの範囲を超えて強制するものじゃありません.

 こう考えてくると結局,公共図書館の失速,就中『市民の図書館』路線の失速は,「読書」に過大な価値を背負わせたことにも一因がありそうですね.「読書」に公共図書館と近代市民社会の成熟を期待した『市民の図書館』の著者の意図は,見事なまでに社会の流れに取り残されてしまってます.それがいいとか悪いとか,ではなく,社会の変化に対応できるかどうか,が問題なんですけど,社会の変化も公共図書館の変化も共に「悪」と捉えているようでは,あまりに牧歌的なんじゃないでしょうか.


 ・・・・・・うーん,最初に意図したのとは違う流れのエントリーになってしまいました_| ̄|○ ホントは公共図書館の存在意義のほうに話を持っていこうと思っていたのですが,どうもいただいたTBからは話がずれていってしまいました.ゴメンなさいm(_)m

日常(2007年1月12日)

 お仕事の日.昨日の不調はリカバリーしたけど,仕事はあまり進まず(-_-;).受入業務などボチボチ.

 毎日新聞【中村紀洋:オリックス退団へ 双方の溝埋まらず】やっちゃいましたね(>_<).どっちもどっち,お互い様な結果だとは思いますが,どちらかと言えば球団側の非が大きいかな,と.何にせよ,蒔かれた種は早めに刈られるにこしたことは無いでしょうね.

ショスタコーヴィチ/交響曲第4番

ショスタコーヴィチ/交響曲第4番ハ短調作品43@ネーメ・ヤルヴィ/スコティッシュ・ナショナル管絃楽団(シャンドス:CHAN8640

 この録音を聴くのは久し振り.ヤルヴィがシベリウスやプロコフィエフで売り出したのと同じ頃の録音である.最初に聴いた頃に感じた清新さは案外早くに錆び付いたような気もするが(^^;),一見力演タイプながらも実は常に8割の力でコントロール,という趣きの演奏であり,4番のファースト・チョイスとしておススメできる優れた録音であろう.

モラルじゃない,ルールでしょう

 産経新聞【【溶けゆく日本人】救急車をタクシー代わりに

 記事の後半が,公共図書館での利用者による資料破壊の話.
 この連載自体は視点が,如何にも産経新聞らしい大都市圏在住の道学者あるいは自己中オヤジのそれなので,読んでいると(記事の意図とは恐らく違う意味で)不快になってくるのだが(^^;).それはそれとして,今回俎上に載せられている公共図書館のケースはホントに酷いもの.モラルじゃなくてルールの問題なんだから(ここを区別しないで曖昧なまま「モラル」を叫ぶのが,ファシズムに通じる産経流),警察を入れたほうがいいかもしれないところまで来ているのかも.

 図書館業界側がこれからも「モラル」を叫び利用者性善説で突き進めば最後,RFIDタグか何か使った,完全管理/監視の公共図書館でも建てるところまでいくのかしらん? 僕は以前,資料をあるべき書架に利用者が戻さなければ警告を書架が発するような,強烈に管理主義的な図書館施設をある意味「理想の図書館」のように書いた記憶があるけど,それこそコストパフォーマンスが高すぎて,『市民の図書館』信奉者をはじめとする経済効率優先な方々からは失笑されそうですね.

2007/01/11

日常(2007年1月11日)

 お仕事の日.寝坊して朝食を食べ損ねる(-_-;).昨日は早く寝たのに.おかげで仕事もはかどらず,あちこちに迷惑をかける.明日は取り返すよん.
 しかし最近,少々虚弱体質気味だ_| ̄|○

2007/01/10

日常(2007年1月10日)

 お仕事の日.受入業務と相互利用をいくつか.某所よりお申込の論文が指定の雑誌に見当たらず,ヘンだなと思ってあれこれ確認してみたところ,お探しの論文を掲載している雑誌の誌名が違う_| ̄|○ ある雑誌のフルタイトル(「○○○」)が別の雑誌のフルタイトル(「○○○雑誌」)にそっくり併呑されているために起きた,稀な間違い.

 東京新聞【神様お願い!!】はい,それはもう切実なものですよ.湯島には行ったし,わざわざお願いして太宰府天満宮のお守りを買って来てもらったし.当人が神頼みをあまり信じていないのが幸いですけどね(^^;).

 「図書館民営化」議論の絡みでもう少し書きたいことありますが,身体が言うこと聞かないので今日は寝ます.

求む,行動力ある図書館長

 東京新聞【行動力ある図書館長を公募 伊那市「読書離れ」に歯止め

 正直,月25万の1年契約では応募する気になりませんね(^^;).年俸1000万円の5年契約で如何ですか(^^;)? 

 冗談はさておき\(^^\)(/^^)/,はてブ「『市民の図書館』信奉者にはやりがいがありそう(^^;). 」とコメントしたのはしごく真面目な話.記事に


「幼い世代を含めた市民の「読書離れ」に対し、ユニークなアイデアを持ち、行動力のある館長の採用を目指す」
とあるのを見たからです.問題視されているのが「読書離れ」,即ち本の世界であるのであれば,思想としては時代遅れであっても,誰の目にも見える効果を出し易い『市民の図書館』の方法論は,(住民個々の「読書」の内実を問わなければ)充分な成果を挙げることが可能だろうと考えますが如何.『市民の図書館』を補完するものとして『本をどう選ぶか』『公立図書館の役割を考える』(共に日本図書館研究会)も備えておけば,それまで沈滞していた公共図書館でも,5年もあれば「貸出し」が活性化すること請け合いです.

 問題は,その次の一歩なのですが,『市民の図書館』信奉者は「貸出し」の活性化で思考が停まってしまうのが難点なのですね.『中小レポート』に漲る闊達な近代の精神があればまだしも,『市民の図書館』は(執筆当事に期待されていた近代市民社会が執筆者の期待通りに成り立っていないが故に)ストイックな殉教者,もしくはマテリアルの移動そのものに淫したフェティシズムの正典(Canon)と化してますから.

ヤナーチェク/グラゴール・ミサ

ヤナーチェク/グラゴール・ミサ@カレル・アンチェル/チェコ・フィル(スプラフォン:COCO-75316)

 古代教会スラヴ語の典礼文に基づくという,ヤナーチェク晩年の大作.いわゆる「ミサ曲」の伝統からは恐らく自由なところで作曲された,個性的な音楽である.
 アンチェルの録音は音こそ少々古びてはきているが(1963年録音),作品に対する共感と敬意が熱く語られる名盤.

2007/01/09

日常(2007年1月9日)

 遅ればせながら仕事始め.休みの間に申込が溜まった相互利用を手続きしたり,積み上がった郵便物を片付けたり,勤務先のウェブページの情報を更新したり.
 今日から学生アルバイトも更新.あまり詳細には駆けないけど,今年はちょっと不安なのだ(>_<).

 毎日新聞【工藤移籍:一貫性ないFA補強戦略】不良債権処理に,この手があったとはねえ(^^;).とは言え,この移籍が原政権の「不良債権処理」のみに終わることの無いように,ベイスターズと工藤公康は克己することを希望しておく.ベイスターズの鳴かず飛ばずな若手投手陣は,生きた教材を用いた勉強の機会を与えられたわけだから,なおのこと努力されたい.

ドヴォルジャーク/交響曲第7番

ドヴォルジャーク/交響曲第7番ニ短調作品70@リボル・ペシェク/ロイヤル・リヴァプール・フィル(ヴァージン:5 61853 2)

 まあ,どこから聴いてもブラームスの匂いが芬々とする交響曲(^^;).前後の交響曲と比較するまでもなく,どうにも「借りてきた猫」よろしきせせこましさを感じてしまう作品ではある.何しろ次に来る交響曲第8番が如何にもドヴォルジャークらしい大傑作なので,どうしても第7番は不利な立場に追いやられてしまうのだが,さて.

2007/01/08

日常(2007年1月8日)

 お休みの日.悪天候のため,食料調達程度の外出にとどめる.あとはひきこもってネットなど.

 気楽な休暇も終わって,明日から仕事だと思うと気が重い(>_<).今年は初日から開館する初めてのケースなだけに,どんな展開になるか想像も出来ないのが正直なところ.さて,どうなりますやら.

マーラー/交響曲第6番

マーラー/交響曲第6番イ短調@クラウス・テンシュテット/ロンドン・フィル(EMI:7 64476 2)

 今日は別の大きなエントリーを書いている間,ずっとこのCDを鳴らしていた.4枚組のこのCD,順番が7→6→8というヘンなもので(^^;),6番の終楽章が終わると余韻もあらばこそ,8番が壮麗に始まるのである.妙な話,7番や6番は僕にとってある意味血肉化していて思考の補助線になってくれるけど,8番はねえ・・・・・・_| ̄|○

公共図書館いるの? いらないの?

 年末年始にかけて「公共図書館の民営化」に関する議論(【MultiSynapse - はてなブックマークの[図書館]タグがちょっとだけ盛り上がっています(?)】)が随分と盛り上がっていたのですね(^^;).ふーむ.

 昨日今日と取り急ぎ,だだだだっと読んでみましたが.・・・・・・議論が成立する上で必要な「共通の土台」が無いような,もしくは,論者各々の予断と偏見がキツくて議論のブレが大きすぎる感じがします.

 今回は見たところ「公共図書館いるの? いらないの?」というところが本質で,民営化云々はその前菜だろうと思うのに,前菜もまた美味しい(^^;)ときているようです.

続きを読む "公共図書館いるの? いらないの?" »

2007/01/07

ショスタコーヴィチ/交響曲第7番

ショスタコーヴィチ/交響曲第7番ハ長調作品60@ネーメ・ヤルヴィ/スコティッシュ・ナショナル管絃楽団(シャンドス:CHAN8623)

 あまりの凄まじい荒れ模様なお天気に対して,なすすべなく自室で籠城のような格好になりつつある今晩.明日は大丈夫かと天を仰ぎながらショスタコーヴィチを,それも「レニングラード」を聴くのは,神をも恐れぬ所業か(^^;)? それにしても寒い寒い.

新年の・・・・・・

 新年の目標は「平穏無事」(^o^)/ ここ数年,ずっとこれだが今年こそは(^^;).そんなこと言うならblogに「図書館」のことを書きなさんな,と,ある知人に勧められましたが,まあ,そこはそれ.実は「図書館」とblogについて,早々からある目標を立て実行しようと思ってましたが結果は1日も保たなかったし,やっぱり業なんでしょうねえ(^^;).

 旧年中の図書館系blogの書き様を眺めていると,いわゆる「主流派」の方々ですとか,ある種の「良識派」「正論派」の方々には不快なことこの上ないblogなのでしょう,当blogは.当blogの中の人は何故そんな見方をされるのか,あまりよくわかっていませんが,当blogは言論に対しては言論で,理屈に対しては理屈でお返事を差し上げる,あくまでも裏表の無い「図書館論壇」を目指しますね.
 なお修正主義や不寛容,ファシズムなどには理屈抜きで抵抗することもありえますが,それは最後の手段ということで.


「相手に,殉教者と名乗る口実を与えることは,極めて危険な,そして強力な武器を与える結果になるものである」

(渡辺一夫)


この言葉は,図書館業界に限らず原理主義的な対立軸がはびこる昨今,ますます重いものとなっているような気がします.

 何しろ「俗論」だの「新自由主義」だの言われても正直ピンと来ませんし,「亡者」と言われても今のところは生きてますし,「嘘吐き」呼ばわりされたところで結婚前後の古い出来事を持ち出されやいのやいの言われても???なばかりでして.論争相手に対する姑息なラベリング,当てこすり,モラルハラスメントよりも考えなきゃいけないことが図書館業界には山積しているはずですので,今後は論争においてこのような不毛な対応は慎んでいただきたいものです.

日常(2007年1月7日)

 お休みの日.実家からクルマを駆って自宅に戻る.ヒドイ天気だ(-_-;).暖冬で雪じゃないのが,また何をかいわんや.年末の大掃除で,20年ばかり集めていたコピー類を最近のものを除いて本棚2段分,思い切って処分した山がベランダで雨に打たれている(ToT).明日は可燃物に出さないと.

 ようやっと,年賀状の整理をしました.出してない方からも届いていたので,まずはお返事賀状を作成.昨年の賀状を片付けていたら,うっかり出し忘れた知人を発見,こちらもあわてて作成(^^;).昨年,Personal Computerを新調し住所録もソフト買い直して新規に作成したため,ひょっとすると届いていない! 方がいらっしゃるかもしれません.このblog見ていたら,ご遠慮なく連絡くださいませm(_)m

2007/01/01

本年もよろしくお願いします


これは忘れられ易い重大なことだと思うが,既成秩序の維持に当る人々,現存秩序から安寧と福祉とを与えられている人々は,その秩序を紊す人々に制裁を加える権利を持つとともに,自らが恩恵を受けている秩序が果して永劫に正しいものか,動脈硬化に陥ることはないものかどうかということを深く考え,秩序を紊す人々のなかには,既成秩序の欠陥を人一倍深く感じたり,その欠陥の犠牲になって苦しんでいる人々がいることを,充分に弁える義務を持つべきだろう.即ち,秩序を守ることを他人に要求する人々は,自らにとってありがたい秩序であればこそ,正に,その改善と進展をを志さねばならぬはずである.

渡辺一夫「寛容は自らを守るために不寛容に対して不寛容になるべきか」(『狂気について』岩波文庫198頁)



狂気について
狂気について
posted with 簡単リンクくん at 2006.12.31
渡辺 一夫〔著〕 / 大江 健三郎編 / 清水 徹編
岩波書店 (1993.10)
この本は現在お取り扱いできません。

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